国家にPL法の保護、、AH1墜落事故、、


http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120131k0000m040052000c.html

 陸自ヘリ墜落:川崎重工に賠償命令 国の請求認める
 陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターAH1Sが00年6月に東富士演習場(静岡県)で墜落した事故を巡り、国がエンジンを生産した川崎重工業に製造上の責任があるとして約2億8000万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。志田原信三裁判長は同社に約2億3400万円の支払いを命じた。製造物責任法(PL法)に基づき、国への賠償責任が認められたのは初めて。

 訴訟では、PL法は消費者保護を立法趣旨としており、国が賠償請求できるかが争われた。判決は、欧州の同種の法律が「消費者」や「自然人」を保護対象としているのと異なり、PL法が対象とする「人」は自然人と法人を意味し、法人の中には国も含まれる、と指摘。「国が賠償を請求することは何ら制限されない」との解釈を示した。

 判決によると、事故機はホバリングから移動を開始しようとした時、エンジンの燃料制御装置の部品が脱落。エンジン出力を失って墜落し、操縦士ら2人が重傷を負った。川崎重工業側の責任について、判決は「通常の方法で使用していたのに墜落しており、部品脱落の原因は明らかでなくてもエンジンには欠陥がある」と指摘した。

 防衛省は判決について、「国もPL法による保護対象となることが認められ、損害額が一部減額されたものの裁判所の理解が得られた」、川崎重工業は「判決内容を確認し、今後の対応を検討する」とコメントした。

 防衛省によると、防衛装備品を巡ってメーカー側と係争中の訴訟はほかに2件あるが、いずれも防衛省は被告の立場だ。▽富士重工業が、陸自の戦闘ヘリ「アパッチ」の調達中止で、ライセンス料などの初期費用が回収できなくなったとして約350億円の賠償を請求▽東芝がF15戦闘機を偵察機に改修する契約を解除されたのは不当として契約金93億円の支払いを請求--の2件。防衛省は全面的に争っている。【野口由紀、鈴木泰広】



 AH1に装備されている川崎重工製造のエンジンKT53ー17Bだと思いますが、ホバリングから移動し始めたことろで出力は落ち、墜落したのはPL法による賠償責任があると2億円以上の支払いを命じる判決が出たそうです。

 この法律は日本語では製造物責任法と呼ばれ、製造物が設計上や製造上の欠陥や過失によって使用者に損害を与えた場合に賠償する責任を負うものです。

 ただし 国家がこの賠償を受ける権利があるか一部争点になったようですが、裁判所は賠償責任を負うと判断したようです。

 航空機は車や電気製品と同じようにこの対象にはなると思いますが、高度な技術を使ったて、少量生産される兵器などがこの対象になるかかなり疑問に思います。

 上級審の判断を注目したいと思います。

 このKT53-17Bはアメリカ製のT53-17Bのほぼカーボンコピーで53シリーズの中でも最強最新のもので1800馬力の強力なエンジンでした。

 富士重工の205Bには価格競争のためにこの川崎製を積むことが出来ず、本家アメリカのアライド社製のT53-17Bを積んで着たい価格を抑えて、国内ヘリ会社に物資輸送の204B-2の後継機として売り込むべく、朝日航洋が借り受けて1000時間約2年飛ばしました。

 私も500時間 1年以上飛ばし、短所も長所もわかったところで、耐空検査のホバリング中にエンジンからの爆発音とともに出力低下し、ホバリングオートで八尾空港の滑走路に着陸したことがありました。

 原因は高出力で1000時間酷使したタービンブレードが一挙にひん曲がったことでした。

 日本製のKT53-17Bを積んでいれば、いまや20機くらいの205Bが日本の空を飛びつずけていたでしょうが、それもはかない夢となってしまいました。

 信頼していた川崎製のエンジンがこのような事故を起こしていたとはうかつにも知らなかった次第です。

 
 

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ドクターヘリにロゴ、、、、、


 ドクターヘリは公的な事業として運営されています。

 その資金の一部として各方面からの寄付金や善意の拠出というものもある程度期待しながら経済的、人的に十分な体制を取っていかないと、航空というかなりのリスクを抱えたデリケートなものを扱うので、最悪墜落、搭乗者全員死亡という結果が待っているかもしれません。

 どんな事業でも出発点から準備万端、資金も要員も施設も機材も訓練も十分準備できたから始めましょうと、理想どおりに行くものとは限らないでしょう。

 いわゆる試行錯誤、改善改善という、悪く言えば行き当たりばったり、何とかなるだろということもある程度はやむを得ないかもしれません。

 まずはっきり言って、そのような姿勢が大事故や間一髪のインシデントの秘められた一番大きな要因となっていることは想像に難くないでしょう。

 必要な資金のうち不足するものは、善意の寄付に頼ったり、広く世の中の有形無形の支援を仰ぐということも意味のないことではありませんが、それはあくまでも、可能性に期待するという程度のものであって、もともと責任ある機関がそんなものに依存していいはずはありません。

 その寄せられる支援寄付を否定するものではありませんが、たとえばアーミーナイフにドクターヘリのロゴを入れて100円ずつ拠出することは、寄付行為でもなんでもなく明らかなビジネスでしょう。

 また某証券会社が一定の金額を拠出するからヘリコプターにロゴを入れるなどということもまったくの商行為でしかありません。

 ドクターヘリを司る誰が決めたかは知りませんが、そんなものに安売りしないでもらいたいという意見はどこからも出てこないのでしょうか。

 救急車は日本自動車工業会寄贈とか遊技場協会寄贈というロゴが入ったものはありますがよく探さないと見えないほど遠慮がちに書いてあります。それにそれは全額寄贈でしょうし、まさかトヨタ自動車寄贈とか、マルハン寄贈などと特定の企業名が入ったものは見たことはありません。

 そもそも善意で寄付する人がいたら、どうしても名前を入れろなんと言うことは言わないでしょうし、名前を入れるなら商行為として最低1億円程度は取ってもいいでしょう。

 証券会社というような会社はその程度の会社であるのでしょうし、それを公的な事業に持ち込むほうも持ち込むほうですが、

 その前に必要な資金は必要なだけ出す、これが安全運行の基本です。

 そしていらないものには資金は使わない 、、、、これがなかなかむつかしい!!

のどかな田舎にドクターヘリ、


 
 のどかな田舎の立派な巨木がある学校へ高齢者の急病の方の受け入れにドクターヘリは飛びました。

 日本社会はこのようなのどかなたたずまいをいったいいつまで維持していけるのでしょうか。

 非常に心配になります。
 

阪神大震災から17年、、、、


 昔の事をああーだ こうだと話題にするのは年を取った証拠ですが、関西に住む者にとっては、やはり 今日の日を話題にしないわけにはいかないでしょう。

 あの恐ろしい大震災からはや17年も過ぎましたが、あの日の上空からこの目で見た光景は月並みですが目に焼きついて忘れる事はありません。

 あの年の初め、義理の従兄弟がこの大震災を見ることなく、肺癌で若くしてなくなり、2月には今年17歳になる初孫が生まれました。

 震災発生当初からの取材や関西電力の復旧工事 そして六甲山系の震災対策の砂防工事関連のフライトなどが終了するまで 約1年以上に亘る長い仕事に従事しました。

 神戸はじめ震災被害地はものの見事に復興しましたが、その復興をあざ笑うが如くその後次々と予想されない地域で大地震が起こっています。

 そして今回の東北大震災が起こり、60歳を過ぎてまでその現場を飛ぶ事になるとは予想すら出来ませんでした。

 大災害が起こるたびにヘリコプターが飛び、そのたびに救援 救命フライトが十分に行えなかったと関係者間では反省対策が話し合われてはいますが、実際に飛ぶものにとっては歯がゆい思いをずいぶんとしてものです。

 高価なヘリが多数あって、有為な要員が多数いる中さらに意義深い飛行が滞りなく行えるような体制が発展するように願うのみです。

 

日航にパイロット出身社長、、、


 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120113-00000004-fsi-bus_all

 報道によると日航にパイロット出身の社長が就任するそうです。

 定期航空会社の社長をパイロットがやるということはアメリカなど航空先進国ではごく普通のことなのですが、日本の大手航空会社でパイロットが社長を勤めるということは多分航空の歴史始まって以来初めてのことでしょう。

 分野は違いますが、航空機を運航する一番おおきな組織、航空自衛隊のトップの責任者 航空幕僚長には歴代のほぼ半数はパイロットが就任しています。

 大手ではありませんが、日航の子会社 J-AIRのたしか初代社長には747-400の部長で定年を迎えた方がジェットストリームの機長をしながら社長業を勤めておられた例があります。

 日本も先進国並みになって、パイロットの地位が向上した表れと言えるならば、歓迎すべきことなのですが事情はどうやらそうではないようです。

 日本航空は会社更生法の手続きを経て、いまや再上場を目指し会社内外の大掃除中というところなのでしょうがその中でさまざまなコストダウンをしています。

 そのコストダウンの方法として一番有効であるのが2000万とも3000万とも言われているパイロットの高い年収をどうやって切るかということが一番頭の痛いことだったでしょう。

 強い組合や職人気質の技術者集団に鈴をつけられる適任者はやはり、同じ仲間から会社の中枢にいるものが自ら後輩たちの利権に切り込まなければならないということなのでしょう。

 景気の良い 経営陣としていい目が出来る時代にはパイロットなどにはやらせるわけはなく、人の嫌がる尻拭いに利用されたというところでしょうか。

 それでなければパイロットを降りたのか、おろされた人物を副社長と言う肩書きながら、ちっぽけな子会社に追いやっておきながら、本社の取締役にはさせたものの、いきなり社長とは、三段跳びもはなはだしくはないでしょうか。

 当人は有名な時代劇俳優の片岡知恵蔵さんのご子息で、この時代がかったパイロットの給料大幅カットの田舎芝居をうまく演じたら無事引退となるのでしょうか。

 大役ご苦労様ですと応援するのも少し気が引けます。

 日本航空はいまは民間会社ですが、その歴史には我々国民の多くの血税がつぎ込まれていますので余計な話ですが首を突っ込んでしまいました。

岐阜県警機 航空事故、、、


 
 今日は読者の方から報告していただいた岐阜県警機の航空事故について取り上げます。


 北ア、ヘリ救助時に100m滑落 京都市の男性軽傷


 岐阜県警は13日、北アルプス・奥穂高岳で遭難した京都市の男性(41)ら3人を3日に救助した際、県警ヘリコプターが現場で急上昇し、救助の隊員と接触した男性が約100メートル滑落する事故があったと発表した。男性は全身を打ったが軽傷。

 県警は13日、滑落を航空事故として、国土交通省航空局に報告した。公表が遅れた理由について「当初は擦り傷程度と聞いており、診断書もまだ出ていなかったので発表しなかった。国交省への報告に合わせて発表した」としている。2012/01/13/21:47 共同通信




 岐阜県警の412が1月3日に奥穂高で救助中に起こした事故のようです。状況の詳細はわかりませんし、救助隊員やパイロット、被害にあって怪我をした方などの証言のみでしか事故に迫ることは難しいようです。

 ただ急上昇したことは間違いはないようですので、その点から事故の原因を考えて見るに、ホイストを使っての救助中のホバリングや物資輸送での作業員の直近での荷物の上げ下ろし中などは、急と言う形容詞の着く操作はすべて厳禁です。

 ちょっとした荷物の振れや吊り下げられた救助隊員や要救助者の揺れは、即 その人たちの生命にかかわってきます。

 3トンもある物資が揺れて、ふわっと人に触れるだけでも大怪我をしたり、谷底へ落とされたり、ホイストの急なゆれは、隊員が矢要救助者が岩にぶつかったり、周りの人が跳ね飛ばされたり、常に大きな危険との隣り合わせです。

 パイロットは常にこのようなことを頭に叩き込んで操縦しているはずですが、何かの間違いがあったのでしょうかよく事情はわかりません。

 事故調査が入ると、このようなことを調査して、事故の原因を突き止めて再発防止ということに役立てることとなります。

 ただ 今回の発表の遅れと事故調査の初動の遅れは、なんとなく事故をもみ消そうとする動きがかいま見られることは残念です。

 100メートル滑落して軽症とは奇跡的なことであるということなのでしょうか、死んでもでもおかしくない状況であったのではないかと疑われても仕方ないほどでしょうし、滑落した当事者と示談がうまくいかなかったのでしょうか。

 任務で救助に向かい、このような事例が起こり、最悪の場合は救助すべき人を殺してしまう結果にもなりかねない場所で懸命な働きをした結果、罪にとわれかねないことなども、いつ起こってもおかしくない厳しい仕事です。

パイロットはドクターヘリの迷(?)カメラマン、、、




 ドクターヘリが救急現場へ出て、患者さんの救急処置をする着陸現場では、その活躍を世間一般に知っていただきたいような、ドクターナースの活躍ぶりや、ヘリの働きなどが、つぶさに出現しています。

 患者さんには失礼な表現になりますが、ある意味ドラマのような場面が毎回起こっていたり、医学的には専門の学会で発表するような場面もたびたび出現します。

 このような状況で仕事をするうちに出来るだけ、写真を撮っておこうという気持ちが芽生えいまに至っています。

 ただ患者さんや従事者の個人情報にかかわる疑念があったり、パイロットとしての業務に関係ないことを仕事中にするという、やや後ろめたい気持ちもないことはありませんでした。

 それにもまして自分がこのように写真をとり続けているのは、この仕事をするメンバーの中では、パイロットのみが地上の救急現場で、航空機の保安監視など、一番余裕のある仕事であるからです。

 ドクターナースはまったく混乱緊張状態であることが多く、また整備士はドクターナースの指示で機内の医療器具を救急車へ、運んだり、ストレッチャーの操作などほとんど手が空くことはありません。

 唯一パイロットのみが、救急の緊張状態に巻き込まれないで、安全運航をしなければならない立場で、写真撮影など記録係りとして適任者です。

 いろいろ批判もあるようですが、自分はこのいまの立場を続けていこうと思っています。

 飛行中の写真は整備士やドクターナースが時々撮影しているようですので、これもある意味よい連携となっています。

 よって自分が飛ぶドクターヘリの現場では膨大な数の写真を提供しています。

 良い写真が取れる安価なデジカメがあって本当に良い時代です。これがフイルムの時代だったらその費用だけでもぞっとします(笑)

何処に着陸するか、、、



 前回はどういう風に着陸するかということを取り上げましたが、答えはありません。それはパイロット自身が決定するべきことなので、他人がどうこう言う筋合いのものではありません。

 訓練生が教官に習らって、免許試験を受けるときはとにかく、そのあと機長として長く飛んでいくうちにさまざまな経験をして、自分のあるべき理想の操縦の姿を追いかけて行くしかないでしょう。

 そしてそれなりの経験をふみ、しかるべき地位になったときに、周りのものや関係者に恥ずかしくないような操縦をし、しかるべき理論というものを得ているべきでしょう。

 着陸の前にいちいち基本訓練のようなホバリングをして着陸したり、屋上への着陸が速度や高度のコントロールが難しいからといって、着陸帯の外で一旦ホバリングしてから移動して着陸するなど、技術の向上でなく楽をするような操縦に甘んじていることのないようにはといけないでしょう。

 さて今日のテーマです。

 ヘリの着陸には固定翼の滑走路上の着陸とその後のエプロンへのランプインの2通りの着陸操作があります。

 いずれにしても固定翼は機軸がセンターライン、前後位置は着陸ゾーンとエプロンの停止線ちょうど、これをはずせばすべてうまくいかなかったということになります。

 ヘリの場合はマーキングがある場合は丸Hマークのどまん中、機軸がエッチマークの向き、これ以外は失敗ということになります。

 あまり深く考えない人は、普通は話はここで終わるのですが、さてこれで話は終わりません。

 ヘリの着陸のホバリングは一応、ホイストやスリングを想定するのが普通なので、ヘリのローターの中心、マストが丸Hマークの直上というのがセンターとなります。正確にはスリングポイントはマストの前方10センチ程度になりますのでこの位置が直上でヘリがセンターにホバリングしたことになります。

 着陸接地したの場合の前後のセンターは何処なのでしょうか。マストセンターで着陸してもひとつのセンターであるということは出来ますが、正確にはヘリのテールローターや垂直尾翼がローターから後方に機種によって1メートルから2メートル出っ張っていますから、マスト中心がその出っ張った分の半分前方に着陸したら、物理的ど真ん中ということになります。

 ヘリの全体の中心ではなく、スキッドタイプのへりの場合には、スキッドがエッチマークの縦の線の前後方向の中心に着陸するという方法も考えられます。スコッドの全長の中心点がエッチマークの横の線と一致する位置です。

 今ひとつあるのは、ヘリを夜間、タイダウン(繋留固定)するための繋留環が設置してあるヘリポートにあっては斜め四方にある繋留環へのクロスチュウブからの距離が等しくなる場所へ着陸することがど真ん中といえる場合もあります。

 このさまざまな中心を今回はどれを選択して着陸するか、パイロットが決めて、たらたらホバリングなどしないで自分が決めたど真ん中を狙って一発でノーショックで着陸、毎日毎回、、、格好の修練となります。

 もちろん機軸もまっすぐに、、できたら無駄舵を使わないで、ふらふらしないで、、、、

 さてあなたは丸エッチへ着陸するとき、どのど真ん中へ着陸していますか。

 そう ヘリのパイロットがピッタリ 着陸したといってもこのどれを選んだんでしょうか、、

 固定翼はひとつしかありませんが、、

 全国に何万人おられる生コン車のドライバーの方たちはバケットのバックで30センチの誤差で止め、宅急便の定期便の10トン箱バンのドライバーの方たちはターミナルのプラットホームにバックで10センチの誤差で止めないと仕事にならないでしょう。

 ましてやプロのヘリパイは今日取り上げたこと程度は自覚して技を磨くべきでしょう。出来るか出来ないかはわかりませんが、、、、

 

どう着陸するか、、、




 今日は k1o**003 さんのご質問に答えて少し操縦の技術論です。

 航空機の操縦では着陸が一番難しいとか、同じような完璧な着陸は2度と出来ないとか、続けて出来ないほど難しいものだというようなことが、世間一般的に言われています。

 では完璧な着陸とはというものなのでしょう。

 固定翼機の場合は滑走路上のマーキングされた着地点のどまんなかへメインギアーが着くこと、左右方向は機体のセンターがセンターラシンの真上で、沈下率は接地時はゼロ、アプローチ中は3度の降下角で120ノットであれば600フィート/毎分ですから、着陸のフレアー操作を始めたら、同じレートで沈みの率を減らすような操作で、接地の瞬間が沈みゼロとなる。

 これ以外は完璧な着陸操作とはいえないでしょうが、こんなことを何回でも出来るようなパイロットはそうはいないでしょう。

 そこでやはり沈みのコントロールでは、戦闘機やセスナなど小型機では比較的高さがわかりやすいので、1メートルとか50センチ程度で沈みを止めて、若干水平飛行に入れて自然な速度の低下にに伴って、高度の低下にしたがってソフトランデングするというような操作が一般的ですが、これはもちろん邪道でしょう。

 大型機は知りませんが、想像するに着座位置が高いのでこの高度判定はやや精度が難しいので、最後に沈みを止めるのは1メートルから2メートル程度にするのでしょうか。

 つまり最後まで沈下率を一定のレートで減らしながら接地の瞬間 ゼロという操作は失敗したらハードに着きますから普通はしないでしょう。

 つまり完璧な着陸ではなく安全な着陸をしているということが読み取れます。

 これと同じようにヘリコプターも1メートル程度の高度でホバリング静止して、その後垂直に着陸するという操作が、基本の科目として何回も何回も、実施し操縦操作の基本を身につけることになっています。

 しかし前の会社の超ベテラン操縦士の方でこのような着陸をする操縦士はあまり見たことはありません。

 ノーマルアプローチ12度・70ノット程度で降下率600フィート/分で進入し、減速をはじめたら固定翼と同じように降下率を一定のレートで減らしながら、ヘリはやや特殊ですが、速度も一定のレートで減速します。

 そして所望の接地点へ速度ゼロ、降下率ゼロ、そして機軸をまっすぐこれが、実用操縦の基本でしょう。エプロンに入って着陸するならこれが前進速度4キロ程度からこの実用操縦をします。まっすぐ垂直に着陸する意味はほとんどないのではないでしょうか。

 これはどのような操作で着陸することが正解なのかという私なりの答えです。

 着陸地点が積雪であったり障害物があったり、条件が変われば速度や沈下率や進入角度を変えるだけで、おのおのの減じるレートはその場にあったレートで変え、さらに不安であれば一旦水平、速度ゼロなどは自在に調整するべきですが、結局そのような操作をしなければ着陸できないなら読みが悪いか、操作が下手かその両方かでしょうか。

 進入してきてヘリが静止するのは接地の瞬間だけ、これがまともな着陸ではないでしょうか。

 さてでは静止する着陸の瞬間、何処に下りるのかはまた次の機会にでも取り上げます。

雪上着陸の課題、、、





 温暖化、温暖化といわれて久しく年月が過ぎていますが、昨年 今年はは普通の気候で温暖化は何処へ行ってしまったのかと思うこのごろです。

 5日に仕事について6日にはいきなり雪上着陸に遭遇し、改めてその課題の大きさを実感しました。

 ドクターヘリは何しろいつ何処へ飛んでいくかわかりませんので、いきなり除雪も圧雪も十分でない場所への着陸は普通に起こりえます。

 また除雪、圧雪まで待っていれば良いという判断もままならない中、できるだけ短時間に患者さんを収容して病院まで送り届けるには何が優先するかという、難しい判断が必要です。

 昨年からの経験では、幸いなことにEC135のスキッド(着陸装置)に装備されたスノーシュー(スキー)は新雪から圧雪、除雪の有無、降雪量にかかわらずどのような状態であっても、着陸可能でしかもエンジンを停止しても不均衡に沈下することはないようです。ただし左右の傾斜の状態ではどのような不均衡な沈下をするかは、かなりの不安要素はあります。

 雪の下の地盤が水平であれば安心してエンジンを停止して、患者さんを収容して飛びたつことは問題がないようです。

 ということは昨年までの雪中運航で確認が取れていますので、後は着陸地点と患者さん搬入の経路のアクセスを出来るだけ近い場所に着陸し、その間の除雪、圧雪をどうするかということが課題となります。

 50センチ以上の新雪があれば、自分の体ひとつでも自由に動けないとこはスキーやスノボーを少しでも体験した方ならわかると思いますが、救急患者さんをヘリに収容することが、そのような状況ではいかに困難であるか一度でも体験すればよく理解できます。

 着陸地の広い野球場の基本どおり(?)にど真ん中に着陸することがいかに馬鹿げているかなどは常識中の常識となるでしょうがそのようなことすらほとんど理解されていないようです。

 やはり最終的な解決方法は和歌山県のように、各市町村には1箇所以上の救急専用ヘリポートを整備し、常に除雪など、維持管理をすることが一番確実な方法なのです。、これは病院基地に格納庫を整備してくださいと長く言い続けてやっと最近は理解されてきたことにと同じような重要な課題なのですがあまり理解されていないのは非常に残念なことです。

 このようにして市町村各一箇所程度、整備された救急へリポートには将来的に夜間照明施設などが整備され、ドクターヘリの24時間運航につながっていくものです。

 またこのような将来的な課題を十分検討すらしてない中で、ドクターヘリの計器飛行などとばかげたことを言い出す連中がいることを本当に情けなく思います。

 もっとほかにやることがいっぱいあるのに、、、、、

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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