大型連休始まる、ドクターヘリは、、、、
昨日から大型連休が始まりました。
今年は高速道路1000円均一作戦に乗って多くの自家用車が行楽地へ繰り出すのでしょうか。
私が勤務する県は連休特有の事故の出動が毎年のように繰り返しています。いずれも悲惨な交通事故なのですが、毎年繰り返して起こっていますので、何とか対策を採って防ぐ事が出来ると良いと思うのですがなかなかそうは行かないようです。
ひとつは高速道路での事故なのですが、いわゆるフル規格ではない、対面通行式 片側1車線の高速道路とは言わずいわゆる自動車道と呼ばれている道路での事故です。
このような道路はおおむね制限速度が70キロでセンターラインは軽微なプラスチック製のポールが立っているだけなので、居眠り運転など何らかの原因で対向車線へ車が飛び出すと、対向車と正面衝突して一瞬にして悲惨な大事故となってしまいます。
また普通に走っている車には対抗車線から飛び出してくる車を避けようがありませんので、非常に悲惨な大事故になってしまいます。
以前のこのブログにも書いたように、道路会社は何らかの強固な中央分離帯を整備して、対向車が飛び出さないように道路を改善するべきでしょう。しかしこのような道路はどこでも将来的にフル規格に拡張するとの過剰投資の計画を捨てる事はしたくないので、一向に改善される見通しが無いようです。
もうひとつの恒例のドクターヘリの出動は、紀伊半島の背骨の高地を走る、元有料今は無料となっているスカイラインです。この道路は標高1500メートルクラスの高い地帯を南北に走り、バイク族には格好のツーリングコースです。
ここには大型連休の時期には他府県からツーリング族が大挙して押し寄せ、大型バイクで若者から熟年 そして女性ライダーまで、爆音をとどろかせて走っています。
このような所のバイクの事故に際して、このスカイラインの出口 入り口の町にある消防本部から救急車が救助に向かいますが中間地点まで双方から小一時間かかるところもあって、ドクターヘリなしでの救急は考えられないほどです。
ですから連休中など好天でツーリング日和ともなると一日に3回もドクターヘリが飛ぶようなこともあります。また現場で救助中に近くで別の事故が起こるなど、ライダーの為にドクターヘリがあるような有様となる事もあります。
このバイク事故と対面高速での事故は例年のように起こるので、いずれもなんらか有効な対策を取れないものでしょうか。
ドクターヘリが事故現場で救急に当たる事は非常に良い事なのですが、起こるべくして起こるような事故はなるべくなら防ぐように願いたいものです。
大阪航空R22 離着陸訓練中エンジン停止
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090427-OYT1T01002.htm
1昨日 八尾空港で離着陸訓練を実施していた2人乗りのR22のエンジンが停止しましたが、教官の操縦で無事オートローテーションで着陸し、機体の尾部を少しへこましたくらいで済みました。
このヘリは大阪航空が運航していましたが、同社は2年ほど前、体験飛行中に南海電車の線路上に墜落し、乗っていた2名が死亡すると言う大事故を起こしています。
事故の原因は無資格者が操縦していて、突風であおられて、マストバンピングという異常事態に入ってしまい、回復する事が出来なくて、自らの胴体後部をローターで叩いて切ってしまったのではないかと言う事故調査の結果が出ていました。
この調査等によって、体験飛行に同乗するなどの無資格者に対して操縦操作を厳禁したり、操縦装置に触れることのないように、十分な注意をしてから飛行することなどを改善処置として、厳重注意されたようでした。
今回のインシデントは正式な訓練生が正規の訓練として飛行していましたが、操作上の問題かエンジンの機能上のトラブルで飛行中停止してしまい、オートローテーションで滑走路横のグラスエリアに無事着陸した模様です。
ここからは報道された内容からの想像なので幾分外れているかもしれません。
着陸最終段階でエンジンが止まったようですがその時の高度は120メートルと出ていましたので400フィートくらいだったでしょう。この高度でエンジンが止まっていることに教官が気がついたと出ていましたので、どうやらオートローテーションの訓練中だったのでしょう。
オートローテーションの訓練のうちでも多分、直線オートローテーションで800フィートくらいからエンジンをアイドルにして滑空にはいり、400フィートくらいで完全にエンジンの出力が切れて、オートローテーション降下が確率します。
この時 エンジンの回転数とローターの回転数をチェックして針が完全に離れている事を確認しますので、エンジンが停止している事がわかったのでしょう。
この高度では地上まで20秒もありませんので、エンジンの再スタートには時間がなさ過ぎるので着陸に専念したようです。
もともと着陸地点として狙っていた場所の、真横には滑走着陸する滑らかで平らな草地がありますのでそこへ狙って着陸したのでしょう。
この状態での緊急操作としてはほぼ満点の出来でした。殆どヘリを壊すことなくうまく降りたようです。
オートローテーションに入れるときなどグリップタイプのスロットル機の場合、スームースにアイドル位置まで絞らないで途中で止めたりすると、止まってしまうことがあります。特にベルのヘリはこの傾向が強く注意が必要です。それは絞った時にスムースにエンジンの回転を落としてアイドル回転に安定させるために、一番絞ったアイドル位置にすこし開いた位置で燃料が一番少なく出るように設定してあるからです。その位置で不用意に停めるとエンジン回転がアイドルより低くなってエンジンが止まる可能性があります。
高齢化社会とはいえ 驚いた事にこのヘリの教官の方は71歳 更に驚くのは自家用免許を取る予定の訓練生の方はなんと69歳だったそうです。
自分はまもなく60歳ですがこれを見てますます頑張って飛ぶべきなんだとふと思ってしまいました(笑)
NHK 大河ドラマ 空撮カット 多用、、
いつの頃からかNHKの大河ドラマに空撮のカットが多く使われるようになっています。
今回放送中の天地人にも新潟地方の冬山のシーンをタイトルバックや場面のつなぎに多く取り入れています。
空撮カット 生のままではなくコンピューターグラフィックで加工して流しているので、ヘリの空撮カットとは思えないようなものも多いようです。
このような時代劇 歴史ドラマに 空撮のカットを多く取り入れる手法はこの大河ドラマシリーズだけでしょう。あまり水戸黄門や必殺仕事人などで空撮カットを使っている事を見たことはありません。
これは NHKが公共放送としての存在をかけて、資金と機材、要員 全てを投入して全力投球で行っているという事の現われでしょう。
ですから このような番組で使われる空撮シーンは各地に配置された報道用のヘリのハイビジョン装置を使って、長期間にわたって最高の条件で撮るような設定で準備し、何回も取り直しをしているのではないかと思います。
今まで歴代大河ドラマで使われた空撮のカットには実機のヘリコプターを使ったものだけではなく、高度なラジコンのヘリを使ったと見受けられるカットもありました。
また 情景の転換等に使われたり、タイトルバックに使う絵には、雲や霧が絡むカットが多くありますが、このような撮影は明らかに、雲との距離が航空法に違反しないと取れないようなカットです。低空飛行や場外着陸などは法の例外規定で許可が取れますが雲からの距離を例外規定で許可は取れませんので、日本の航空法ではありえないような絵が出てきます。
このような事は航空の法律が定期運航の飛行機を対象としたものなので、このような絵の存在が否定されてはいますが、そもそも撮影という行為がまったく異次元の航空法で規制されて、思ったような絵が取れないなどということが、航空の発展や社会の要求とどう相容れるのか難しいところです。
少々 航空法に触れるからと言って、このような大河ドラマで使われる、すばらしい空撮カットの連続が評価されて 、どんどん良いシーンの撮影にヘリコプターを使う事になんらためらう必要はないと思います。
日本列島 大荒れ 低気圧通過 ドクターヘリは大丈夫か、、、、
一昨日から昨日にかけて、低気圧が通過、日本列島ほぼ大荒れの天気となりました。
強風や突風 、強い雨など目立った被害はありませんでしたが、日本国中に展開している18機のドクターヘリを預かっている、現場のパイロットや整備士達にとっては気の抜けない状況でした。
日本に展開しているドクターヘリのうち、運航場所に格納庫をもっているのは、沖縄 福島 札幌の3基地だけでしょうか。
各 県警 消防 防災 そして自衛隊のヘリ、海上保安庁など 公的な機関が所有するヘリコプターで格納庫を持たないところはただの1箇所も無いでしょう。
それは 使用機体の愛護というような精神的なものだけではなく、それは荒天時に物理的な破壊から守るという大きな目的があります。そのためには運航基地に格納場所がないと意味がありません。天候が荒れそうだからあらかじめ格納庫のある場所に避難すればよいというような考えは航空機の運航を知らない素人の発想です。
悪天候や夜間を押して毎回 毎回 必ずしも安全に避難できるとは限りませんし、最悪、悪天避難飛行で事故に至るなどという事も起こりかねません。
またヘリコプターに起こる故障に際して、格納基地へ移動しないと十分な点検整備が出来ないというきわめて不利な整備体制となる可能性も秘めています。一定の整備点検は運航基地で十分に出来るような施設を持っている事は安全上の必須項目でしょう。
日本で運航するドクターヘリが十分な基地格納庫を持たないまま、運航を始めてしまって、十年近くもなるのに、それが改善されないのは運航会社 業界の姿勢が大きく影響してしまっています。
一年で終わるかも知れない運航に格納整備施設やそれなりの待機事務所などの施設を作るほどの費用はなかったというか要求もしなかったのでしょう。
ドクターヘリの運航を始めるに当たって将来的な展望を十分に認識できなかったばかりか、事業が軌道に乗り出した今になっても、総合的な運航経費の見積もりや、運航会社の取り分の競争意識のみが強く前面にでてしまい、安く飛ばします、安く飛ばしますばかり言うのみで、ほんとうはなにが必要かなど真摯に話し合っていないように見受けられます。
国家厚生省も年間運航費用1.7億円とか言うあまりにも大雑把な見積もりのみでの補助金計算の根拠としているようですが、このような施設やインフラはどのようなものが必要であるとか、こうすべきだなどと面倒な事にはまったく触れないで知らん顔なのでしょうか。
365日飛ぶドクターヘリに格納庫整備施設がなくて、年間2ヶ月以上点検整備で飛ばない他の公共ヘリに全て格納庫整備施設があるのは、誰がどう見てもおかしい事だと普通の人なら誰でも既に気がついているでしょう。
草なぎ 剛 報道、、、、、
深夜に泥酔いして全裸になって騒ぎ逮捕されたうえに家宅捜索までされた草なぎ君の行動をめぐって様々な報道が流れています。
お堅い?NHKが9時のニュースのトップで放送したり、一回こっぴどくこき下ろした、地デジの総責任者で彼をCMに使っている鳩山総務大臣が急に方向を変換して、全人格まで否定した前言を取り消したり大騒ぎです。
世間の評価はどうやら、酔って行き過ぎたもののおおむね草なぎ君をかばうような方向で終止しそうです。
警察は、大麻や覚せい剤などの薬物を疑って、家宅捜索までやっては見たもの、どうやら嫌疑が晴れたので多分無罪放免となる事でしょう。
このようなことはやはり各メディアの報道のあり方や、インターネットの力というものが垣間見えて面白いと思いました。
テレビの速報性と新聞の独善的な世論に与える大きさが世の中のほとんど全ての事柄の評価というものを決めてきていましたが、いまやインターネットの大勢力の大衆の意向というものを無視できなくなった事が端的にでています。
新聞やテレビが今回のこのチン事件を一連の薬物報道にならい、草なぎ君大バッシングの方向で報道しようとしたようですが、インターネットの2チャンネルや掲示板の力やそれに同調する、良識派の意見に逆らう事が出来ずに何とか傷の浅い方向での収拾に乗り出したのでしょうか。
時 あたかも 地デジ普及の執念場に当たったいま、下手をすると、計画されている再来年7月のアナログ廃止、地デジに統一という事が先送りにでもなったら、えらい事になると判断したのでしょうか。
報道何というものはもともとそういうようなもので、どこかの誰かの利益の為や、大きな流れをつくろうなどという、独善的は判断の元にはうそでも何でも垂れ流しなのでしょうか。
そういえば、去年の秋ごろからの報道関係の総力は民主党政権樹立で一致団結した報道をこれでもか これでもかとやっていましたが今はそのような事は一切忘れたような雲行きです。
これって誰が何処でコントロールしているのでしょうか。
ドクターヘリも今は行け行けどんどんですが、いったん死亡事故でも起きると、一体関係者は何をやっていたんだーと袋叩きの総バッシングなのでしょうか。
あーーおそろしや この世の中はーーー
盛り上がらないヘリコプターの日、、、、
(イタリアが世界的にも優秀なヘリの生産国なのは祖先の遺産でしょうか)
4月15日がヘリコプターの日であることを知っている人はほとんどいないと思います。
1989年に日本航空事業連合会がヘリコプターの原理をスケッチに残したレオナルド ダビンチの誕生日をヘリコプターの日と定め、東京ヘリポートで航空ショウのような催しをやり、多数の参加者がありました。
これは既に亡くなっている、元の朝日航洋の社長であった高橋英典氏のアイデアで始まったのですが、数年で消滅してしまいました。
ヘリコプターは農薬散布や送電線建設など、一般の人達には見えない世界で人知れず社会に貢献していましたが、世間の目に触れる時と言えば、騒音がうるさいとか、事故が多発して危険そのものであるというようなマイナスのイメージばかりでした。
そして時代が変わり、水田に農薬を散布するのは、無人ヘリに変わってしまい、送電線は今後20年以上建設する必要がないほど、いきわたってしまってヘリが出る幕はなくなってしまいました。
このような状況ですから、ヘリコプターの日などというものがあったことすら世間から忘れ去られてしまったようです。
しかしここ最近になって、ドクターヘリが全国的に導入され始め、テレビドラマでも取り上げられて、国民的な話題になった様な感があります。
ヘリコプターそのものが爆発的にその数が増えるという、環境にはありませんが本当に国民の役に立つ、フライトというものが是非とも発展して欲しいものです。
官庁 民間 あわせて約1000機程度の規模です、自衛隊を入れても2000機に満たない程度ですから、その運航要員の育成、発展にはかなりの困難があろうかと想像します。
保有機数はアメリカカナダについで世界3番目とも言われていますので、せっかくのヘリならではの優位性を殺すことなく、世界に誇るヘリコプター先進国としての地位をぜひとも守って、また近い将来において、ヘリコプターの日が盛大に摸様されるようになって欲しいものです。
ヘリコプターで歴史的事件、事故に遭遇、、、、
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/37390045.html
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/37447930.html
早いもので明日25日でJR尼崎事故から4年です。
自分がヘリコプターに乗り出したのが1972年11月が初飛行の日だったと思います。それから36年半長いようであっという間に過ぎ去ったヘリパイ人生でした。
今はこうして幸運にもドクターヘリに乗ることができて、最後まで安全に幕引きとしたいものです。
長いようで短いヘリパイ人生でもともと野次馬根性旺盛な性格の自分がさまざまな歴史的事件、大事故などに遭遇し、幸運にもというか、ヘリパイロットを職業としていたので直接現場上空で目撃することができました。
ヘリコプターに乗り出して初めて大事件に遭遇したのは、まだ訓練生の身分で、飛行時間稼ぎに同乗させてもらい、先輩で教官のKさんが飛ぶ、早朝からのニッポン放送の交通情報番組でした。
朝7時に所沢の西武鉄道の車両工場の中にあるヘリポートから飛び立ち、約2時間ベル47G2で都下近県を飛び回ります。当日は確か雨模様のお天気でした。デスクから東北線の上尾駅の近くで、特急が停車し乗客が暴れているという情報でした。確か、度重なる国鉄のストに多数の乗客が怒って特急を止め、線路上に降りて列車に向かって石を投げていました。
この時Kさんが撮った写真は系列の産経新聞の1面トップを飾りました。もちろん早朝でしかも交通情報番組で飛行中でしたので、ライバル他社を出し抜いた大スクープでした。
ヘリコプターに乗り出してまだ半年もしないうちに大事件に遭遇し、大興奮したものでした。
その後のヘリ人生は報道関係の仕事にはあまり着くことはなかったのですが、それでも結構大事件に遭遇しています。
心身症という言葉が流行語になった、JAL羽田沖墜落事故は航空事故の直接目撃ということで大きな衝撃を受けましたが、もうひとつは取材ヘリの多さにもたまげたものでした。
米軍横田基地のテレビ局まで取材に固定翼機で来たのを含め25機以上が羽田の上空を旋回していました。
その後三宅島の大噴火には何回も飛び、溶岩を持ち帰り、奈良へ帰って息子の小学校へ持っていかせると校長先生から感謝されたものでした。
御巣鷹山事故はちょうど、送電線建設飛行でのミスで飛行停止を食らっていたのですが総動員ということで、現地の臨時ヘリポートで取材機多数を無線等で4日間ほど支援することになりました。
そして阪神大震災では、取材飛行から送電線復旧工事、六甲山の治山工事などほぼ1年間神戸六甲を飛び回りました。
10年ほど前の50歳ころから、取材飛行を担当することとなり、広島では西鉄バスジャック事件で深夜に飛ぶという初体験でした。またオウム事件の上祐受刑者がまだ暗い早朝広島刑務所からの出所に際して、フジテレビのS76チャトランとの取材合戦を張っていい結果となり、局からお褒めをいただいたりしました。
そして尼崎事故で飛んで私の取材飛行は終わりました。
野次馬根性旺盛なので自分には取材飛行が向いていると思っていたのですが、取材配置の期間も短くて、あまり出番がなかったように思っていましたが、それでも思い出せばかなりの遭遇だったようです。
JR西日本 CRM 取入れへ
「空のミス防止手法」を導入へ JR西日本 サンケイニュースより
JR西日本(大阪市)が、平成17年4月のJR福知山線脱線事故を受けた安全対策として、ヒューマンエラー(人為的ミス)による事故防止の訓練法「CRM」を導入する方針を決めたことが22日、わかった。航空業界で行われているが、鉄道業界では初めて。脱線事故で運転士や車掌、運転指令らの間で相互理解や意思疎通が不十分だったという反省から、大事故の未然防止につなげたいという。
脱線事故は、死亡した高見隆二郎運転士=当時(23)=が、事故現場のカーブに大幅な速度超過で突っ込んだことが直接の原因とされる。一方、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)は、高見運転士が事故現場直前の宝塚駅でオーバーランを起こし、ミスを伝える車掌と運転指令の無線に聞き入ったためにブレーキ操作が遅れた可能性があることを報告書の中で指摘している。
また、高見運転士は懲罰的な運転士管理法「日勤教育」の影響もあり、オーバーランした距離を運転指令に過少申告してもらうよう車掌に依頼していた。こうした状況を受けてJR西は、安全運行のためには、運転士と車掌、運転指令の3者が信頼関係を強め、人為的ミスが発生する恐れがある際に落ち着いて対処できるようにすることが重要と判断した。
CRMは突発的な事象でも冷静に対処できるよう人間関係を重視。対人関係や協調性を専門的技術として身につけられるように研究されてきた。最近では、航空業界だけでなく、医師や看護師といったチームで手術を行う医療業界でもCRMを取り入れる動きがある。(4月22日夕刊一面トップ 大阪版)
航空の世界がCRMという手法を安全対策のひとつとして古くから取り上げたのは、事故による悲惨な犠牲というものがいかに大きかったかということの裏返しでもあります。
私が以前所属したヘリ会社では2年間安全推進室で勤務しましたので、このようなことには人一倍関心がありました。
当時 ヘリ会社としては日本で最初にCRM訓練を取り入れ、パイロット整備士だけではなく営業部門や管理部門の社員まで含めて定期的な訓練を実施していました。
また社外との交流や情報交換も行っていましたが、その中にはJR東日本の安全手法を一部提供してもらったこともありました。
このような安全に対する積極的なアプローチというものは、多くの事故を経て、会社経営者、幹部 パイロット整備士など全員が安全を目指すという高い理想がなければなかなかできないものです。
このような熱意の持続ということが一番大切なのですが、無事故が続いたり、経営が思わしくなくなったり、あるいは経営者が変わったりして、このような安全風土が風化することは簡単に起こってしまいます。
一番大切なのは、いかに組織が大きくても、一人ひとりが本当に親兄弟、家族のように常に行動するということでしょう。
人間として失敗はゼロとできないわけですから、他人の失敗をあげつらい、足のひっぱりあいをして、自分がのし上がろうとか、評価を操作しようとか、仲の良い家族同士はそのようなことはしないで家族全員の安全を第一にします。
とはいえそれは理想でなかなかそうはいかないものですが。
増える長距離転院搬送要請、、、、、
ドクターヘリに勤務していますと、最近あちこちから長距離の転院搬送の問い合わせが入ります。
そもそもドクターヘリは防ぎえる死と防止するという緊急の救急医療に対応し、県内など比較的狭い範囲の救命に有効であるという事で配備されたのが一番の目的です。
ですからその飛行範囲は長くても30分 理想的には発症から15分以内に緊急救命処置が始められる距離をカバーする事が理想であると言われています。
しかしながら配備された県内の病院でより高度な医療を必要とする患者さんの登りの搬送にもドクターヘリを使う事も認められています。
そしてドクターヘリが各地に配備されるようになって、病院敷地内にヘリポートを設置するところが非常に増えてきました。
特に病院の移転や改築に際して少し規模の大きな病院は、3次救急病院ではほとんど全てが、2次救急病院でも多くの病院がヘリポートを設置するような時代になってきました。
このようにヘリポートの設置された病院が全国に多くなり、ドクターヘリが日常的に離着陸するようになると、当然のように、ドクターヘリ使用基準に合わない、つまりドクターヘリが飛んでくれないような内容の病院間の搬送などの需要というものが多くなってきています。
その需要というものは県の境界などはまったく関係なく、非常に長距離の搬送要請というか需要が多く出てきています。
それは関西から九州、関西から北陸など民間の救急車で一日がかりというような距離もヘリコプターでは2時間というような、本当にヘリコプターの威力というものが生きるフライトです。
しかも病院にヘリポートが設置されていると、患者さんの負担というものが劇的に軽くなります。
転院の理由は故郷や実家の近くの病院へ替わりたい、或いはより専門の病院にかかりたいなど理由は様々ですが、1分1秒の生命の危機に無いばかりにドクターヘリや防災ヘリの威力にあやかれないという不幸が待っています。
また、民間の搬送ヘリコプターは、一定の需要が見込めないので、事業としてそれを専門にやれるほどの安定性も無いので、殆ど日本には存在しないといっていい状態です。
全国の病院という病院にヘリポートが整備されたら このようなヘリコプターの需要に対してどのように対応するかという問題がすぐにでも起こってきそうです。
ドクターヘリはその機能上、長時間にわたって自分の県を留守にするわけにはいきませんが、隣県との応援協定のある防災ヘリは比較的余裕があると思われますからその使用についての規制は大いに緩和するべきでしょう。
また各政令指定都市に整備されている消防ヘリも、比較的緊急出動も少ないようですし、県が持っている防災ヘリとの連携で、他県への搬送で留守にすることもかなり可能なように見うけられます。
そしてもう1点の規制緩和ですが、場外離着陸場の許可基準を大きく緩和して、双発機や TA級運航が出来るヘリの場合、今ある許可基準に満たなくて緊急時しか使えないヘリポートもどきの着陸場を全て、着陸可能として許可するべきでしょう。
緊迫した緊急時、着陸しても良い場所狭い場所や、障害物に近いところでは、それほど緊急でなければ、パイロットは更に余裕を持って安全に着陸するでしょう。
全国に張り巡らされた病院へリポート網が意味の無い場外離着陸基準によってその半分以上も使えないという不合理、或いは基準に合わせる為に膨大な費用をどぶに捨てるような事はするべきではないでしょう。
どこに着陸して、何処は着陸しないというようなことは、許可基準の数字をもて遊ぶだけで、ヘリコプターを飛ばした経験がまったく無い行政が、その性能や安全性を机の上の数字だけで決めるような問題ではなく、ヘリを実際に飛ばす者たち自身が自分で決めるべき問題でしょう。
あまりに画一的で規制過剰なヘリポート基準は、ヘリコプターによる医療搬送の発展を大きく阻害する要因となりかねません。
しかし今の基準に合おうが合うまいが、急激に整備され始めた病院へリポート網の充実というものが、ドクターヘリ、防災ヘリ、消防ヘリ、そして民間の医療搬送ヘリの発展をもたらし、自由自在に日本国中を飛び交い国民の期待に応えるような時代はもうすぐそこに来ています。
昔 昔の話(2)、、、、、
長くヘリを飛ばしていると、色々な失敗の連続でした。
深刻な人身事故から、笑って済ませる楽しい失敗まで様々です。
但馬の和田山の少し南を福井から綾部の通って、昨日取り上げた大河内揚水発電所に入る巨大送電線の工事中のことでした。
機付整備士は2歳ほど年上のベテラン整備士、Yさん 長い全国ネットのヘリ生活でも持ち前の東北鉛がまったく消えない人の良い方でした。
もう4.5年前に癌でなくなってしまっていますので、ここで取り上げるのをあの世から見てもらっているでしょうか。
当日は給油へリポートと荷物の吊り卸しする場所が違っていたために、通常は2番手3番手の整備士が給油作業をするのですが、この時は機付のYさんがしていました。
給油が終わって飛び立ったら、横の乗っているYさんの様子がおかしいのです。どうしましたとインターホンで声をかけると、忘れたかな 忘れたかなと2度つぶやきました。
チョット見てみるからゆっくり飛んでといって、後ろの方へ移動して給油口を覗いています。
やっぱり忘れたーー戻ってーーといいました。給油口のキャップをどうやら閉め忘れたようです。
閉め忘れても、通常はチェーンで落ちないようにしてあるのですが、運の悪い事にチェーンが切れてまま使っていたので、乗降用のステップに置いたとの事、どうやら飛び立ってすぐに落ちたようでした。周囲には見当たりません。
山頂の作業現場では荷物の上げ卸を多くの作業員の方たちが待っているので、フライトは停めるわけには行きません。とりあえずはガムテープでふたをしてその日の作業は終えました。
そして終わってから、2番手3番手の整備士を、離陸経路に配置し、ステップにガムテープを置いて、作業中と同じように離陸をし、それがドコに落ちるかを試してみました。そしてガムテープが落ちた付近を探しまわりましたが見つかりません。
ベル社のヘリは殆どどの機種もホンダのバイクのものと同じようなキャップですが、何しろ航空機部品、安く見ても数十万円はします。
さて 始末書かなと思っていると、Yさんが電話をしています。まず最寄の基地へ取り合えずすぐに予備を送ってくれるように依頼しています。すぐに返すからしばらく貸してくれと。
ここまでは普通だったのですが、あっと驚く為五郎でした。
本社基地の部下に電話をいれています。俺の机の一番下の引き出しの奥に燃料キャップがあるからすぐに送れと言っています。
どうやら過去の事故機のものを人知れず保管していたようでした。
さすがに百戦錬磨のベテラン整備士でした。
ばらしちゃったけどあの世に行ったら謝るからね。 Yさん!!(笑)