急患輸送と与圧 ヘリ オスプレイ 固定翼、、、
オスプレイのキャビンに与圧装置がないので、急患輸送は制限を受けるかもしれないと、また海上自衛隊のUS2には与圧があり長距離の急患輸送には最適であるのではと言う意見がネットで出ていました。
患者の症状にもよるのですが、一部の方たちには、与圧と言うものに誤解があるのではないかと思います。
航空機の与圧と言うものは地上と同じ気圧を保っているのではなく、旅客機の場合は客室内の気圧は確か、相当高い高度を飛行しても、最低気圧で8000フィート程度の圧力で維持するようになっていたと思います。
8000フィートと言えば2500メートル程度で、人間の大多数に高山病の症状が出ない高さで、機体の強度をむやみに強く作らなくても良く、しかも乗客には高山病の影響が出ない高さになります。
8000フィートと言えば地上の気圧の75%ぐらいで、もちろん酸素分圧25%ですから酸素の量も地上の75%となり、低酸素の影響のある患者さんは酸素マスクで100%酸素を吸入すれば十分に地上の酸素量以上を吸入できることとなります。
と言うことは与圧のないドクターヘリやオスプレイは8000フィート以上を飛行しなければ、与圧の効いたUS2やドクタージェットと酸素吸入に関しては同じ条件となり、与圧のないことが不利と言うことはありません。
問題はオスプレイやドクターヘリが長距離洋上飛行において、8000フィート以上を飛ぶ必要性があるか、あるいは8000フィート以上を飛ぶことが航空機の運航上のメリット、たとえば速度を出せる、燃費が格段に良くなる、乱気流の影響をきわめて少なく出来るなどがあるかどうかです。
高度による燃費の低減率は有利なほうから、ジェット、US2、オスプレイ、へりの順で、ヘリは6000フィートくらいが燃費速度の一番有利な高度で、ジェットは高くなるほど有利で、次がUS2 オスプレイは想像ですが、8000フィートから12000フィートくらいではないかと思います。
高額なオスプレイになぜ与圧装置をつけなかったかという理由は、高い高度を飛ぶ有利性がなかったからだと思います。
ですから8000フィート以上を巡航することが少ないオスプレイに与圧がなくても、与圧のついたUS2やジェット機と患者さんの酸素分圧の環境は同じということになります。
逆に潜水病の患者さんは気圧が下がると血液に溶け込んだ窒素や酸素が気体になって症状が極端に悪化する恐れがあって、かならず出来るだけ低く飛ぶのですが、US2やジェット機は低高度では極端に燃費が落ち、速度も出ないのですが、その点オスプレイやヘリは殆ど燃費も速度も変わることが少ないようです。
低高度飛行の乱気流の影響ですがこれも、洋上飛行にあっては、比較的強風が吹いていても、海面に起伏がないため低高度では乱気流になりにくく、かえって前線付近や雷雲の付近で比較的高いところで乱気流の遭遇する可能性のほうが高くなります。
オスプレイはUS2と同程度の速度で飛べ、低高度の飛行も有利で、遠い離島の急患輸送にはうってつけの航空機であると言えるでしょう。
オスプレイの民間型のAW609が数年後には実用化しそうですので、病院への直接搬入を思えば東京消防庁が導入すると良いでしょう。
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