パイロットの8分頭、、、、
パイロットの飛行教育のごく初期のころから、パイロットの8分頭とか5分頭とか言うことを教育され、実際に飛んでみるとまさに、もともと悪い頭が8割5割くらいしか、働かないことを身をもって知ることとなりました。
30年以上も飛んでいても今だにそのようなことを感じることがあって先人の教訓はさすがだなと思い当たります。
このようなことは、車の運転をしながら2桁の足し算引き算を暗算でやってみればよくわかりますが、安全のためにこのようなことはあまりお勧めできません。
操縦教育に受けるにおいてこのような人の頭の働きをいかに早く理解し、操縦操作と頭で考えるべきことをいかにうまくリンクさせるかどうかということが上達の決め手となります。
計器類がデジタルでなくアナログになっていると、今の指示値を読めば、制限値まであとどれだけあるかは計算しなくても一目でわかりますし、コンパスの変針のリード量も一目でわかります。
ただし多くのフライトマネージメントはこのような足し算引き算では済まないで、ヘリの場合は特に地上の風や機体重量、テールローターの必要馬力,利き具合などはいわゆる体感と経験がその判断の基準となります。
しかもそれは瞬間的な操舵やパワーコントロールそして当て舵、みこしの舵、などかなり微妙な反応が必要となります。
これは先に述べた機上での計算問題とはまったく違っているから、先天的な素養であろうと一般的には思い勝ちですが、いつは計算問題と同じで、何回も繰り返す経験の中でどう動かすかの答えを出す、一連の修練ではないかとも思います。
まったくの一から飛ぶ、初めて訓練を受け、当初5分頭と言うことを思い知って、それから経験を積んで10割頭になるまでどれほどの長期間の修練が必要なことでしょうか。
様々な操作ミス、知識不足、天候判断、ポカミス、などなど、パイロットの5分頭をあざ笑うかのような事故が次々と起こっている現状を見るとき、人間の能力の限界を感じざるをえません。
航空機ばかりではないと思いますが、地上を走る車、海の船、動くものは全てこの様な人間の間違いやすい性質をうまくカバーするように作っていただきたいと思いますし、かなりはそのように出来ているのですが、その隙間を縫って間違いや、事故が起こっているようです。
どんどん続くヘリパイ、整備士募集、、、、、
http://homepage1.nifty.com/Heliport-K/
公的運航の組織からのパイロット整備士の募集がどんどん続いています。これはもちろん団塊の世代の引退に伴う、交代要員の補充ということなのですが、ほとんど募集されている要員は即戦力です。
自分たちが飛ばしているヘリコプターの機種に対応した資格かそれ以上のものを、持っていてしかも、その組織が行っている運航を行えるような経験を持っていることが望ましいなどと、まったく身勝手な条件をつけているようです。
県警 消防 防災などヘリコプターを運航する組織としてはほとんどがあまりにも小さいので、うまく要員を育成して、熟練者の引退に対応できないということがこのような引き抜きもろだしの募集を行うしかない苦しい台所事情なのでしょう。
いまや民間のヘリ会社も一時の事業縮小の時期も過ぎ、公的機関と同じように段階の世代の引退の時期になって、人あまりの一時期のようなことはなく、同じように熟練者がほしいような状態になってきているようです。
ただ民間会社は会社によって、処遇に大きな開きがあったり、会社の風土が技術者の定着を妨げる雰囲気であったりして、安定した公務員を目指すパイロット整備士もいまだに後を立ちません。
果たしてこのようなことが正常なのかどうかは、誰が考えてもわかってはいるのでしょうが、解決策を言い出す人、主導する人が出てくることはありません。
つまりパイロット整備士個人はより上の処遇や働きやすさ、企業や組織の風土を求めて虎視眈々と外の様子ばかりを見つづけ、組織会社はその時々に必要な人材意だけをどこかから引き抜いてくることしか考えません。
組織も個人も自分さえ良ければと言う、きわめて身勝手な構造が助長されているようです。
海上保安庁や一部警察に見られる、ごく若年のペーパーライセンサーを雇用しようとしているところはきわめて善良なほうで、この部分は整備士なら専門学校卒業直後、パイロットなら民間飛行学校で高額の費用を使ってやっと事業用をとったレベルから雇用して育てようとする姿勢が見えます。またこのような募集はきわめて狭き門となっているようです。
自衛隊以外の公的な目的で飛ぶ民間のヘリコプターの操縦士はざっと見ても500人程度はいそうです。また純民間ヘリといえども、その飛行目的にはかなり公共的なものも多く、定期便の航空機のパイロットに匹敵するような公共性もあります。
昔の農水協訓練生その後の航空大学校別科と同じような公的制度を設けて、県警防災消防、ドクターヘリ そして民間ヘリまでのパイロットを十分任供給できるような制度を設けない限り、今のような他人の不具合を省みない、変な引き抜き合戦が延々と続き、従事者は安定したパイロット生活とは程遠い他人の懐ばかり見るような、ある意味醜いせめぎあいが続きそうです。
そしてそのことが結局はパイロットとしての技術的な成長を阻み、最終的には安全性に悪い影響を与えなければ良いのですが。
そういう私も自衛隊から大手民間会社 そして零細民間会社へと渡り歩いてしまってはいるのですが、、、、、、、、、
八尾空港セスナ206道路上不時着事故調査報告、、、、
http://www.mlit.go.jp/araic/
平成20年8月19日 八尾空港のR/W27ファイナル500メートル付近にエンジンが停止した第一航空所属のセスナTU206が不時着した事故の調査報告が発表されました。
昨日のお昼のテレビニュースで流れていましたのを見た方も多いと思います。
過去に地上滑走中にエンジンが止まる事例があり、その原因は燃料配管中に気泡が発生し、十分な燃料がエンジンに供給されないのが原因でそれを防ぐためには、補助燃料ポンプを作動させて、圧力を高めるてやると防ぐことが出来るという考え方が、社内にあったようでした。
かたやメーカーから着陸進入最終時などエンジンを絞った状態で、補助燃料ポンプを作動させると燃料供給が過多となって、エンジンが止まる恐れがあるという通知が出ていたそうです。
要はポンプを作動させてエンジンが止まらないようにした手順が逆にエンジンを止める原因を作ってしまったということだったそうです。
まったく同じ補助燃料ポンプの操作が方やエンジンを止めてしまい、方やエンジンが止まらないようにする操作であったということです。
やはりパイロットは自分が乗る航空機の性能、構造、操作について絶対的な知識を持っている必要があるということをものの見事に教訓として残したといえるでしょう。
あるひとつの操作は何のためにするのか、その操作をすることによって機構的にどのような動きがなされ、どのような結果がもたらされ、そしてどのような危険性があるかなど逐一知っていなければならないということでしょう。
しかし少しの間違った操作がエンジンを止めてしまうとは、構造的にはなんと恐ろしいことなのでしょうか。アクセルが引っかかってフルスロットルのまま戻らないのと同じレベルの恐怖でしょう。
トヨタ車リコールとヘリコプター、、、、、、
アメリカでトヨタのレクサスなどのアクセルがフロアーマットに引っかかり、フルスロットルで戻らなくなって、死亡事故が連発し、リコール(無償修理)400万台400億円の費用が発生するそうです。
トヨタ側は問題のマットは2重に敷くなど使い方に問題があって、車自体の欠陥ではないと言い張っているようですが、死亡事故が連発したことは事実のようで、無償修理に応じることになったようです。
アクセルがフルの位置で引っかかったら、それは恐ろしい状態になって普通の人なら何のすべもなく激突という最悪の結果になるでしょう。
ヘリコプターや航空機が操縦系統などに同じようなことが起こったら即墜落という最悪の結果に直結する恐ろしい事態ですが、同じようなことが実際に起こっています。
ここ5年以内に起こったことではA社のAS350のピッチレバーの付け根の可動部分にシートベルトの部品が着陸時に引っかかり、パワーをあげることが出来なくなってそのまま低出力のままハードランデングして機体を壊しました。
幸い横転することなく搭乗者はほとんど怪我もしないですんでいますが、タイミングが悪ければ墜落全員死亡ということも起こりえた話です。
十和田湖で日本発の女性ヘリパイロット 岳 ユミ子さんが墜落死した事故は、原因不明という結論だったようですが、仲間内では低空飛行中にはずしてあった副操縦士席の副操縦装置の連結部分に何かが一時的に挟まってコントロールが一時的に出来なくなったのではないかと噂しあっていました。
自分が体験した例ではベル205Bのローターコントロールの油圧装置の一部分にあとつけのフックコントロールの配線が挟まり、操縦桿を斜め左後ろ方向に最大限までとられ、大きく左頭上げになったところではずれ、何とか事なきを得たことがありました。
このようなトラブルは車に限らず、瞬間的に大事故に繋がる大変怖いもので、うまく緊急手順を取る暇もない恐ろしいものです。
トヨタは自らの車の欠陥ではないと言い張ってはいますが、無償修理を認めたのですから余計なことは言わないで、危険性のある設計は自ら進んで修正するようでないと、誰もトヨタ車を買うものがいなくなってしまうでしょう。
自分たちが作った車は絶対安全だけれど、不幸な事故が起こったのは使い方が悪いからだなどというような人たちが作る車を信用して乗る人がいるでしょうか、、、
マーシャリング(2)
上の写真の着陸は水田がぬかるんでいて枕木がなければテールが下がって地面に当たってしまいます。よって平行に2本置いた枕木の上に着陸していますが、一回目の着陸には誘導が必要ですが2回目以降はパイロットの目の前に置いた工具箱が目印となり、誘導なしに着陸します。
ヘリコプターの離着陸時のマーシャリングはほとんどが形式的なもので、実効性はないというのが私の意見ですが、逆に邪魔になることが想定されることも多々あります。
航空機が滑走路に着陸するに際して、ヘリコプターといえどもその着陸帯の20メートル先に人が立つということは、最終進入でエンジンが故障するなどの重大な緊急事態になったとき、その人を傷つけてしまう恐れが大きいでしょうし、そのまま不時着するにしてもその誘導員が最大の障害物となって、着陸帯は避けようとすることでしょう。
また マーシャラーが立っているときは、パイロットは通常の進入速度よりも必ず遅くしてその人に余計な風圧を与えたり、速度が速いと自分に接近しすぎるのではないかという不安を持つこと配慮するでしょう。
マーシャリングは進入着陸に際してするものではなく、その後移動してパーキングするときにするものです。
着陸帯に立って誘導するなどはもってのほかでしょうし、着陸帯の延長上に立つことすら危険があるでしょう。
離陸時も同じことが言えるでしょう。20メートル前でホバリング上昇の合図をもらった後、ヘリはまさかその誘導員の頭の頂上を越えて離陸していくのでしょうか。風の状態によってはその方を避けて離陸することが難しいこともあるでしょうから、邪魔者でしかありえません。
つまり進入着陸、そして離陸上昇はマーシャラが邪魔になることが多く、その当人も危険な位置にあることが多いようです。わざわざそんなこと危険なことを何のためにするのでしょうか。
しかしマーシャラーに誘導してほしいこともないではありません。それはホバリング後の接地のときに、地面が傾斜していたり、ごつごつした岩であったり平坦でない場合に、スキッドやタイヤの接地状況を直接見ることが出来るのは誘導者だけですから、安定接地したかどうか、また左右前後に移動してさらに良い接地状況の場所へ移動させるなどのアドバイスがうまく出来ると非常に助かります。
またそのようなとき、後ろ下がりになったりするときはテール部分の地上からのクリアランスを見極めて接地の位置決めをするということも必要です。
雪上着陸にはさらに微妙な誘導が必要となる可能性もあるでしょう。
しかしこのようなことは、外部の消防隊員の方に望むことはまず不可能なレベルだと思いますので、アドバイスがもらえたとしても、完全に依存は出来ない言うことになるでしょう。
要するにやってもやらなくても良いマーシャリングはかえって正常な着陸の邪魔になり、本当に必要な誘導は技術的にきわめて難しいということが言えるでしょう。
マーシャリングする要員に余裕があるならば、着陸帯を広く開けて、周囲の第3者たちをうまく警備して、出来ればいつでも無線には出ることが出来る体制でいてほしいのですがなかなかうまくいかないものです。
なぜならば形式的なマーシャリングを受けて着陸することに何の疑問も持たないで延々と続けているヘリ集団があることでこのような風潮が助長され、危険性や邪魔になることを疑うこともないこのようなことがヘリコプターの常識であると信じている人たちが多くいると言うことは否定できないでしょう。
地上員のヘリコプター誘導(マーシャリング)って必要??、、、、、
防災ヘリや防衛庁ヘリが離着陸する場合に地上の誘導員がヘリの離着陸に際して地上誘導を行うことがあります。
民間のヘリコプターの場合はこのようなことはほとんど見たことがありません。
このような地上誘導は必要なのかどうなのか、また必要ならばどのように行うのが良いのでしょうか。
ドクターヘリが離着陸する場合、いわゆる飛行場以外の離着陸の許可を受けないで、航空法91条の例外規定に従って行う場合は、地上の消防機関等の支援を受けて行うようにとの行政指導があるようです。
この支援がこのマーシャリング等も含めるかどうかということが支援のひとつの根拠となるかどうかでしょうか。
もともと民間のヘリコプターは人員、機材、経費等最小限で飛行することが当然で、このような地上誘導なるものを受けて離着陸することがほとんどなく、さらには専門の誘導者を機上に乗せることもかなわなくて、整備士を飛行中はその任に当てることが普通でした。
ですから民間ヘリのパイロットはそもそも地上誘導の援助を受けることなく、安全かつ確実にそして一番効率的な場所を選んで着陸することを要求され、それを自ら実行してきています。
自衛隊や防災のヘリは当然のごとく地上誘導員がいて、広いグランドに着陸する場合はほとんど何のためらいもなく、敷地のど真ん中へ地上誘導されて着陸します。
民間のヘリのパイロットは90%以上真ん中に着陸することはないでしょう。進入は真ん中を狙いますが、着陸時パーキングは端のほうへ移動して、次の進入機に備えたり、グランドの他の使用者を配慮したり、出力が十分使えなくても離陸方向が広く確保したり、グランドに進入する救急車、消防車、燃料車のわだちでグランドが痛まないように、また舞い上がる砂塵がなるべく少ないような場所を選ぶなど、ありとあらゆることを考慮して最適の着陸地を広い敷地の中のどこを使うか決めるものです。
このようなときに地上支援の消防隊のマーシャリングがど真ん中に着陸するように誘導されると非常に困ってしまいます。
マーシャリングによって生じる不具合はすべて消防の方で責任を取っていただけるにしても砂塵で痛むエンジンの修理費用は支払ってもらえないでしょうし、その痛んだエンジンが故障して墜落しても責任は機長に来るでしょう。
また1分1秒を争うドクターヘリが自分が選んだ一番最適な場所へスームースにまた迅速に着陸することが命ですので、地上誘導員のマーシャリングに付き合うために着陸が遅れることなどはもってのほかでしょう。
またマーシャリングに立つ消防隊員のいる場所が一番着陸に適した位置であるということもありますがそこにたってしまわれると着陸できないということにもなってしまいます。
防災や自衛隊のヘリが訓練で飛来するとき、見学者や観衆の見守る中を地上誘導によって定位置に着陸することは見栄えはするでしょうが、時間がかかろうが、何をしようがすべては演技なのですからどうでも良いことです。しかし1分1秒を争う緊急出動においてそのために時間がかかったり、安全に効率的に一番良い場所に着陸できないとなるとマーシャリングなどしないでどいておいてくれといいたくもなります。
そんな悠長な飛び方ばかりしているから、山に,,,,,,,,,,
日航のボンバルデア機、名古屋空港へ緊急着陸、、、
23日午前 大阪伊丹から山形空港へ向かいっていた日航(Jエアー)機 ボンバルデアCL600型機が発電機のオーバーヒート警報を示す回路に断線が生じ、急遽目的地を名古屋空港へ変更し緊急着陸したそうです。
経営破たんの危機にある日航が何かをしでかすと、マスコミの餌食になるちょうど良い話題を提供した格好になってしまってかわいそうです。
中東から日本へ飛ぶチャーター便ではANAと日航が1機ずつ747を飛ばすべく予定を組んでいたところJALが故障して飛べなくなって非難を受けたことも最近あったようです。
以前このブログで、キャビンプレシャーの故障機が最寄の関空や中部国際空港に着陸しないでわざわざ目的地の羽田間で飛び、着陸時に緊急着陸と称して着陸料金の減免を受けたのではないかと取り上げたことがありました。
今回の緊急事態では、警報系統に断線という通常に飛行にはなんら差し支えない故障であるにかかわらず、途中の名古屋空港へ緊急着陸までしたのはなぜなのかとまで思う人は少ないでしょう。
系統の断線を表示する注意灯があれば、断線とはっきりとわかり通常の飛行には差し支えないのですからマニュアルにしたがって、本来の目的地山形まで飛行することは出来ますが、ヘリコプターのEC135と同じように、発電機ホットの注意灯だけしかないシステムならば、一応加熱状態にあるということを想定して、発電機の作動を止め、残ったもうひとつの発電機のみで緊急着陸ということになるでしょう。
ここで航空に少しでも詳しいものならば、わかるのですが、Jエアーの本社は名古屋空港にあり、その上空でトラブルが発生し、それが軽微なものであっても、念のため、また山形以降の運航のため、降りて点検修理するかというような判断もありうるでしょう。
これが本社とぜんぜん離れた地域を飛行中に同じようなトラブルが発生したら、目的地まで飛んだかどうかは、少し考えればわかることでしょう。
もうひとつ別の見方もありえます。
航空会社が良く使う手なのですが、何か重大な緊急事態が発生したときに、本当のことは報告公開しないで、系統の警報装置の故障でしたという手です。
本当に発電機のホットコーションがついて、その発電機を止めても過熱警報が消えない場合はかなり危険性の高い緊急事態で、エンジンルームが異常な高温になっている恐れがあってすぐに緊急着陸という事態です。
このような場合では乗客やマスコミに強く不安を与える可能性があるので、警報装置の故障で本体の危険性はありませんでしたとやる可能性があります。
今回は8時半に離陸して9時まえには名古屋上空に差し掛かっているでしょうから、後着陸まで20分以上かけています。
そう考えれば指示系統の故障でそれほどの緊急状態でなかったようにも思えます。
いずれにしても安全のための緊急着陸ですとは言いながら、どこに着陸するかはただ単に安全だけではなく経済性や効率性まで考えながら、飛んでいるようですがそれでも経営難はやってくるという厳しい現実です。
追伸 EC135のジェネレーターホットのコーションは本当にホットの状態と系統が断線した場合も点灯するような構造になっています。ボンバルデアが同じ構造になっていると断線と本当の過熱の状態の区別はつかないようですので、名古屋空港緊急着陸は正解でした。カンパニー無線でこのようなやり取りがあって名古屋空港へ着陸したのでしょう。
大丈夫かな?ドクターヘリ運航会社の経営体質、、、、、、
あの『 親方日の丸 』と言えば失礼かも知れませんが JALが経営破たんの瀬戸際にあって、日本の航空網の存続すら危ういと言う状態になっています。
JALとANAとJASで日本の航空網をうまく住み分けて長年に渡って、政府や地方公共団体、運輸省航空局を説き伏せて、全国に飛行場網を造らせて、ほとんど独占状態で運営してきた航空業界が見るも無残な結末となってしまっています。
果たして健全な状態に戻ることが出来るのでしょうか。おおむね公共交通機関は陸上のバス鉄道、タクシーそして海上交通は例の高速どこまで行っても1000円均一の余波をモロニ受けて今後はほぼ壊滅するでしょう。
同じ航空業界とはいえ、ヘリコプターの世界は大手と言えども吹けば飛ぶような規模の会社しかありませんので、果たしてドクターヘリや防災ヘリ、報道ヘリなど安全にそして会社として健全に飛ばしていけるのでしょうか。
定期便の航空会社は民間の会社とは言え、航空大学校によるパイロットの育成、飛行場の建設、維持管理、航空管制官など、運航にかかわるお役所など、ほとんど全面的な支援の下に直接運航する部分だけを航空会社として運営していると言えるでしょう。
果たしてどこまでが税金でどこからが乗客がが負担した運賃で、また使用した燃料にかかる税や着陸に際して支払う着陸料がどの部分までまかなっているかなど、本当の負担割合というものは闇の中であるといえるでしょう。
このような中でヘリコプターというものは本当に特殊な位置づけであって、ほとんどの飛行場では離着陸に際してのけ者じゃま者扱いを受けていて、モロに来るなと言うような暴言をはかれたこともまれではありませんし、山間部僻地を飛行することが多く、管制や運航情報の恩恵にあずかることも少なく、一時はパイロットの育成を航空大学校別科と言うなでやっていたこともありましたが今はなくなってしまっています。
つまり公的な支援というものがまったくといっていいほどなくて、逆に航空法という縛りで業務を妨害されているという認識を持っている人も少なくないといえるほどです。
ヘリコプターは多くの公共的な飛行が多く、過去には水田の農薬散布、送電線建設、送電線維持管理にパトロール飛行、報道取材飛行、そして防災ヘリ、ドクターヘリの運航などは100%役所の仕事であると言うことが出来るものまであります。
これらはほとんど全てが民間のヘリコプター運航会社が担っていますが、果たして今のような先行きの見えない不安定な経済状態の中で、小さな規模の民間会社に任してよいのだろうかと思わないわけには行きません。
警察や消防などのヘリ運航組織においてさえ、自ら先を見た運航要員の育成が出来ないのに、単年度決算、単年度契約の民間組織に長く運航を負かすことが果たして妥当なのかどうか、誰が見ても不安を持つでしょう。
はっきり言って、ヘリコプターの運航の効果と安全性はパイロットと整備士、そして運航管理要員の出来で決まってしまいます。そしてその要員を生かすも殺すも、管理者や経営者次第ですが、経済面最優先のなかで、中小零細企業の全ての運航会社がJALやANAと同等以上の組織運営が出来るとはとても思えないのですが、どう見ても今のやり方ではまともな要員の育成は出来ないでしょうから、先が怖いと思いますが、これは考えすぎでしょうか。
ドクターヘリ 日没後30分程度の飛行を認めてはどうかな、、、、、
初心者のパイロットが始めての夜間飛行を訓練するときは、通常日没時間の30分くらい前に離陸して、だんだん暗くなってくる中、連続離着陸 タッチアンドゴーの訓練からはじめます。
それは暗さと言うものにだんだんと順応するということが必ず必要だからです。
計器飛行方式で飛ぶ定期便の航空機は今の運航状態はとても夜間飛行といえないほどの照明がこれでもこれでもかと、コウコウと照らされた空港の間をほとんど計器に依存して飛びますので暗さと言うものが飛行の妨げになるようなことは少ないようです。
それに比較して、有視界飛行で飛ぶヘリコプターや暗い飛行場が普通の自衛隊機などは本当に夜間飛行は暗いところを飛びます。
ですから初心者がいきなり暗闇の中を飛ぶということはリスクが高く、コクピットの中の計器類やスイッチ類やレバーなども十分に見えないほど照明を絞って、外がよく見えるように気を使っていますので、このようなことになれることはかなりのハードルとなります。
ドクターヘリが今後夜間飛行をするようになると、ちょうどこのような条件の中を飛ぶことになるでしょう。
いきなり真っ暗な闇夜の中へ飛び出すと暗順応がうまく行かず、外の障害物が良く見えないで、危険な状態になる可能性もあるでしょう。
本格的な夜間飛行を始める前には、必ずパイロットは日没時間を挟んで30分ずつ、明るい状態から真っ暗になるまでの時間飛行したり離着陸の訓練をして、夜間飛行になれるような積み重ねが必ず必要なものとなるでしょう。
固定翼機の場合は離着陸時は広い空港で法的に障害物からの距離を保障されていますし、巡航中も夜間飛行と言えども、昼間と同じで障害物から十分に高度を取って飛行しますのであまり外が見えないことは関係ないのですが、山間部や狭い場所に離着陸するドクターヘリはパイロットが外を十分見れないことは致命的な危険性があるでしょう。
今の夜間照明のない離着陸場のドクターヘリの運航では日没時間を1分でも切ることは航空法違反だとか、運航規定違反だとか、あまりに杓子定規なことを言う航空局関係者、会社の運航責任者などが多く、せっかく良い夜間飛行経験の機会を捨てて、日没30分前は要請があっても飛ばないというような取り決めをしているところが多いようです。
また反対に離着陸場に夜間照明を設置しただけでいきなり24時間いつでも飛ぶように強制する非常識な運航ルールを設けてしまわないかとふと心配になります。
先日は30分前ルールを10分過ぎた日没20分前に交通事故によって1名CPA2名レベル2桁と言う重大事故に際して出動要請があり、ルールに従って出動をお断りしました。
明朝の新聞で3名ともなくなられたことを知りましたが、もし飛んでいたら1名の方だけでも救命できたかもしれないと思いました。今の日没1分でも過ぎることはまかりならんと言うような現実無視の石頭主義はやめて、将来の夜間飛行のために薄暮状態の飛行はパイロットの判断で安全に飛んでくださいと言えないものでしょうか。
共同運航 費用負担はどうするのかな、、、
余計な詮索ですが複数県が共同でドクターヘリを運航する場合、その運航にかかる費用はどのように負担するのでしょうか。県民でなくても気にかかるところです。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20091119-OYT8T01193.htm
鳥取県は県の西部が兵庫県京都府と共同運航するドクターヘリが拠点病院の豊岡病院より遠いために、別に防災ヘリに医療機器を積んでドクターヘリの運航範囲から除外することにしたそうです。
つまり、当初共同運航のエリアに入れようとしていた地域を除外したのですから、当然出動回数は減るでしょうし、別に除外した区域を防災ヘリでカバーするための予算5000万円を来年度の県予算に計上することにしたそうですから、普通なら共同運航のドクターヘリへ支払う金額を減らすというでしょう。
もし減らすということになれば残った京都府と兵庫県の支払うべき金額は当然増えてしまうということにならざるをえないでしょう。
このようなことが共同運航では難しい問題点となります。
共同運航に合意した時点では、どのような割合で何に対する支出まで等分して負担するか決めいたでしょうから、前提の条件が変われば当然負担割合が変わるのでしょうが、このような交渉ごとは最終的に運航会社の犠牲ということにならなければ良いのですが。
やはり運航主体は1県が責任を持って、共同運航の他県への出動1件に付き一定金額、40万円などと非常に明快な協定とすることが良いように思えます。
ヘリに搭乗するドクターナースの人件費、運航基地の設備の整備費などが共同運航の各県がどの程度負担するか、運航回数が極端にばらつきがあった場合はどのような費用負担にするか、などなど、どう考えても割り振りは困難なように見えますが、どんぶりで3分の1づつということも各県の県民の理解を得ることが出来るかどうか難しいところでしょう。
ドクターヘリで30分以上かかる地域は防災ヘリでカバーしたほうが10分早く着けるということもかなり実績を積んで検証してみないことには正確にはわからない面もありそうです。
また防災ヘリに常時、医療機器を積むということも問題点がありそうです。日日の点検は防災航空隊でやるのでしょうが、その機器を使う医療クルーははるか離れた都市の病院に勤務しているとなると、果たしてそれで大丈夫なのでしょうか。また医療クルーと運航クルーの日常的なコミュニケーションは大丈夫なのでしょうか。
日常的に別のヘリポートで医療クルーをピックアップする体制は思ったほどの機動性は期待できないという危惧もあるようです。
このようなことを考えるとき10分の遅延はそれほど致命的なことでもなさそうにも思えます。
この地域はドクターヘリ、この地域は防災ヘリというように分けることに5000万円も新たに支出することまでするならば、県内全域を防災ヘリでカバーするということにしたほうが明快で出動回数も多くなり、体制がうまく機能するためには早道であるようにも思えるでしょう。
もっと言えば、米子にドクターヘリを配置し、県内全域と島根県東部をカバーすることのほうがより効率的で確実な運航を見込めるようにも思います。
しかしあれこれ方策は後出しじゃんけんでなんとでもいえるという面もあって、県の担当者の方も難しい問題を抱えたもので、ある意味同情してしまいます。