ドクターヘリ 連続出動に備えて、、、、
月に10回も飛ばないようなドクターヘリでも運が悪いと、出動要請が重なることがあります。まして月に40回50回も飛ぶようになると5回程度は飛んでいる間に次の要請が入ることがあります。
このような事態に備えて、隣県とお互いに応援協定を結ぶということが行われ、実際に隣の県へ飛んでいく事例も出ていますが、いかんせん距離が遠くなりますから、救急患者さんへの対応に時間がかかります。
隣の県へ応援要請するということもひとつの方法ではありますが、自県のドクターヘリの到着時の給油、資器材の入れ替え、要すればドクターナースの交代などを迅速に行って、重なる要請に遅滞なく応じるということも必ず必要なこととなります。
このような対応は重なった要請のときだけではなく、ひとつの現場での複数患者発生のときにも必要となることがあります。
これを実現するためにはいろいろ条件を整備しないといけないのですが、まず一つ目は給油の問題でしょう。給油のために一回ごとに遠方へ飛んでいって15分も20分もかかるようではお話にならないでしょうし、ごく近くであっても10分から15分かかりますので、基地病院へリポートでヘリのエンジンを回した状態でも給油できる体制が理想でしょう。
もうひとつはドクターヘリに搭載する医療機器や器具薬品類です。前段の患者さんに使用した器具、薬品類がかばんごと入れ替えるように用意されていることが必要で、かばんごと入れ替えるためにヘリポートへすぐに運べる体制が必要です。
バックボードや場合によってはヘリ搭載用の専用のストレッチャーも予備のものがあれが、短時間に次の要請にこたえて飛んでいくことが出来ます。
運んできた救急患者さんが固定されたヘリコプター用のストレッチャーから降ろして、病院用のストレッチャーにヘリポートで乗せかえる作業だけでも10分程度かかってしまいますし、病院内の救急部へ運び込んでストレッチャーから降ろすとなると20分程度かかりその間ヘリは飛べないということになります。
このヘリ専用のストレッチャーはほとんどがヘリコプター救急用の外国製品で、1台100万円以上し、しかも同じEC135であってもメーカーが違うとまったく互換性のないものがあったりして、予備のものを買ってもヘリが変われば使えないという困ったことが予想されます。
もちろんこの予備のストレッチャーを購入して配置しておくことが必要であると決めてもその費用はヘリ会社か病院かはたまた県が支払うのかなどの問題もあります。
私が勤務する県は病院、県とも非常に理解があるところで、費用の負担は了解していただけたのですが、ヘリが変われば使えないということで一時保留となってしまいました。
医療機器を積んでヘリをもってこいなどという県では、ストレッチャーも予備をもってこいと一言でヘリ会社負担となるでしょう。
いろいろな機材器具薬品類を準備して重なった要請に応じる体制は必ず必要なのですが、その中で一番大切なのは救急外来のドクターナースとフライトドクターナースの連携であって、最初の患者さんをいかにスムースに受け入れて、次の現場へヘリを以下に早く出発させるかはそれにかかっています。
先日あった出動要請の重なった例ではなんと着陸から次の離陸まで立った7分しかかかりませんでした。
その決め手は何かというと、救急部で最初の患者さんを受け入れていただいた、ドクターナースも日ごろヘリに乗って飛んでいる方々だったことであったようです。
何をすればヘリがいち早く次の現場へ出発できるかということをよく理解されているからでしょう。