787バッテリートラブル 続報、、、

 

 
 
 
 787の運航停止からかなりの日数が過ぎたにもかかわらず、有効な対策が出る様子もなく来月以降運航会社がとうとう減便を強いられることになったそうです。
 
 大方の予想ではバッテリが悪いとか制御装置が悪いとさまざまな想像が出ている中で、日本製品の高品質性能で日本側は原因ではないという日本擁護論も飛び交っています。
 
 このような中アメリカの事故調 NTSBから最近になってサーマルランナウエー(熱暴走)と言う私が事故時に書いた用語が出てきています。
 
 ここで自分は専門家ではないのですが、一応パイロットとしての知識として習得した、サーマルランナウエーについて少し解説してみたいと思います。
 
 このサーマルランナウエーと言う現象は、高容量のバッテリではある一定の確率で必ず起こり、それを防ぐにはバッテリーを構成するセル(細胞)の性能をきわめて精密に一定に保つ必要があります。
 
 この787のバッテリーは8個のセルに分かれていて一つが3ボルト、直列で24ボルト 正確には26か7ボルト程度で構成されています。
 
 このバッテリーでエンジンスタート(これは正確ではないかもしれませんが)したり、APU補助動力い装置(ヘリコプターのエンジンを使用している)をスタートしたりします。
 
 エンジンをスタートするときにはピストンエンジンと違いタービンエンジンはバッテリーの電力で30%から40%まで回転を上げて自立運転入るので、相当な電力を必要とし、バッテリの容量は充電なしに、3回から5回程度、回すとバッテリーの電力は空になってしまうほど多量の電力を必要とします。
 
 そのときに使用する電力は以前ブログで書いた記憶がありますが、トラックの大きな鉛バッテリーから太い番線でヘリに直結してエンジンをスタートさせたとき、番線が電流の抵抗で真っ赤に焼けるほどの電気が流れます。
 
 さてそれほどの電力をバッテリーから取り出してエンジンをスタートし、今度はエンジン駆動の発電機からバッテリーを再充電するために、初めはスタートに使用したほどに近い大電流がバッテリーに流れ出し、充電が進むに従って流れる電流は少なくなって、5分もすればほぼ95%近い充電状態となり、正常状態となります。
 
 流れる電流の大きさはバッテリ自体の電圧と発電機からの電力を適正に調整された電圧の差によって決まります。
 
 ここで787は最新鋭機ですからたぶんバッテリの電圧と充電電圧の差をきわめて精密にを一定に保つ調整器を備えているので過大電流が流れないので発熱はしないと言っているのだと思います。
 
 ところが今回問題になっているサーマルランナウエーと言う現象はバッテリを構成する各セルが大電流をエンジンスタートに供給し、それぞれ電圧が2,5ボルトとかに落ちるのですが、この各セルが同じように正しく2,5ボルトに落ちないで差が出る場合があると大変な事になります。
 
 機体の発電機からは一定の電流なのですが、バッテリの中で高い電圧のセルから低い電圧のセルに過大な電流が流れ、低い電圧のセルが発熱しだすとさらに電圧が下がり、電流はさらに過大になるという悪循環が起こりはじめます。
 
 そしてついには機体からの充電電流を遮断しても、バッテリー自体のセル同士の間に強烈な電流が流れついには発火爆発に至ることがあります。
 
 サーマルランアウエーと言う言葉の意味がここにあり、操縦席でバッテリの温度警報が点灯してすぐに充電を停止しても熱暴走はバッテリの中の良好なセルの電力がすべて、熱を持ったセルに充電しようとし続け、各セルの電圧が同じになるか、バッテリが燃え尽きるまで、過大電流が流れます。
 
 暴走と言う意味はここにあり、操縦席からは何のコントロールも出来なくなり、無事着陸できることを祈ることしかありません。
 
 これはセルで構成されたバッテリーの宿命なのです。
 
 対策はバッテリの充電放電を繰り返して起こる各セルの電圧のばらつきが出る前に、良品と交換するしかないでしょう。
 
 
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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