凍りつくヘリコプター、、、

 

 
 
 日本では1月の下旬から2月中旬ころが一年で一番寒い時期であると思います。
 
 完全な防氷装置を持ち、支援設備が充分な空港間で運航する、定期便の航空機などでさえ、冬季間の運航において事故やトラブルに見舞われ、最悪大事故となる事例も多く起こっています。
 
 まして充分な寒冷対策のない期待で、まったくの支援設備のない野外において運航せざるを得ないヘリコプターにあってはさらにリスキーなものとなります。
 
 私の過去のヘリコプターの運航経験において、実際に体験したり見聞きした事例を少し紹介します。
 やはり過酷な低温や霜、雪などが容赦なくヘリコプターの運航を阻害するということでした。
 
 木材の運搬の仕事で、深い山中に野外繋留したとき、次の朝は快晴無風の好天で異常な冷え込みとなりました。
 
 朝まだ日が昇ったばかりの時間に仕事に取り掛かるべく、ヘリのところへついておどろきました。
 
 まだ気温はマイナス10くらいで、空気がキンキンにとがっているような状態で、日は上がってはいますが深い山中で完全に日陰となっていました。
 
 機体にキャンバスのカバーをかけたヘリコプターは全体に真っ白に霜に囲まれていました。霜がついた カバーはカチカチに凍って、布の柔らかさはまったくなく板状の状態で、機体に凍り付いていないか充分に注意しながら何とかはずすことが出来ました。
 
 問題はローターに強くこびりついた厚い霜でした。このようなことが予想されるときは特性のブレードのカバーを持参し、かけておかないと大変な事になるからです。
 
 機体の霜はすこしくらい着いていてもあまり問題はないのですが、ブレードについていると、エンジンをかけて回転が上がるに従って、とんでもない大きな振動がきて、下手をすれば横転しかねません。
 
 整備士は持参の脚立に上がって、3メートルもある高所で不安定な体制で、一生懸命ウエスで脱ぐって行きますが、気温と湿度の関係でぬぐった後から新たな霜がつくといういたちごっこの状態でした。
 
 気温がプラスならばぬぐえばそれで取れますがマイナス10度近くもあるとこのようなことになり、完全に除去出来ないまま、ある程度残してローターの回転で、一挙に飛ばすことで、エンジンスタートしました。
 
 少し回転が上がるとすぐ、左右のローターのアンバランスと翼型の異常でどんどん振動が出てきました。
 
 ローターが切る空気の抵抗でついた霜が細かく飛散し、周りがかすむほどの雪の降るような状態となりました。
 
 ある程度の振動は我慢して加速していき、さあエンジンを止めるかこのまま加速するかと言うところで、一瞬、周りの細かい雪状の氷が増えたと思った瞬間、ボンと言う音がしたような気がしたとき、一挙に霜全体がぶっ飛び、振動が嘘のようになくなりました。
 
 ブレードの凍結はすべて飛んだようです。
 
 こうなったらシメタものです。後はエンジンのオイルの温度が少しずつ上がってくるにあわせて回転を上げて行き、キャビンヒーターを全開にして、機体全体を暖めていきます。
 
 真っ白であった風防の霜も溶け出し、外の様子を見るために開いていたドアーの窓も閉めて、暖めて霜を溶かします。
 
 10分以上 暖気運転をしいったんエンジンを止め、もう一度機体の点検をし異常がないかどうかを確認し、やっと仕事に取り掛かれました。
 
 飛行準備になんと2時間、、これで雪が30センチも積もっていたらフライトが午後からになったことでしょう。
 
 やはり格納庫は必要です
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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