ANA機 機長アルコール検出で欠航、、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111130-00000549-san-soci
ニュースによるとパイロットの離陸前のアルコール検査で規定値以上の値が出たので、乗務できなくなり当便は欠航したそうです。
アルコール検査するようになってこのような事態は初めての例だそうです。
検出された値は規定値の3倍以上の0,31ミリだそうで通常、車の運転の場合酒気帯び運転の値の2倍相当だそうです。
ちなみに酒気帯びでなく、酒酔い運転に該当する値は0,5だそうですので結構残っていたようです。
本人は検査には引っかからないと思っていたのでしょうから、乗務するつもりで検査を受けたのでしょう。
乗務前の飲酒の制限時間は当初 乗務前8時間以内はだめという規定だったのですが、数年前以前により厳しく12時間に規制強化されています。
これは航空会社各社が運航規定に定めることによって規定していますので、ドクターヘリなど定期運航会社以外の航空会社にも12時間に規制強化するようにとの指導があったようです。
いまのところ私の所属する運航会社は確かまだ8時間と規定しているようです。
朝9時に離陸する便に乗務するパイロットは夜9時までしか飲酒できませんので、今回の当事者たちは夕方5時から4時間半飲酒し、当該 機長は焼酎水割り6杯飲んだと証言していますので、9時半離陸の乗務にはぎりぎり規定内です。
しかし普通常識のある人間が5時からお酒を飲むことはあまり考えられません。普通は6時以降くらいかなと思いますが。
証言は規定類を大いに意識しているということでしょうか。
朝 8時から運航するドクターヘリは12時間以前禁止ということになれば、ほとんど食事中の飲酒は出来なくなってしまいますので健康のためには非常に良いということになります。
いまは8時間という規定ですので12時までは飲酒してよいということになり、その規定の恩恵を受けて楽しい夕食をさせてもらっているところです。
このような事例が多発すれば、ドクターへりなど中小不定期運航会社の規定も、いずれ近い将来には12時間ということになるでしょう。
その前に業界からめでたく安全運航継続したままでおいとますることにしたいものです。
ドクターヘリ 公道に着陸
ドクターヘリが導入されて10年過ぎ、ドクターヘリを取り巻く環境や、携わる多くの方たちの意識など、多くのことが変化してきています。
悪くなっていることの代表的なことは、新規の運航要員が確保できなくなってきたということですが、良くなってきていることも数多くあります。
その代表的なことは、ランデブーポイント方式ではじめたドクターヘリが災害事故現場のすぐ近くに着陸することはほとんどなかったようです。
しかし 最近は現場のすぐ近くに着陸することが普通になってきました。
そして今回、5年のドクターヘリ運航で初めて、警察が道路を着陸場所として確保するという事例に当たりました。
交通事故 傷病者 閉じ込めの事例で、紅葉の観光寺院に通ずる公道を着陸場として確保していただいて、無事患者さんを大都市の救命センターへ搬送することが出来ました。
着陸中は一般の車両や観光バスまで迂回していただくような処置をとっていただき、いままでの対応とは一味違った着陸となりました。
CPA(心肺停止)や非常に重い症例の場合には一刻も早い医療介入が生死を分ける可能性があり、ランデブーポイント方式では時間的に非常にもどかしい状態なので、どうしても現場へ着陸というよう要求度が高いものです。
ヘリコプターの運航ではランデブーポイントへの着陸に比較して、任意の現場の直近に着陸することは極端に難易度が高くなったり、まわりに与える影響や被害なども大きい可能性があります。
高い安全性を維持しながら、付近の皆さんに被害影響を与えず、救命を全うすることは、運航クルーに与えられる最大の任務なのですが、これをどの程度答えられるかということは重い命題です。
本日 40万ヒット達成!ご愛読ありがとうございます!
今日2011年11月19日 まもなく40万ヒット達成しそうです。多くの皆さんのご愛読のおかげで2007年5月以来4年半ほどでここまでくることが出来ました。
途中1年ほど中断していましたし、現場復帰で更新回数ががた落ちとなってしまって申し訳ありません。
何かトピック的な出来事があれば積極的に更新したいと思っていますので、たまには覗いてみてください。
ドクターヘリの世界は表ざたにはなっていないようですが、ここ最近になって大きな出来事がありました。
某大手運航会社が某県からのドクターヘリの運航業務の依頼を断ったといううわさが聞こえてきました。
その断った理由は、運航要員が確保できないという理由だそうです。
業界の良識ある人間なら予てから心配していた事態がいよいよ現実化したというだけの話なのですが。
各県1機体制をもくろんでいた厚生省の計画が大きく影響を受けることは必須なのですが、その解決策を要員の経験技術レベルを下げることによって達成しようとすることは目に見えています。
その結果が事故や不安全に直結しないように祈るばかりです。
ドクターヘリの風圧被害の実例、、、、
5年ほどドクターヘリのフライトに従事し、自分が起こしたものや同僚が起こしたヘリの風圧による被害申し立ての実例を取り上げてみます。
実際に起こった例をよく検証すると、今後の対策の立て方や、飛行に際しての予防処置というものがあらかじめわかってきていらぬトラブルに巻き込まれることを予防することが出来ます。
やはり一番多いのはヘリの風による砂塵被害でしょう。
週末に学校に着陸した際、砂塵が巻き上がり、校舎が伝統ある古い木造の気密性の悪い建物であったため、教室じゅうが砂だらけになって、週明けに校長先生から消防に猛烈な抗議があり、掃除しに来いとのことで非番の消防職員が総出で出かけた例がありました。木造の古い建物は機密性が悪くて要注意ということです。
学校の周りの住民の方たちからの苦情の例もかなりあります。これは学校の校庭で舞あがった砂塵がヘリの風や自然の風向風速で流されて住宅に入るものだと思われます。あらかじめ市町村が広報したり、現場に先に着いた消防の支援車両などがマイクで窓を閉めたり洗濯物を取り込んだりするようにお願いしてはいますが十分に徹底されないこともあるようです。また田舎の治安の良い地域にあっては2回の窓など開けたまま外出されている例も多いようです。
ドクターヘリの緊急性もあり、急に飛んでくるヘリに対応できない方も多くあるようです。さらにはヘリがめずらしいのでわざわざ窓を開けてみていたら、急に砂塵が飛び込んできて部屋中が砂だらけになったと笑いながら言っていただいた住民の方もおられます。
変わった例では海岸近くの地域で、漁業の方が日干しを作るのに魚を干していたら砂だらけになってしまったという苦情があったことがあります。
風の強い日には舞い上がった砂塵が予想以上にかなり遠くまで飛んでいく可能性があるようです。
その他風圧の影響による被害では車が飛んできた小石で塗装に傷が付いたという例も数件以上はあるようです。通常ヘリの風圧による強風は大型機でも20M/S以下でドクターヘリ程度の小型機では15メートル程度以下ですので時速に直すと60キロ程度です。この程度の風では常時100キロ程度で走る車がそう簡単には傷が付くものではないのですが実態は良くわかりません。
変わった被害例では、海水浴場の海岸で心肺停止の子供に蘇生処置をしていたところの脇に着陸した例で、着陸した場所とから100メートルくらい離れたところで、携帯電話とデジカメをコンビニ袋に入れて放置していたという人から風で飛んで海水に水没し、壊れたのでということで数十万円保険から弁償した例があります。
まったく逆の苦情があった例もあります。ドクターヘリの着陸に際して毎回消防車が散水することみて、その水は高い税金から負担しているのだから無駄なことをするなと、思いもかけない苦情があった例もあります。
その地域にでは最終的には適当な空き地があったため、ドクターヘリ専用の着陸場を新設し以後問題は発生しなくなりました
救命の緊急性と風圧被害防止ということはなかなか折り合いが難しく、今後もある程度は発生することは見込まないといけないでしょう。
NHKヘリ事故 担当者書類送検、、
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111108/crm11110817440024-n1.htm
平成19年12月静岡ヘリポート付近で墜落したNHKチャーターのEC135墜落事故の法的な責任を捜査していた静岡県警は整備担当者2名と事故で死亡したパイロットを書類送検したそうです。
整備担当者は容疑を認めているようですので、刑事裁判となって有罪を言い渡される可能性があります。
国家から免許を与えられ、一般人が出来ない業務を行うことを許されているものには、大きな責任が伴うということですので、身を引き締めて日常の仕事をすることが非常に大事な事なのでしょう。
岐阜の防災ヘリの事故に関してもまったく同じことが言えると思います。
事故に至った経緯などは以前詳しく取り上げていますので、世の中は複雑で、航空機事故は製造者から整備 操縦 法的な規制や許認可など細かくお互いに影響しあって最終的に事故につながるものですから、最後の砦はやはり直接運航するパイロットが府安全を見逃さないということになるでしょうか。
罪を問うことでは亡くなった方は帰ってはきませんが今後新たな犠牲者が出ないための大きな力になるということは間違いないでしょう。