沖の鳥島とヘリコプター、、、、


 
 
 
 30日未明、東京からはるか1700キロ南方の沖の鳥島近海で作業中の台船で横倒しになる労災事故があり、5名の方が亡くなり、さらに2名の方が以前行方不明であるというニュースが入っています。
 
 台船に水を入れて、半分水没させて積荷の桟橋を海上に引き出そうとしたとき、バランスを失い転覆した際、桟橋上にいた作業員の方たちが海に投げ出されたようです。
 
 私自身は派遣されたことはないのですが、この沖ノ鳥島の護岸工事には前の会社、朝日航洋がAS332を数年間に亘って派遣し、特殊合金製の波消しブロックの空輸設置と急患輸送の任務で年間のうち波や風が落ち着いている時期の作業に当たったことがありました。
 
 その後へりは出番がなくなったので、工事自体が続いているとはまったく知りませんでした。
 
 波消しブロックは一個2トン以上ある、錆の出ない、侵食に強い特殊合金製で一個あたりの値段が20万円以上もし、島といわれる岩の周りはさんご礁で囲まれているごく浅い水深で、台船が入れないため、貨物船で運ばれてきたブロックをAS332で吊り上げて直接、岩礁の周りに据え付けていくという工法を取ったそうです。
 
 ホバリングのダウンウヲッシュのため海水が巻き上がることを和らげるためや、貨物船からの吊り上げのため20m以上の長いスリングワイヤを使って運ぶため、精密な据付には相当の技量が必要で、ベテランのパイロットが派遣されていました。
 
 また急患輸送には硫黄島まで700キロ以上の洋上飛行で、夜間飛行の可能性があるため計器飛行有資格者が派遣されていて、現実に急患を硫黄島まで夜間搬送した例があったようです。
 
 硫黄島から東京へは自衛隊の輸送機に引き継いで運んでもらったそうです。
 
 長い作業期間のうちに、現地が台風の接近でヘリを乗せた台船ごと、数百キロも避難したこともあったようです。
 
 332は通常は3時間の燃料で600キロ程度の航続ですが、機内の増槽タンクを装備し、5時間以上飛行可能でたが本土まで1700キロはとても届かない距離です。
 
 沖ノ鳥島で波消しブロックを物資輸送したり、日韓大陸棚の石油試掘で済州島から飛んだり、中国で石油試掘で飛んだりとなかなか面白い仕事がいろいろとあったのですが、生まれてくるのが少し遅くていい場面をずいぶんと逃してしまいました。
 
 1昨日は原発内、昨日は遠く沖ノ鳥島と、大変危険性の高い作業現場で働く皆さんの安全のためヘリが少しでも役に立つと良いのですが、世の中そううまく機能しないものです。
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小笠原急患搬送にオスプレイを、、、

 

 
 
 
 
 東京から南へ約1000キロ 人口2800人の小笠原村の村議会でオスプレイを急患搬送のために導入するようにという議決がなされ、防衛庁へ要望されたようです。
 
 現在までは飛行艇やへりを利用して年間30名程度搬送しているそうですが、島に滑走路がないため、夜間や海が荒れた場合に搬送できない事態があるそうです。
 
 海上自衛隊の基地があるそうですから、オスプレイの給油は問題はなさそうですので、技術的には陸上自衛隊が導入さえすればすぐにでも実現できそうです。
 
 後は医療資材 機材などをどの程度整備し、搬送依頼があった場合にいかに迅速に搬送用にセットするように、ある程度のセット物を準備しておくかでしょう。
 
 また搬送に付き添うドクターやナースをどのようにするか、またオスプレイが木更津駐屯地や羽田に到着した後、ドクターヘリに引き継いで、スムースに病院まで送り届ける手順を決めておく必要もありそうです。
 
 オスプレイが巨大すぎて今のドクターヘリのヘリポートに直接着陸するには少し無理がありそうですので、敷地的にやや余裕のある千葉の日本医大北総病院のヘリポートを拡張すれば直接搬送が可能になる可能性がありますが、屋上へリポートを使用している病院はどこも最大10トン程度がいいところで20トンを超えるオスプレイは無理でしょう。
 
 小笠原諸島は多くの島で構成されていますので、各島には直接オスプレイが着陸できるようなヘリポートがあればなお良いでしょう。
 
 もともと防衛目的で導入されるオスプレイが、独特の高性能ゆえ、まだ防衛庁が使用する前から、このような民生用の目的に要請がかかるとは、喜ばしいことなのか、防衛庁にしては迷惑なのか、痛し痒しです。
 
 今後の導入に際して、左翼、平和勢力から大きな反対運動が起きそうな様子の中、いきなり大きな導入推進派の動きがかかるとは意外でした。
 
 
 小笠原にオスプレイのニュースをネットで見ていたら、種子島空港に海兵隊のAH1が故障で着陸し、この機体の修理のために岩国からオスプレイが飛んできて着陸したというニュースが出ていました。
 
 修理に必要な部品類や整備兵を積んで岩国から飛んで来たそうですが、普通のヘリの倍の速度飛んできて、忘れ物でもしたのでしょうか、翌日にもう一度飛んできて修理を終えて、帰ったそうです。
 
 岩国 種子島間は一時間ほどで着きますので、驚くほどの機動性です。 修理に手間取ったので、宿泊手配などのわずらわしさから、全員いったん岩国へ帰り、翌日また出直したのでしょうか。
 
 民間空港への着陸は初だそうですが、目だった抗議もなく、そろそろ反対運動も息切れしてきたということでしょう。
 
 それともオスプレイの優れた機動性には反対運動の機動性がついていけないということなのでしょうか。

福島原発で初の労災死亡事故、ドクターヘリは、、、


 
 

 
 
 
 昨日午後 福島第一原発内で労災事故が起こり、結果的に患者さんは50キロも離れたいわき市に救急車で搬送され、残念ながら死亡されたそうです。
 
 昨日夜のニュースステーションでは作業中に崩れてきた土砂やコンクリートの下敷きになり、30分後に救出されたときには心臓が止まっていたこと、原発内の医療室に運ばれたのちに、いわき市の病院まで救急車で搬送され、事故後3時間半過ぎて死亡が確認されたとのことです。
 
 この事故が原発以外の場所で起き、その県にドクターヘリがあるならば、最優先のへり事案であろうと思いますが、この件に関する報道ではドクターヘリのドの字も出てきていません。
 
 原発付近の放射能が原因ではじめから出動しないと決めているならばそれはそれで理由が成り立ちます。
 
 放射能の危険性や一般的な土木建設作業の危険性が普通の作業現場より数段、危険性の高いと思われるこの現場で、もっとも効果的な救命医療の決め手のドクターヘリのサービスが受けることが出来ない、またははじめから受けないと決めているならば、作業現場内にはそれなりの経験豊富な医療従事者とドクターカーやドクターヘリに搭載している程度の医療資材機材を配置しておくべきでしょう。
 
 やはり 放射能の状態がひどすぎて、ドクターヘリは飛ばないと決めているのでしょうか。
 
 作業員の方は防護服をつけているとはいえ数千人規模の方たちが働いているわけですから、ドクターヘリの要員は同じような防護体制をとれば活動することは可能なのでしょうが、万一ヘリが被爆してしまえば、十分に除染されるまで飛ばすことが出来なくなるので、そのために出動しないと決めているのでしょうか。
 
 私は去年の10月、原発の北、浪江町の立ち入り禁止のところまで行くことがありましたが、原発から5キロの地点でした。
 
 その地点までは立ち入りは自由ですので、今回の患者さんもその地点まで救急車で運べば、1時間もかけていわき市まで救急車で運ぶ必要はなく半分の時間で福島医大へ着いたことでしょう。
 
 その時点ではすでに死亡が確実で、ただ単にいわき市の病院へは正式な死亡確認のためだけだったのでしょうか。
 
 発災とほぼ同時にドクターヘリを要請すれば、飛行時間などを考慮して、救出された時間、ちょうど事故後30分後にはドクターが蘇生処置をはじめることが出来たことでしょう。
 
 地震の後の報道をずっと注視していますが、緊急性の高い労災事故や、放射能漏れ事故など危険性の高いトラブルが起こりやすい現場であるにもかかわらず、原発敷地内やその付近に緊急用のヘリポートを設置したというような報道に接したことがありません。
 
 はじめからドクターヘリや防災へりは使わないことに決めているのでしょうか。
 
 まさかそのような取り決めで、助かる命を無駄に失ってしまったということはないのでしょうね。

3月末は移動の時期です、、、

 

 
 
 
 豊岡ドクターヘリのブログはいつも愛読させていただいていますが、最新の記事はドクターやナースの方たちの移動についての記事が書いてありました。
 
 パイロットの配置についてもフライトドクターなど医療関係者の方たちと同じで、定期的な移動は技術的な向上には絶対に欠かせない制度であると常に思っていました。
 
 ヘリパイロットはその最たる職種で、大手ヘリ会社では主に若手のパイロットには3年ごとに転勤させ、新しい職場地域、新しい機種、仕事のフライトの内容などどんどん新しい刺激を与えて経験を積んで、自然と技術的な向上が図れるようにと配慮したものです。
 
 われわれ団塊の世代のヘリパイロットは、農薬散布で始まり、送電線パトロール、報道取材、物資輸送、そして新たに入った、防災ヘリドクターヘリと新しい業種も入ってきてどんどん変わって行き、ヘリもレシプロ小型単発からタービン中型、大型ヘリへと進級していったものでした。
 
 バブル時代まではうまく進級していけるほどの仕事量があったのですが、今の時代はこのような理想的な進級の出来ない時代となってしまっていて、ヘリパイロットの技術的な向上をどのように維持するか非常に難しい時代となってしまっています。
 
 今回、豊岡病院からは4名のフライトドクターが新天地へと巣立って新たな挑戦が始まるとのこと、本当にすばらしいことと思います。
 
 豊岡は普通のドクターヘリ基地の3倍は飛行しますので、この4名の方たちは他の基地のなら3年かかる出動経験を1年で終えたのですから、2年いたなら5,6年分の経験を積んだということになるでしょう。
 
 長年、残ってベテランとなって中核となるもよし、十分な経験を積んで新天地を求めるもよし、日本国中の救急科に数多いドクターヘリの経験者がいるということは、救急患者にとっては本当に心強いことですし、他の診療科に転進されていたとしても、日本中で飛ぶドクターヘリの臨機応変の有効活用や、救急に対する支援やDMAT活動などなど、いかに有効であるでしょうか。
 
 強力なドクターヘリ応援団が日本国中にどんどん増えることは非常に喜ばしいことです。

ドクターヘリパイロットの割愛制度??、、

 

 
 
 
 公明党の議員さんのブログでドクターヘリパイロットの割愛制度が復活という記事が出ていました。
 
 以前にも取り上げたのですが、あまり現実的な話ではないように思いますので、今日も少し取り上げてみます。
 
 ヘリのパイロットの給料、年俸は官民が逆転してしまっていて、果たして割愛で転出してくるパイロットに1000万近くの年俸を保証する会社があるのかと心配します。
 
 下手な会社へ入ると自衛隊時代の年俸の半分という事態も珍しいことではありません。
 
 そこまでして飛び続けたいと思うパイロットがいるかどうか気になるところです。
 
 また受け入れる会社にしても、転出してくるパイロットが一人操縦で、どこにでも着陸するような荒い環境になじめるかどうか、やや博打の面もあります。
 
 ということでドクターヘリにはやや合わないというのが割愛制度なのですが、この制度はもともと、このような目的で設けられたものではありませんでした。
 
 古くF86が主力戦闘機だった昔、定期便の航空会社が大きく発展し、パイロットの養成が追いつかないで、高給を支払ってアメリカ人を雇わざるを得ない時代が長く続いたそうです。
 
 そのような時代に、主にF86などに乗っていたパイロットたちは、ある程度乗りこなしてベテランといわれるレベルになったとき、将来の昇進や家族のこと、事故の多さなどを省みたとき、楽で高給取りの定期便のパイロット
という職があることにある魅力を感じてしまったようです。
 
 ある意味、ハードなオリンピック選手のような体力気力でフライトに専念しても、年齢などによる体力気力の低下には勝てず、空中戦や射撃ではいずれ後輩にかなわなくなり、しかも昇進してトップクラスの指揮官になるのはごく一部だけ、半分寝ながら飛んでいて、黙っていてもコーヒーが出てくる飛行機を飛ばせば3倍も5倍もの給料がもらえる。
 
 このような状態が始まりだして、パイロットたちはなだれを打って定期便の会社へと移籍し始めたのです。
 
 ほおって置けば自衛隊の航空部隊は破滅してしまいます。
 
 そこで防衛庁は運輸省や航空会社と協定を結んで、年間50人などと定員を決めて移籍させるから引抜をやめるという紳士協定を決めたのです。
 
 つまりこの割愛制度は戦闘機パイロットなど過酷なフライトに従事するパイロットが年齢を重ねても、昇進も限られ、技量体力も維持できなくなって戦闘能力が落ちたけれども、基本的な飛行能力にはまったく問題がない者を、民間に転進させ厚遇を与えて、若くて精強な部隊の構成要員を維持する目的でした。
 
 ドクターヘリのパイロットなどになるパイロット要員は50歳を超えても自衛隊の飛行任務は十分こなせるので、戦闘機パイロットを40歳前にヘリへ転換することも多くやっています。
 
 要するに割愛制度は40歳過ぎたら戦闘機パイロットとして能力が落ちてきて、部隊全体として戦力が維持できないための制度で、まさかドクターヘリのパイロットが割愛で充足できるとは思えません。
 
 果たして防衛庁がドクターヘリのパイロットを割愛制度で出すか確信がもてませんし、また出てきたパイロットがドクターヘリを飛ばす能力があるかどうかもかなり疑問でしょう。
 
 割愛制度は民間に出てくると給料は必ず上がる、そして飛ばす飛行機は自衛隊時代の技量で必ず飛ばせる、この二つの条件がそろえば可能でしょうが、ドクターヘリの場合はこの2つとも疑問符がつきます。
 
 さて 出てきたパイロットが悲惨な目にあわなければ良いのですが、、、、

 マレーシア航空機 墜落地点ほぼ特定、、、、


 
 
 マレーシア航空機が行方不明になって17日以上過ぎ、どうやらオーストラリアから西部2500キロ付近のインド洋に墜落したことがほぼ突き止められたようです。
 
 私が予想した中国 全人代への突入テロに失敗して空軍に撃墜されたと言うストーリーは見事に外れましたが、長時間飛行し続けたという点だけは当たったようです。
 
 この航空機が通常のコースから外れたのは、マレーシアのFIR(飛行情報区)からベトナムのFIRに引き継ぐわずかな空白の時間で、この点だけを見ても、この機体の乗員がやったかハイジャックにしても、運航の実態を完全に理解しているパイロット経験者のテロリストしかありえないでしょう。
 
 真夜中の静けさの中の管制室で、この便の航跡を追っていたマレーシアの管制官は、この便がFIR(飛行情報区)を通過してベトナム側に入るとき、「さーて終わったちょっと寝るか」、と思って後は何もしなかったということで、受けるベトナムの管制官もまだ入ってこないと、お互いに連絡を取り合わず、まったくの緊張感がなかったということでしょうか。
 
 この引継ぎの短い時間を利用して、通信機器を切って一時的に低空に下がってレーダーの補足を逃れて、進路を変えられたら、このような緊張感のない監視業務の管制官をいとも簡単に欺いて思う方向へと飛行したのでしょう。
 
 しかしながらこのような異状な飛行の目的がいったい何であるのか、マレーシア当局は相当な情報をつかんでいるのでしょうが、決定的な情報は海底深く沈んだボイスレコーダーの2時間の音声記録を再生してみないことには証明できないことでしょう。
 
 いまだ機体を特定できる残骸は確認されていないようですが、4000メートルの海の底に沈んだブラックボックスをうまく回収して、謎を解いてくれるのはやはりアメリカでしょうか。

スノーシューはいつはずすか、、、、

 

 
 

 
 
 ヘリコプターの足(スキッド)につけるスノーシュー、直訳すれば雪 靴ですがそのもの自体は日本の雪国のかんじきのようなもので、ヘリが積雪の上に着陸したときにもぐり過ぎないように、また安定するようにと着けるものです。
 
 実際にどの程度役に立つかは、ひとえに雪の質にかかってきますが、ドクターヘリの場合には着陸して、患者さんの収容のためエンジンを止める場合が多いので、完全な新雪50センチ以上というようなところに着陸はほとんどありえないといえるでしょう。
 
 救急車で患者さんを搬送してくるのを引き継ぐということは、車が近くに入る状態なので、なんらか、踏み固めや除雪をある程度期待できるという状態です。
 
 私もこのような50センチ程度以上の新雪に着陸した回数は雪国豊岡での2シーズンの冬で5.6回しかなかったようです。
 
 50センチ以上の新雪の場合、着陸したあとも、ピッチレバーを引いたまま半分浮いているような状態で、ドクターナースと整備士を降ろして、その後整備士にスノーシューがどの程度沈むか、また傾かないかなどを確認しながら、ゆっくりと加重をかけていって、最終的に安定するのを確認してからエンジンを止めるという操作になります。
 
 2メートル以上の積雪地であってもスキー場のように、ゲレンデのようにある程度以上固めてくれているところでは、スノーシューがある程度雪をかんだ状態で機体が安定すれば、比較的安心してエンジンを止めることが出来ます。
 
 スノーシューは比較的簡単な構造なので、数時間で脱着が出来ますが、12月に入っていつ着けるかということになると、朝起きたらスキー場で50センチ積もっているということで着けると朝のスキー場への出動は間に合いませんので、やはり天気図と雪の予想を読んで、少し早めにということで豊岡付近では12月15日くらいが適当でしょうか。
 
 今度は春になっていつはずすかということなのですが、長い経験では、通常の離着陸には3月中旬くらいで十分なのですが、実は天候急変時や機体が故障して山間部へ不時着するという可能性を考えれば、すべてのスキー場のランデブーポイントに雪がなくなった後もあれば越したことはないかも知れません。
 
 ただパイロットはヘリの性能が最大限出せることも重要視するものも多く、スノーシューの重量や空気抵抗による速度低下、あるいは飛行中の共振などによる振動など、気に入らないと感じることもままありそうです。
 
 EC135のスノーシューは非常に良く出来ていて、小さくて軽い割には新雪上の着陸エンジン停止には十分な効果で、降りたドクターたちがいきなり腰ちかくまで雪の中へ沈み込む中、結構短時間でエンジンを停止したこともありました。
 
 防災ヘリなどスリングで救助したり、物資輸送で荷物を吊り上げるヘリはどのような深い雪でも、吊荷や要救助者が引っかかる恐れがあるので普通はスノーシューは着けられないことになっています。
 
 ドクターヘリがスノーシューをはずせば、長い冬が終わって本当の春がやってきます。

デビッドクラーク、、、、、


 
 

 
 

 
 
 表題の言葉を見て、航空用のヘッドセットであることがわかる人はその道のプロでなければ相当なマニアの方でしょう。
 
 マレーシア航空の失踪事件から10日間以上過ぎ、テレビでは毎日のように各国の軍の航空機による捜索状況が流れていますが、そのときに機内のパイロットや捜索に当たる乗員の姿が写るとき、必ず薄緑色のヘッドセットを頭にかけている様子が出てきます。
 
 ほとんどの国の軍隊がこのヘッドセットを使っている中、日本だけが違う国産メーカーのものを使っているようです。
 
 このようなヘッドセットは騒音が大きい機内で乗組員同士がコミニケーションを取るために使うもので、ヘルメットをかぶるほどの墜落や事故の可能性が比較的低い、あるいは長時間にわたって飛行するため比較的負担が少ないように使うものです。
 
 特に騒音の大きいヘリコプターにとっては必需品で、ドクターヘリの場合、場所によってはヘルメット、またはヘッドセットと2通りのものを使っています。
 
 ヘルメットは20万円から30万円 ヘッドセットのこのデビッドクラーク製は10万円から5万円程度とかなり高額なものです。
 
 このような一流品でなければその半額程度以下でも手に入るようです。
 
 ヘリコプターのパイロットにとっては、事故の危険性の高い物資輸送や農薬散布の場合、最近でこそ必ずヘルメットを着用しているようですが、30年前は金額的に高価なこのようなものは買っていただけませんでした。
 
 それ以外のフライトではデビッドクラークのヘッドセットを使うことが多いようで、ヨーロッパ製のヘリの場合でも、純正を使わないでわざわざデビッドクラークを購入して使う例も多いようです。
 
 ヘリコプターは他の航空機に比較して機内の騒音が格段に大きくて、ヘッドセットのマイクの位置がぴったり口の前1センチのところにないと、機内通話や、管制塔との通信で、発する言葉が騒音にまぎれてよく聞こえません。
 
 高いデビッドクラークを買ってもらうまでは、国産品やアメリカ製やフランス製でもまともなものはほとんどなく、送信するたびにピッチレバーから手を離して、マイク位置を合わせないとまともに送信できませんでした。
 
 そのピッチレバーにしても、調整の悪いヘリは手を離したとたん上がったり下がったりすることが普通で、地上滑走やホバリング中に管制塔に送信することはかなり高度な技で危険性すらあったといわざるを得ません。
 
 デビッドクラークはいったんマイクの位置を調整したら、ほぼ動かないので、いちいちマイクの位置を調整しなくても送信できたので、おおいに助かりました。
 
 ほとんど西側の各国の軍用にも使われていて、それが今回のマレーシア航空事件で確認することが出来たしだいです。

 風とヘリコプターパイロット、、

 

 
 

 
 
 
 
 
 長くヘリパイをやっていると、風を読むという習性が身について、知らず知らずのうちに風を知る能力や対処法が育まれて来ました。
 
 一般の方はあまり意識しないと思うのですが、4月が意外と一年中でも風の強い月で、ヘリパイロットには油断できない季節です。
 
 関西以西では4月に山火事が一年中で最も多いといわれるのも、人が山に入りだす時期で、冬季を経て山が最も乾燥しているほか、風が強いことも影響しているそうです。
 
 ヘリパイにとって4月ころの陽気がぽかぽかして、穏やかな春などと安心していると、山間部で強風にあおられてひどい目にあうことがあります。
 
 飛行機のパイロットは風が制限事項として骨身にしみるのは着陸時の横風制限くらいで、しかもその情報は必ずといっていいほど管制塔から最新の値が通報されることになっています。
 
 ヘリコプターにとって風の情報が必要なのは離着陸の場合のほか、防災ヘリなら救助のホイスト作業でホバリングする時などでしょう。
 
 送電算パトロールなら離着陸以外に、送電線の間近を飛んでいるときの付近の情報もあればぜひほしいところです。
 
 物資輸送なら離着陸や地上基地での吊り上げの時の情報以外に、荷物を運搬して行って降ろす先の風の情報もほしいところです。
 
 ドクターヘリなら屋上へリポートの風のほか、山間部や狭隘地の現地着陸上の風の情報も出来ればほしいかもしれません。
 
 残念ですがヘリのパイロットにはこのようなぜひともほしいと思うような、生の風の情報はまったく与えられることはありえません。
 
 もちろん風の強さが制限値を超えるかどうかの情報すらありませんので、パイロットは飛行しながら自分で判断して、着陸の可否 ホバリングして荷卸するかどうかの判断、防災ヘリのパイロットは瀕死の要救助者を吊り上げるか、やめて引き返すかのぎりぎりの判断もしなければならないでしょう。
 
 富士山で要救助者を落としたパイロットも、うなる強風の中で判断を迫られたことでしょう。
 
 私は長いフライトの中で、ヘリの機種による対強風性能の個体差、機体重量の程度による影響、横風追い風成分による影響、地形や気圧配置による突風成分による影響、万が一の場合に逃げることが出来るかどうかの地形による判断、任務の緊急性による、重要度必要度、自らの身体精神の対応度(やる気)などあらゆることが、数値の見えない風に対する最終判断の判断基準として頭の中を駆け巡ります。
 
 横風成分が35ノットを超えたので、羽田に引き返しますとは行かないところがヘリパイロットのつらいところでもあり、自らの能力の鍛えどころでもあります。
 
 新人パイロットさんのためにも、少し怪しいところには吹流しでもつけてくれるといいのですが、400箇所離着陸しますではやはり無理でしょうか。

ちょっと気になる情報2件、、、


 
 
 ヘリに乗らなくなってからすでに1年半以上過ぎましたので、現場からの情報があまり入ってこない中、読者の方からの情報がとても助かります。
 
 昨日今日、静岡消防ヘリ 要救助者落下の事故調査報告の件と、佐賀県ドクターヘリのベル429が何らかの事情でBK117に変わっているという件の書き込みをいただきました。
 
 いずれも元ヘリ関係者と相手は大変興味のある情報で、遠くはなれた場所に住んでいる者としてはなかなか知りえない情報です。
 
 静岡県消防ヘリの要救助者落下事件は普通なら航空事故調査の対象で、しかも、業務上過失致死の疑いのある事例で、警察や事故調査(安全運輸委員会)の第3者が強制力を持って調査する内容で、それが行われなかったことは非常に不明瞭な印象を受けていました。
 
 原因は要救助者の足がスキッドに引っかかったということで、原因の事象を最終的に防ぐにはベルのヘリのようなスキッドがそこに存在することは絶対にあってはならないことになり、多くの県の防災機などは同じことが起こる可能性があるという事を言っているようなもので、最終的には車輪タイプのユーロ系のヘリを選ぶしかないということになります。
 
 佐賀県ドクターヘリが1月に運航を始めて3ヶ月にならないうちに何らかの事情でBK117に変わっているということは読者からの書き込みで知ったのですが、なぜか変わったのかどこを調べてみてもわかりませんでした。
 
 同じ429を飛ばしている静岡県西部のドクターヘリは病院のヘリチームが連載しているブログを見ると異常なく飛んでいるようですし、またベル429が大きな欠陥などによって飛行停止の指示が出ているというニュースもありませんので、西日本空輸所有のJA429Dの固有の故障で交換部品が手に入らなくて、止まっているとしか考えられません。
 
 新型機には良くあることなのですが、ベル429が世界のどこかで大きなトラブルや故障を起こして、強制的にある期間内に、何らかの大きな点検修理や部品の交換を要する作業が入ったのでしょうか。
 
 JA429Dは導入後6ヶ月が経過し、300時間飛行し、一回目の大きな点検整備の300時間点検の時期になっただけということであるならば、基地病院に整備用の格納庫があれば、飛行しない夜間に作業を継続し、わざわざ機体を入れ替えないで、稼働率の高さを見せるためにも現場で行ったことでしょう。
 
 ここでも屋上のヘリポートの弱点が露呈しているのでしょうか。
 
 1昨日見た映画、LIFEでは骨董品のKH4に良く似たベル47Jでしょうか、元気に飛び回ってる姿に大感動したばかりでした。
 
 私の知りえなかった2つの情報はいずれも、ともすればベルのヘリはだめだという内容が含まれているようで、ベルで育った元パイロットとしては非常に気になる情報でした。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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