看護師さんの体重は企業秘密?、、(笑)
ドクターヘリ基地ではそれぞれの出動時の基準重量があらかじめ決めてあり、普通、燃料搭載量で調整します。
離陸時の重量を一定にするのは、最大許容重量からどの程度軽くするか、狭いところへの離着陸時の、余裕馬力の確保、標高の高い場所や気温が高い場合での、エンジンやローターの効率の低下に対する配慮など、それと受け持ち範囲の一番遠いところへ飛んだときの燃料も余裕などを考慮して決めてあります。
ドクターヘリのような中型ヘリでは普通、1時間飛ぶと燃料は200キロ強使いますので、30分飛んで目的地へ着くころには100キロ軽くなっていますので、その分、狭いところへの離着陸で余分に使う馬力に余裕が出てきます。
このようなさまざまなことを配慮して、夏場は離陸前の燃料は300キロ、冬場は350キロなどと、給油時にはいつも同じ量まで給油することにしていて、燃料等裁量の確認ミスなどによる不具合や、必要な離陸性能の確保に配慮をしています。
となると、普通毎日の始業点検やミーティングなどで各種確認事項の中での離陸時の機体重量が計算されて表に出してありますが、今日は少し暑いし重いなとか、逆に気温が低いし、機体重量は軽いなとか言う予備知識がパイロットの頭の中に入ります。
なぜかと言うと、毎日燃料は同じ量が入り、搭載されている医療機器は同じものですから、後は搭乗するパイロット、整備士、ドクター、ナースの体重だけが変動する要素となります。
CS(運行管理)が持つ資料の中に、各搭乗者の自己申告による正確な体重が記録されていて、自動計算される日々の重量重心計算表には、当日の乗り込む担当者の名前を打ち込むだけで自動的に、打ち出されるようになっています。
私は恥ずかしながら80キロありましたので、某○○ドクター○○○キロ えーーこれだけで一人分重いーーーー
看護師さん、○○さん ○○キローー 良かったーーー
と言うようなことが起こると最大全備重量まで250キロも余裕のある設定をしていたのに、半分しか残ってない、、今日は狭いところには慎重に、、標高が高いと離陸出来るかなーーとなりかねません。
CSの○○君!!これは正確に重量を把握しないといけないから、看護師さんの体重の記録、少し見せてよ!!
だめです!! これは個人情報でドクターヘリ基地最高の企業秘密です!!!
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ドクターヘリ拠点病院?新県立奈良病院、、、、
昨日のサンケイ新聞奈良ニュースで、29年4月に開業する予定の新県立奈良病院の施設概要が発表されました。
この病院は奈良県では最大級の規模の病院で、しかも新たに建設が始まり、29年開業ですからドクターヘリの基地病院として機能するような配慮がされているものと期待していました。
奈良県はドクターヘリを導入することを既に発表していますが、基地病院として機能できる適した病院はなく、また既存の病院にはヘリポートなどの施設を追加整備出来る余裕もなく、救急医療体制も十分ではないようです。
そこで新たに建設される、新県立奈良病院が唯一のドクターヘリ基地病院として整備されるのであろうと予想していましたし、一部そのような報道もあったようです。
ところが昨日の新聞記事による施設の概要を見ると写真で屋上にヘリポートが設置されているだけで、地上へリポートらしい施設も給油施設などもありません。
写真では詳しいことはわかりませんが、屋上へリポートに救急施設を設けるようにも記事には書いてありませんでしたし、地上に格納庫の施設もありませんでした。
過去に同じ様に屋上へリポートだけの設備でドクターヘリの運航を始めた県で、後になって敷地や資金で苦労して格納庫を建設したところが多くあります。
また給油設備を後になって建設したところもあります。
奈良県の医療課など担当セクションの知識や調査が不十分なのか、後になってこのようなものを建設しなければならないとこは明白ですので当初から十分に考慮しておく必要があるでしょう。
敷地も十分に取れそうですし、周りも比較的林などで囲まれていそうですので、騒音や砂塵被害などもあまりなさそうで,周りの住民の理解も得ることはそう困難ではなさそうです。
県の担当者は、約、10キロ離れたところに奈良ヘリポートがあって、給油や荒天時の避難格納には問題がないと考えておられるのかもしれませんが、1週に一回程度の防災ヘリと違い、毎日のように要請から5分以内で飛んでいくドクターヘリにとって、出動一回に着き30分以上のデッドタイムは無視できません。
また 日々の整備点検や機体愛護のための格納庫は必須であると各県は判断し、新たに運航を始めるところで格納庫を持たないところはほぼないといってよいでしょう。
高額の費用が掛かる屋上へリポートは厚生省の補助金で何とかなるでしょうけれども、それよりも優先するべきは格納庫、給油施設に隣接した地上へリポートであることは間違いありません。
屋上へリポートだけではドクターヘリは十分にその能力を発揮することは困難でしょう。
世界に誇る文明国 日本のドクターヘリ、、、、
中国 国内の新聞記事に上記のようなものがあったそうです。
時間が勝負の重症の救急患者さんにとって大きな救いとなるドクターヘリの運航着陸現場を偶然見た、中国人留学生が帰国して書いた記事のようですが、運航する者が自然と行っている行為が、低開発国、野蛮な国家国民にとっては本当にすばらしいものとして映るようです。
私も引退する前、勤務していた病院へ、中国人や韓国人、中東の方など多数見学に来られて、つたない英語で説明したことが何回かありました。
和歌山の時には中国、重慶の最大病院の院長なるVIPがお付を引き連れて来たことがあり、丁寧な説明が気に入ってくれたのか、親しく肩を組んで記念写真を取った上、お土産の高級な万年筆までいただいて、いまは孫の宝物入れに収まっています。
当時は中国はまだ、今のようなバブル崩壊寸前ではない、上り坂であったのでしょう、党の高級幹部の重慶の医療責任者で、薄熙来もまだ失脚していなかった時期だったのでしょうか。
日本の医療事情の視察に多数のお付を連れてはぶり良く、大名旅行に来ていたようですが、その後の、政変や経済状態の低下で、今はどうしているのかとふと気になってしまいます。
同じ様に豊岡病院には韓国のドクターがフライトドクターとしての研修に来ていたことがあったのですが、韓国も大統領が変わり、経済状態ははかばかしくないようですから、ドクターヘリは無事に飛んでいるのか気になるところです。
日本のドクターヘリと言うシステムは思えば非常に平等な制度で、消防の救急が判断すれば、貧富の差、年齢性別、保険の有無など何の制限もなく、しかもヘリの運航費用は無料で、そして、運航の状態は中国の元留学生が書いたように、礼儀正しく、本当に成熟した、世界に誇る運航を行っているようです。
このような制度は国の、政府、国民が相当程度裕福で、医療や役所が国民から十分信頼されていて、そしてこの制度そのものが安全確実に運用できるという、国民からの信頼がないと成り立たないものです。
となるとやはり、国家があまりに不誠実のように見える中国、韓国ではドクターヘリが一般的に飛び回るなどと言うことは、まだまだ無理なようです。
やはり 日本人に生まれてよかったということでしょう。
ヘリコプター最大性能の使い方、、、
ヘリコプターにはマニュアル上、最大重量が決められていて、地上で平均大気 15度C 気圧1013ミリバールの時に燃料や乗客荷物などをどれだけ積めるかと言う、許容範囲の重量があります。
車やトラックなどでは、普通なら座席が8席あって、燃料タンクが500リーターで荷物室の最大積載重量が300キロなら全部一杯に積めると思うのですが、航空機の場合はそうは問屋がおろさないという事情があります。
ドクターヘリなどもそうなのですが、燃料を500リッター満タンにすれば、乗客は満席に出来ても荷物は詰めないなどと、燃料を含めて有効な有効な搭載量はいくらで、機体全体の重量はたとえば2,9トンまでとか制限されます。
ここで車などでは積載量一杯に載せても、少し重いと思う程度で、走ることには殆ど影響がない程度です。
旅客機など固定翼機の場合は、一杯に積んだ場合でも離陸滑走距離が長くなったり、上昇性能が落ちて、巡航高度に到達するまでの時間が長くなる程度です。
ヘリコプターの場合、原則的には固定翼と同じですが、ただ離陸方法がホバリングから前進するという飛行機とは少し違った面があります。
ヘリコプターは搭載量が少なくて軽い場合は軽々と建物や電線を超えていけますが、一定以上の重さがあると飛行機の離陸に似たようにホバリング状態で滑走し速度をつけないと、上昇しないという特性があり、広い場所が必要となります。
もう一つはやはり離陸や着陸の時の風の影響を受け、迎え風なら少ない馬力で安全に離着陸でき、追い風や横風の場合、微妙に影響を受け、突風がある場合などは下手をすれば離陸できない、あるいは着陸時に落とされるという危険性があります。
もう一つには、静岡消防ヘリのヘリが人を落としたり、岐阜防災ヘリがアルプスで墜落したように、標高の高いところで離着陸やホバリングする場合には、その時の重量は大気の状態によって大きく制限され、エンジン出力をを規定上の100%出しても浮いていられない状態が普通に起こってきます。
そこでドクターヘリなどでは初めから運航時の重量を最大重量の85%などとするなど、最大まで使わないで、一定の余力を運航上の余裕として、安全性のためパイロットに献上しているという状態で日常的に飛ばしています。
そうするとどうなるかと言うことなのですが、普通は2時間半飛べる燃料を1時間20分とする、とか、乗客は8人なのに、患者さんを含めて5名までとする、搭載する医療関係の資機材は150キロとするなどとあらかじめ決めています。
運航範囲の広い県では搭載燃料を増やして、燃料を多く積んで、医療器材や、乗客の数を減らすとか調整し、狭い県では逆のことが可能となります。
ただ最大全備重量に対して、どの程度の余裕重量、これはイコール最大出力で出せる馬力や離着陸時の余裕馬力、高高度着陸などの余裕としてパイロットに安全性の幅を多く与えるということになります。
これのようなさまざまないわゆる運航上の余裕と、任務の難易度、安全性など本当に難しい配分となり、運航会社や運航機関が独自に判断できる難しい、配分です。
なんとなれば一クラス大きなより性能の良いヘリを導入すれば一挙に解決できますし、判断を誤れば一連の事故騒ぎに直結します。
一クラス上のヘリを導入すれば簡単に解決できるといいましたが、実は私たちが何回も経験したことなのですが、大きなヘリを導入した時にはそれなりにまた、運航上の要求度が上がり、詰まり搭載重量が増えたり、人数が増えたり、同じ様に重い状態で飛ぶことが普通でした。
ヘリコプターに乗っていて良かったと思うこと、、
ヘリコプターに初めて乗ったのは1972年11月のことだったと思います。
航空自衛隊を辞めてもう空を飛ぶことはないのかとあきらめかけていたとき、当時の朝日ヘリコプターで採用するというありがたい話があり、大阪から東京へ出て行き、当時、所沢の駅前にあった西武鉄道の車両工場に同居するヘリポートでした。
これからヘリの訓練を始めるというに当たって当時の運航部長であられた、戦中の一式陸攻のパイロット出身の岩崎義秋さんに同乗していただいて初めて飛びました。
それから2012年7月までほぼ40年間飛び続け、最後は豊岡病院のドクターヘリで終わるまで、16000時間を少し切るくらい、ベル47から206 350 204 214 330 332 355 そして最後はEC135で終わりました。
その間 日本国内はほぼ 行っていないところはないくらい飛び、海外もインドネシアだけですが、外国人は入れないチモール以外ほぼ全国的に約一年にわたって650時間飛び回りました。
この40年の長い間、自分の判断や操作ミスから危険な目にあったことは数知れず、一回はスマトラで危機一髪の事故を起こしたものの軽い怪我で生還しました。
ヘリに乗っていて良かったと心底思うことも多くありましたが、誰も見ることの出来ないような絶景に遭遇したり、それこそ誰もいけないような場所まで自分の操縦で思い通りに飛んで行けたり、雲を掠めてスキーのように飛んだり、思い出は語り尽くせないほど一杯です。
ところが長い40年の中で何にもまして、ドクターヘリに乗るようになって、やはり一番良かったと思うことがかなりありました。
それは5年のドクターヘリ生活で確実に20回か30回はあったように思います。
毎日の飛行後の反省会や、患者さんを収容して基地病院へ向かっているときなど、フライトドクターがふと漏らされる言葉にどれだけ喜びを感じたか、それは忘れることの出来ない喜びでした。
今日のこの患者さんはヘリがなかったら、たぶん助からなかったと思います、、、、、
毎日毎日 このためにドクターヘリは存在が認められているということでしょう。
救急隊員 誤って死亡と判断 引きあげる、、
外国では墓場に埋葬した後生き返ってきた例があるそうですから、死んだと判定されたことはほんとに危ないところでした。
ドクターヘリで救急現場へ飛んで、死亡判定に居合わせたことがかなりありましたが、いつも死亡判定はかなり慎重にされているようでしたし、心停止と呼吸停止ぐらいではあきらめないで、何らかの蘇生処置を施して反応を見る程度のことは常にやっていたようでした。
やはりドクターヘリの医療クルーはなんとしても助けるぞと言う意気込みが強いからなのでしょうか。
海の事故の溺水の場合など、心拍再開しないのでヘリ搬送はあきらめて、救急車に収容しようとしたときに心拍再開したーと看護師さんの大声が聞こえてきて、急遽ヘリ搬送した例もありました。
今回の京都の例は患者さんにとっては初めは不運なことでしたが、無事生存が確認され、処置が間に合って救命されたそうですから結果的には非常に運がよかったということでしょうか。
今回の救急隊員による死亡判定はもちろんマニュアルに従って、複数の隊員が確認しあった例なのでしょうが今後の改善が必要となることでしょう。
ドクターヘリの場合は通常救急車で最寄の病院へ搬送していただいて、その病院で死亡判定と言う手順が普通でした。
現場でフライトドクターが死亡判定をして、そのまま現場にいた警察関係者に引き渡した例は1例しか経験したことがありませんでした。
また 出動後 飛行中に消防による死亡判定で引き返すという事例はかなりありましたがこの場合殆どは、体温低下と死後硬直が見られるというような報告によって決定されていたようです。
今回の救急隊員の死亡判定のミスはほとんど聴いたことがない非常にまれな例ですが、事は人の命に直接かかわる大変なミスであることには違いがありませんので、十分な対策が望まれることでしょう。
新東名 緊急用ヘリポート改修へ、、、
中日本高速が所有管理する新東名の藤枝パーキングエリア(PA)と浜松サービスエリア(SA)の2カ所のヘリポートで大型のヘリが緊急時に着陸しやすいように改修するそうです。
以前実施した訓練でヘリポートの周りの盛土や照明ポールが、中型や大型のヘリの離着陸に障害となるという意見が出たそうです。
もともと小型のドクターヘリなどを想定していたので、今後災害時の大型中型ヘリの離着陸に備えるためだそうです。
もっともらしいことが記事になっているのですが、これは何か変だな 日本のヘリポートです。
日本ではヘリポートと呼ばれる施設は、一定の広さと進入離脱に障害となるような障害物があってはヘリポートとして認められませんので、この基準が当てはまるようなものが、まさか中型機や大型機のヘリのパイロットからそもそも障害物が邪魔になるというような意見が出るはずもありません。
というのは小型用とはいえ、正式なヘリポートや場外離着陸の許可を受けた場所が、ローターーの直径が3メートルや5メートル長い程度のヘリに障害物となるようではとても、ヘリポートとして、あるいは場外離着陸場所として許可を得ることは出来ないこととなります。
それほど広い場所でないと許可にならないという実態があり、もし盛り土や照明灯がありながら小型機なら着陸できるという事自体が、無許可で着陸していたか、許可申請の書類に嘘があるということでしょう。
いままでヘリが着陸した事例は、訓練しか考えられないのですが、それも着陸に支障があるという話が出ているのですから、嘘の申請で許可を取ったか、無許可で着陸したとしか考えられません。
離着陸した前例があるなら、考えられるのは、人命が掛かった緊急事態で、ほかに手段がなく、法の救助事例で許可を得ることなく着陸したということにかありえません。
ただしこれは自衛隊機の場合、航空法の適用をを受けない事が認められていますので、航空法上の離着陸許可は要らないことになっていますので、関係はないのですが、民間登録の警察消防防災ドクターヘリなどが関係してきます。
中日本高速は何もパイロットの意見など聞く必要はなく、航空法に規定された、着陸帯の面積と、周辺の障害物のない一定の空域を確保すれば良いだけの話です。
敷地などの条件で、これが確保されない場合は一般の離着陸の許可は取れませんので、いわゆる訓練は全く出来ませんが、人命が掛かった実働の場合はパイロットの判断で着陸できることになっていますので、少しくらい着陸がやりにくい程度なら、わざわざ盛り土を取ったり照明灯を移動させたりする必要はないでしょう。
もし場外着陸の許可基準をクリアーするためならそのような改修は意味のあることで、それは書類上の基準を満たせばよいだけの話で、その基準を満たした状態に嘘がなければ、わざわざパイロットの意見など聞く必要もなく、目をつぶっていても誰でも、着陸できるほど広いものとなります。
ただしそのヘリポートが出来たと仮定すれば、着陸に際して民間のすべてのヘリは、事前に離着陸の許可申請を航空局にだして、許可を取る必要があります。
場所は静岡県ですが、例として遠くは鹿児島県のヘリも使用する可能性はあるでしょうから、普通に考えれば日本全国の公的ヘリは申請しておく必要があるでしょう。
なにしろ許可が出るまで普通、1週間は掛かりますから。
許可申請しなくても、いつでも誰でも着陸できるように備えるなら、周りの住民など利害関係者を招いて公聴会を実施して、航空法上の正式ヘリポートとして建設登録する必要があります。
ヘリポートとして建設しない、場外離着陸の対象にもしない、そのような、しちめんどくさいことは何もしないで、照明ポールを動かすだけ、盛り土を削るだけで、着陸させたいなら、人命が掛かった、実動だけで、訓練も出来なければ、非常食料を運んでくる程度のことでは着陸は出来ないでしょう。
日本の航空の規定上ヘリコプターの離着陸はそのように決めてあるのですから、法治国家日本ではいかに行政といえども、高速道路会社といえども、この法律の規定に従うしかないでしょう。
それがあまりにも不合理だというなら、法は改正されるべきでしょうが、さて法律は国会でしか改正されないようです。
とはいえ訓練ぐらいは出来るようにならないものでしょうかねーーー
ANA B767 機内に煙、引き返す、、
昨日 朝 秋田空港を離陸したばかりのANA B767の各室内に煙が充満し、引き返すというインシデントがあったようです。
最近は航空機の事故やトラブルが少ないと思っていましたが、やはり起こるものです。
客室の空調にはエンジンが圧縮した300度C位の高温高圧空気を使用していますので、エンジンのコンプレッサーの部分の軸受けでオイル漏れがあると、一瞬にして気化し、機内に流れこむことになります。
オイルがどんどん漏れてしまい、残量が少なくなると潤滑冷却が間に合わずにエンジンを止めないと壊れてしまう危険性がありますが、漏れる量が少ないか、初期の段階で気がついて止めればエンジンを致命的に壊すこそなく着陸することが出来ます。
車でも同じなのですが、エンジン各部のベアリングなどを潤滑していて、シールやパッキンで漏れることを防いでいますので、ある時にいきなり、突然、駄々漏れか、噴出と言う事例は少なくて、最初はにじむ程度からだんだん漏れが大きくなってきて、ある限界を超えた時点で噴き出すという事例が多いようです。
このような特性は同じ様なエンジンを使うヘリコプターも同じで、毎日のように点検する場合に、オイルのにじみや少量の漏れは同じ場所を気をつけてモニターします。
また漏れる量が少しでも多くなり出すと、毎飛行ごとににじむ部分などを点検し、オイルの量が一定時間ごとに減る量もモニターする必要があります。
自分がエンジンオイルの沸騰で不時着したときがあったのですが、3ヶ月くらい前からのオイルの減り方や、エンジン停止時の低回転でシーリングが緩んだときの漏れが大きくなってきて、煙が出る量が増えてきていましたので、良く注意していれば、不時着しなくてすんだとも思えました。
今回のANA B767もこのようなモニタリングであらかじめ異常に気がついて、十分にモニターリングしていれば、事前にエンジンを点検整備修理 出来て引き返すことなく済んだかもしれません。
豪雪被害 救助飛行 さまざま、、、、、
遅まきながら始まった豪雪被害の自衛隊機や防災ヘリ、県警へりなどによる救助飛行の様子が各テレビ局によって放映されています。
自衛隊機から、県警機などの公的ヘリから、スーパーなどにチャーターされた純粋な民間機まで、さまざまな機関が行う豪雪被害の救援飛行が行われる中、全体的な安全上の統制や、関連法規類がどうなっているか、機体の装備や日常の訓練がどうなっているのか、振り返ってみることもある意味少しは意義がありそうです。
テレビのニュースで流される、さまざまな映像を見てまず第一に思ったことは、自衛隊の持つ人員の豊富さです。
ヘリは必ずしも豪雪地帯から飛ぶ必要はなく、立川や、東京へリポートや、静岡ヘリポートなどから発進すればよいのですが、救出地など現場は豪雪地帯で、着陸する場所はおろか、ホイストで吊るにしても、どうしても地上に十分な要員を配置して、安全確認や飛行の調整管理などを行う必要があります。
つまり豪雪現場にどれだけの要員を送り込めるかどうかが、安全な救助や物資支援などの効果を決めてしまうといっていいほどなのですが、3人から5人程度が乗り込んだ県警ヘリ防災ヘリなどにはとても自衛隊の人海戦術にかなわないと思われます。
ですから自衛隊の画像には、ヘリから降下した隊員がヘリポートの確保に除雪している様子が写っていましたが、防災ヘリではホイストで降下した隊員1,2名が高齢者を吊り上げている画像が映し出されていました。
ホイストで吊り上げたりしている映像も、ホバリング高度に大きな差があり、高ければ吊り上げ完了まで大変時間がかかり、低ければダウンウオッシュの強い風で、要救助者などが雪の上でうまく動けないという障害が出ます。
適切なホバリングj高度と言うものが、地形や斜面、積雪状況などで決まりますので、パイロットは平らな広っぱだけの訓練では腕が上がらないということになります。
隊員などはごく低高度でのホバリングや軽くスキッドが接地する程度の状態で飛び降りるということも、不通に安全に出来るやり方で、急な斜面や雪の上ではきわめて有効な方法です。
法規規定などの適用では自衛隊は航空法の適用を受けることなく、何処にでも着陸、物件投下、ホバリングを含む低空飛行など、自由自在で、しかも日ごろからそのような訓練に制約を受けませんので、実力遺憾なく発揮できるという面があります。
片や民間航空機の、警察消防防災ドクターヘリは、航空法の規定によって、人命救助の場面のみ自衛隊と同じ運用が出来ますが、同じ事を訓練することは認められていませんので、ぶっつけ本番やや不安があるところです。
しかも今回のホイスト救助や、指定場所以外での離着陸は人命に急迫した危険もなく、除雪が進めば地上から行き来でき、ほかに手段がないわけでもありませんので、航空法の例外規定が当てはまらないといえば言えそうです。
何かあるごとに、なし崩しに公的ヘリは例外規定を適用して、飛び回りますが、訓練が許されていない以上どこかで線引きをしないことには事故連発の恐れが大きいでしょう。
今回の豪雪騒ぎで、自衛隊のヘリはじめ民間ヘリを含めてすべてのヘリが行った、離着陸の状態、ホイストなどの低空飛行、物件投下など、すべての運航状況を正直に洗い出して、どれが合法で、どれが例外規定適用で、どれがもぐりだったか検証し、今後どのような訓練を課し、法規規定類はどのようにするべきかなど色々と考えてみることも意味があるかもしれません。
今回の豪雪関連のフライトがすべて安全に終わることを願いながら、ふと考えてみました。
ダイバー遭難 インドネシア、、、
インドネシアのバリ島の近くで日本人のダイバーの女性7人がスコールによる悪天候で引率のボートを見失い70時間以上も行方不明となり、5名は助かったものの、1名が死亡して発見され、いまだに1名は行方不明だそうです。
5名が無事に救助されたことは本当に奇跡的で、うまく陸地に上陸して救助を待っていて助けられたことは本当に良かったと思います。
残念ながら1名の方は死亡して発見され、さらに残る1名の方が捜索中だそうです。
私がダイビングの知識経験は全くありませんが、インドネシアで1年間、ベル206を飛ばしていましたので、現地の様子がある程度わかるということと、救助された方の中に、神戸大学付属病院の看護師の方が含まれていて、ドクターヘリで何回も、同病院の屋上へリポートへ患者さんを送っていった経験があるため、非常に今回の事故の件を身近に感じています。
マリンスポーツや小型航空機は、南方特有のスコールによる、強烈な降水現象と、突如、吹き荒れる強風、高い波、そして極端な視程障害に備える必要があります。
季節は日本のように四季はなく、乾季と雨季があるだけで、雨季といっても日本のような梅雨ではなく、毎日1回か2回ほどあるスコールが多いか少ないか程度で、そのほかには雨季に2,3日程度ずっと悪い天候が広範囲に続く日がたまにあるという程度です。
この2,3日、広範囲に悪天候が続くことは本当にまれで、私もこの悪天候で、スマトラで内陸で石油試掘の支援飛行をしていて、あわやと言う、ひどく危険な目にあったことがありました。
過去にスラエシ、昔のセレベスと言う島で、双発のツインオッターと言う小型旅客機が、悪天候地域を避けて飛び回り、ついに目的飛行場にたどり着けずにガス欠になって不時着水した事故があったそうです。
ヘリや固定翼機はスコールに遭遇しそうになったら、避けて飛べば、スコールの外は快晴のような天候ですので、全く問題はありませんが、目的地付近がスコールの真っ只中と言うこともまれにあり、今回の随伴ボートの船長は言っていたように、サイクロンや台風と同じ天候になります。
ボートの場合は速度が遅いので、スコールが近づいたら早めに逃げるしか方法はありません。
ヘリの場合は積乱雲の動きよりヘリの速度が速いので、すぐに逃げることが出来るので、米人パイロットと一緒に飛んだときなど、わざわざスコールの淵の豪雨に飛び込み、機体とエンジンの洗浄だなどとふざけあったものです。
普段の天候とスコールとの落差が激しいので、油断なりませんでした。