沖縄ドクターヘリ 片発停止で不時着(2)


  1昨日 エンジン故障で不時着した沖縄ドクターヘリについて今日も書くことにします。

 情報によりますとどうやらエンジンのタービンが損傷しエンジン停止になったということだそうです。

 幸いなことにタービンは損傷はしているものの、タービンディスクが破断したりタービンが飛散し、防火壁や機体の外版を突き破ったりはしていないようで、他の機器類を大きく損傷させることはなかったようです。

 自分自身での過去の同じようなトラブルはベル205Bでホバリング中ありました。ボンというコンプレッサーストールのような音がしてエンジンの回転が急激に下がったため、ホバオートのように着陸してすぐにエンジンを停止しました。

 点検の結果タービンブレードがかなり曲がっていることがわかりましたが、音がしたときに一挙に損傷して曲がったようでした。

 このようなトラブルはどのようなことが原因として起こる可能性があるのでしょうか、以下列挙します。

1、エンジンが長期間、砂塵等を吸い込んでタービンその他が異常磨耗が起こる可能性があります。この結果エンジンが異常振動したり、コンプレッサーストールに入りやすくなったりします。ドクターヘリは砂塵が舞い上がる校庭やグランドに着陸を繰り返す可能性があることと、ドクターヘリ用のヘリには適当な砂塵防止装置が装備されていないか、装備することが難しいため、エンジンが規定の使用時間まで持たない例がおきています。

2、ジェットエンジンは使用時間とともに劣化するのですが、スタートサイクルの回数によっても劣化する可能性が高く、ドクターヘリのように5分10分程度の飛行を繰り返すと痛みが激しいと考えられますが、規定整備作業はほぼ飛行時間で管理されますので、規定時間内であっても劣化が進んでいる可能性があります。

3、エンジンは制限最大出力超過の使用や、スタート時の温度制限の超過でダメージを受ける可能性もあります。過去に離着陸やエンジンスタート時にこのようなギリギリ付近の運用を繰り返すと規定時間内であってもダメージを受けている可能性があります。ただしEC135のように双発エンジンをファデックというコンピューターコントロールしているヘリはこの可能性は低いといえますが、自分が不時着したベル205Bは単発機でエンジンはマニュアルコントロールでしかも、重加重時にテールローターに大きくパワーがとられて、エンジンの最大値あたりで酷使する場合が多いとこのような可能性が高くなります。

4、飛行地域が海上や海岸線地域に集中したり、終日海風の当たる屋外に一年中駐機するような条件だと、長期間の間に塩害を受けている可能性があります。これはエンジンにも影響はありますが機体部分への影響も大きいと思われ、静岡で墜落したNHKのEC135はこの可能性がかなり高いと思います。

5、最新式のヘリはきわめて点検間隔が長くすることを、整備規定によって許可されていますので、日常的に点検整備するチャンスが少なくなっています。ということは各部分の信頼性が高いという反面、日常的には手が行きとどかないという逆の面もあるということです。

以上のようなことが原因として、故障の兆候の発見が遅れたりする可能性があるということはいえると思います。

このようなことは運航会社として解決できることもありますし、費用や設備の面から単年度契約の一事業者だけでは解決できない経済的、物理的な面もあります。

また整備規定や点検間隔、点検項目なども監督官庁、メーカーなども大いに関係してきますので会社単独で解決ということは難しいかも知れません。

 しかし今回の事例は今までの整備点検方式や、運航環境の整備などの面での改善がなされる可能性は大きいでしょう。

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  沖縄ドクターヘリ 片側エンジン停止で那覇空港へ不時着、、、


  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090329-00000158-yom-soci

 3月28日 午前10時過ぎに沖縄県久米島から飛び立った、9歳の急患の女児を含む6名が乗り込んだドクターヘリ(平田学園運航のEC135)が飛行中片側のエンジンが停止し、那覇空港へ不時着しました。

 片側のエンジンが何らかの不具合で停止したものの、継続して飛行するには問題がなかったのですが、安全のためもともとの目的地の浦添場外を変更し、広くてより安全に着陸できる那覇空港の誘導路に着陸し、患者さんは要請により待機していた救急車によって無事病院へ収容されたそうです。

 航空事故は続くというジンクスがあるように、中日本航空のドクターヘリに鳥が衝突し、不時着しましたあとには成田空港でのフェデックス機の着陸時の大事故、そして今回の沖縄ドクターヘリのインシデント、そして昨日はマイクロライト機が茨城県で死亡事故が起こっています。

 幸いなことに2機のドクターヘリのトラブルは人身には及びませんでしたが、後の事故では死亡者が出てしまいました。

 ドクターヘリはそろそろ20機に届きそうな数になってきて、1機当たり年間少ないところで200時間程度多いところでは400時間は飛行しますので、そろそろ年間のトータル飛行時間は1万時間に届くこともそう遠くないでしょう。

 農薬散布が盛んに行われていた時代はおおむね1万時間に1回の事故やインシデントが確実にありましたので、これからはさまざまなインシデントやトラブルそしていつかは事故が起こる可能性が高くなって来ています。

 そして 事故やインシデントというものはどのような原因から起こるかということはほとんど想像がつかないと言っても過言ではありません。

 それが事前にわかるならば必要最小限の対策で、事故やインシデントは起こらないでしょう。

 これとこれを確実にやっていれば起こらないというほど簡単なものではないということは過去の事故例が証明しています。

 つまり考えられるありとあらゆる事に確実に手を打っていても、それをすり抜けて起こりがちです。

 たまたま今回は2機ともそのようなことをすり抜けてインシデントになりましたが、運のよい事に最悪の事態は免れました。

 やはり今回の事例で今まで以上にやらなければならない対策というものが当然出てくることでしょうから、それを抜かりなくやることがまず最小限必要なことです。

 そしてさらには今まで安全のためにやってきたすべてのことを洗いなおし、振り返ってみてどうするべきかをよく考えて、確実に地道に実行することが大切でしょう。

奈良でたらいまわし6病院 男性死亡、、、、


6病院受け入れ拒否、男性死亡 生駒市
3月28日10時41分配信 産経新聞

 奈良県生駒市で今月21日、意識を失って救急搬送された男性が、近隣の6つの医療機関に受け入れを拒否され、大阪府内の病院に搬送された後に死亡したことがわかった。

 生駒市消防本部によると、死亡したのは同市の新聞販売所従業員の男性(62)。21日午後1時40分ごろ、同販売所の119番で救急隊が駆けつけたところ、男性は意識不明で、搬送中に心肺停止状態になった。救急隊は蘇生(そせい)措置を行いながら搬送先を探したが、「処置が難しい」「ベッドが満床」として同市や奈良市内などの6医療機関に受け入れを断られたという。

 通報から約1時間後の午後2時40分ごろ、大阪府大東市内の病院に運んだが、到着から約30分後に死亡が確認された。死因は不明という。


 しばらく前、このブログに同じような救急事案が発生したとき。和歌山県だから救命されたけれども、たまたま奈良県に住んでいたから死んでしまったということがないように、救急体制の整備を願いたいものだと書きました。

 ちょうどその書き込みをした日くらいに心配したような事案が発生したことは、奈良県に住むものとしては非常に残念です。

 ならばドクターヘリが奈良県にあれば必ずこの件は救命されたのかという反論があるでしょう。

 実はドクターヘリがあると次のような救急体制が自然に備わるという利点があるのです。

 和歌山県はドクターヘリがあるのでドクターヘリのある病院はその日、県内で起こった一番重症で迅速な救命事案に対応するための体制を取ります。

 つまり重大な症状の救急患者さんを収容するために、空きベッドを常に確保するか、それができないときは必ず関係病院と連絡を取り合って搬送をできる体制を取ります。または自らの病院のHCUやICUのベッドコントロールによって何時からはベッドがいくつ空くというようなことも承知して待機します。

 この内容はヘリコプターの朝の始業時の運航クルーと医療クルーとの合同のミーテングでの確認事項となっています。

 つまりドクターヘリが飛ぶような重症の患者さんはたらいまわしに会う確率がほぼゼロとなるわけです。

 奈良県において3次救急病院と2次救急がいくつあってどこに配置されているかは知りませんが、その日に起こった県内での一番重症で急を要する救急患者さんが入る病院は、その救急事案が起こってみないとわからないような体勢では今回のようなことはいくらでも起こるでしょう。

 ドクターヘリに乗るフライトドクターもフライトナースもパイロットも整備士も、また病院の救急外来も皆ヘリが運んでくる県内で一番重症な救急患者を救命するために自然とその体制が組めるということです。

 はじめから他県のドクターヘリを当てにしているようでは本当に県民のために救急体制というものができるのでしょうか。

 自分は奈良県民ですから、自分自身や家族、地域の人々のことを考えると、やはり和歌山県に負けない救急体制を作ってほしいと思います。


 http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009032801000513.html
 この件は明日とりあげます

ミサイル破壊処置命令発令、、、、



 日本という国は本当に平和国家だとあきれています。

 昨日 北朝鮮が発射したミサイルが日本国内に着弾する場合、迎撃ミサイルを撃って破壊せよという命令が下ったそうです。

 これはまあ普通のことなのですが、国内世論 マスコミ 政府関係者 みな100% 北朝鮮のミサイルが故障などが起こらない限り、一段目のブースターが日本海に落ち、二段目は太平洋に落ちるものと信じて疑っていないようです。

 自衛隊上層部や防衛庁幹部、首相以下内閣はまさかそんなことはないと思いますが、そんな能天気な考えでは国は守れないでしょう。

 最悪 東京の国会議事堂や柏崎や敦賀の原発に打ち込まれることはまったくありえないのでしょうか。

 その程度の最悪の事態というものは想定ぐらいはしておいてほしいものです。

 そのようなことをまったく想定していないからなのでしょうか、先ほどのニュースでは浜松の高射部隊を秋田と岩手に移動させることやイージス艦2隻を日本海に派遣したとかそのミサイルの射程はどうだとか、よくもまーあることないこと公開して報道させるものです。

 また何時に出発して高速道路の特別通行の手続きをしたとか、いい加減にしたらどうなのかと思いました。

上空を通過するだけなら迎撃しないとも言っていますし。

 敵に我がほうの手の内をすべて公開する必要がどこにあるのでしょうか。

 しかも敵の情報は100%他人任せでしか手に入らないめくら同然の状態ではないのでしょうか。

 国の存続の危機に対する防衛安全保障の分野でこの程度しか機能できないような国家はやはり医療や食料、年金や行政改革 何をやってもだめだということでしょうか。

 そういえばドクターヘリを取り巻くさまざまなこともなかなか改善されないことも良く理解できるというものです。

 船からの離陸の事故、、、、、、


 http://www.youtube.com/watch?v=axGEhvefAGE

 またしてもpunpun0461さんからの宿題に回答です。それにしても面白い映像をいつも教えていただいてありがとうございます。

 船に着陸するヘリコプター特にスキッドタイプは甲板の鉄板とスキッドの接地抵抗が極めて小さいので、ピッチング、ローリング、うねりによる甲板の傾斜によってヘリが動いてしまったり、エンジンスタートやシャットダウン、離着陸時に急激に動いたり、まわされてしまったリする恐れがたぶんにあります。

 特に甲板が濡れていたり、凍っていたりした場合はより危険性が増します。それを防ぐためにクレーンで荷物を上げ下ろしする時に使うモッコを甲板に敷くことがよく行われます。

 ただし これは強力に四方に張って、甲板との間に隙間が出来ないようにしないと、特に小型機は、離着陸時にスキッドが網目に入り込んだら、即 横転となって余計に危険性が増す恐れもありますので注意が必要です。

 今回のこの映像の場合、甲板が大きく傾斜を繰り返す合間にうまく離陸しようとしたときに、どうやら右後ろの固縛が解けていないことに気がつき、それをはずした瞬間に甲板の傾きにローターが回転するヘリのスキッドの摩擦が耐え切れず、やや右前に滑り始めてしまい、パイロットは操縦桿を後ろに一杯倒すしか留めようがありません。

 一杯後ろに倒してもすべり続けて前の障害物に当たりそうになったので、仕方なくピッチレバーを引いて浮揚させたのですが運悪く、甲板が前傾斜となっている時に、」操縦桿後ろ一杯のまま浮き上がり、テールローターを甲板にぶつけてしまって、テールローターが停止状態となって回り始めたのでしょう。

 その後の着陸操作は見事に真ん中へ降りたのですばらしい処置だったですね。

 ある一定以上のピッチング ローリングがあるときは、エンジンをかけてローター回転をあげただけで接地抵抗が減ってしまうので、ヘリが滑り出したら急激に離陸するしか、留めようがありませんので、このような時は縛ったままにしておかないとこうなるという見本でしょうか。固縛を解くのは傾きから水平になり始めて滑らない程度のときでしかも、固縛解除と同時に離陸というきわめてタイミングの難しい、コンビネーションがないとこのようになってしまうのでしょう。

 ですから船のピッチング ローリングの角度がヘリコプターの離着陸時の傾斜角度制限を大きく超えているときは離陸しないことが無難でしょう。

 それにしてもうまく着陸したものです。

 ドクターヘリ 夜間飛行を検討する前に、、、、


(写真 某ファン提供) こんなときパイロットは日没時間超過による安全性にはまったく気になりませんが、監督官庁や会社上司からガタガタ言われることを気にしながらイライラしながら待機しています





 各県 ドクターヘリを運航しているところで夜間運航についての検討を始めたところが出始めています。

 将来に向けての大きな課題です。またその費用は多分まともにやろうとしたら現在の運航費用の数倍の維持コストと、基地病院、出先ランデブーポイントの照明施設や気象観測施設などの数億円以上の初期投資がかかるでしょう。

 その費用に見合っただけの救命効果と一定以上の安全性が確保が出来るかどうかはかなり難しいところでしょう。

 さて ドクターヘリが今は昼間有視界飛行しか飛べないという条件に縛られていますので、この昼間という部分を何とか広げて夜間もという発想はごく自然です。

 では,昼間とは何かと言う定義なのですが、これは日出時間から日没時間までということになります。

 日本のドクターヘリは朝は8時とか9時から運航開始し、夕方は日没時間までと決めているところがほとんどです。

 朝はあまり問題がないのですが、夕方 日没時間ぎりぎりの運航は、飛んでいく先までの距離や時間と現地での救命処置の時間、帰りの時間を計算して、出発するかどうか決める必要があります。

 基地病院へリポートに夜間照明施設があれば、最終着陸時間が日没前に終了する必要はありませんが、基地病院へリポートの照明施設には数千万円かかるといわれています。

 よって日没時間にかかりそうな出動要請には余裕を見て断るということが普通におきています。

 年間このような事例は多分ドクターヘリ1機あたり、10件ではきかないようです。

 ここで普通の常識のある方なら考えるのですが、日没時間を5分や10分過ぎても十分明るいから飛べるんじゃないのか  と。


 実はそうなのです。

 航空法上の規定が昼間は日没時間と決まっているので、いくら明るくても1分でも過ぎて着陸することは規定上許されません。

 民間運航会社は航空局の行政指導の下にあって、飛行計画、運航状況の報告義務がありますから、人命のためならこんな非現実的な規定はどうでもよいから、救急要請に応えて5分10分過ぎても自分が責任を取るから飛んでくれと言うな、骨のある運航幹部や会社経営者はほとんどいないのが実態です。

 監督官庁の航空局は規定を守らないで良いとは口が裂けても言わないでしょう。

 この規定のためにドクターヘリ1機あたり年間10名以上の救急患者は見捨てられていますが、これを改善するには1円の費用もかかりません。

 飛行計画は日没時間を守って立ててください。ただし実飛行で日没時間が5分10分過ぎていても文句は言いませんのでパイロットの判断で安全に着陸してください、と言えば済むことでしょう。

 このようなことが改善されない国で、1機あたり数億円以上の金をかけて夜間飛行をするようになるとはとても思えませんがこの考え方は間違っているでしょうか。

 ヘリコプター船に着陸、、、、


 海上自衛隊はヘリ搭載護衛艦があったり、海上保安庁は巡視船に着陸したりしますが、民間のヘリはほとんどその機会がありません。

 民間のヘリでは、過去には南氷洋へ鯨取りに行っていた船団にベル47が搭載されていて、鯨の群れを探すのに使われていました。

 そして今は使われているかどうかはよくわかりませんが、マグロ漁船にヒューズ500が使われていたそうです。

 そのほかでは日本近海の石油探査に使われていたリグにヘリが離着陸していました。

 自分自身では数十回程度しか離着陸の経験がありませんが、着陸帯が動かない地上に着陸するのとは少し違った注意点があります。

 船は前後左右に揺れるローリングとうねりによって上下動があります。

 地上でホバリングするときは参照になる水平線は動きませんが、船上に着陸しようとしてはるか前方の水平線を参照してヘリの位置を止めますが、下の船は微妙に動きます。

 接地させようと目を下に移して、高度を下げ始めるときに前方の水平線から甲板に目を移すと、左右にゆれるローリングにあわせてヘリが左右に傾いてしまいます。

 ですからはるか前方の水平線から目を放すことなく、揺れる甲板の上で位置をずらさないホバリングが必要です。

 もうひとつはうねりによって船自体が上下動をするときは、ヘリが動かないのにホバリングの高さが微妙に変わります。

 自分が動いているのか船が上下動をしているのか判断する必要があります。

 そしてだんだんと高度を下げて甲板に近づけてある高度からはゆれと上下動にシンクロさせて接地となります。

 ですからうまくノーショックでつけることはなかなか難しいようです。

 あまり経験がないので詳しい話はその道のプロに聞きたいところです。

 ある整備の人が笑って言っていましたが、超先輩のパイロットで長く捕鯨船に乗っていた方は、地上に戻ってからも癖が取れず、なかなかノーショックで着陸できなくてヘリのスキッドが傷むよ などと冗談を言っていたことがありました。

 洋上の救急や大災害時の病院船病院船への離着陸などドクターヘリや防災ヘリも船上着陸に呼ばれる事例が今後出るかもしれません。

 大阪ドクターヘリは訓練で護衛艦へ着陸したことがありましたが、このときに担当したパイロットは海上自衛隊出身者でした。

 もうひとつヘリが船に着陸の話題ですが、先ほどまでは話は船が日本国籍の場合で着陸帯の広さや障害物からの距離などはもちろん日本の航空法などの規制を受けるのですが、外国船籍の船はその国の規定に従うそうです。

 この規定を逆手にとって日本国内でヘリを狭い船の上に着陸させていた事例があるようです。

別件ですが   http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE090324065000221619.shtml
 

ドクターヘリの運航に理解のない航空関係者たち、、、、


  ヘリコプターはどんなことがあっても、いつでも、こういうふうにしか進入着陸しないといけないのでしょうか?

  

 これは実話です。

 つい最近、ランデブーポイントで患者さんを収容し、空港情報圏内の病院近くの場所へ患者さんを送り届けた後、基地病院へ向け出発しました。

 離陸して5分もしない時、別の消防本部から救急の要請が入ったと、運行管理から防災行政無線を通じて入りました。

 基地まで帰る分と後20分しか燃料が入っていません。基地まで飛んで給油して現場へ向かって、患者さんをうまく収容して基地へ帰っても日没時間はぎりぎりです。

 同乗の医師は次の現場へ行こうと言っています。

 情報圏内ですから、その空港で給油できて20分以内に離陸できればどうやらすべてが間に合いそうです。

 ドクターヘリが現場へ向かうかどうか、直ちに消防へ返事をする必要がありました。ヘリが出ないなら救急車で対応してもらわないといけないからです。

 消防関係の連絡は基地の運航管理者に任し、こちらは違法ではありますが空港の管制塔に直ちに給油できるならしたいので給油業者に連絡を取ってほしいと伝えました。

 管制塔には空港内 各事業者に通じる内線電話があるから一番早く連絡が着くからです。

 空港に近づきながら返事を待っていると、すぐに給油できそうだとの返事でしたので、ライトダウンウィンドでしたので、直接パーキングスポットに着陸するむね通報し着陸しました。

 ややもたもたしている給油業者をせかして、最小限の燃料を給油して着陸から9分で無事離陸、現場で順調に患者さんを収容して、基地病院へ日没20分前に帰着しました。

 基地病院へ着いて残務整理をしていると、本社の運行管理から電話が入り、どこかから空港着陸に際して決められたパターンを飛ばなかったことと、パーキングスポットに着陸したというクレームが来ていますとのことでした。

 そのようなクレームをつけてくるのは空港の情報官は普通なので、電話を入れました。

 どのような不具合があったのかという質問にやはり同じようにパターンを飛ばなかったことと、スポットに直接着陸したことはまずいというような話を始めました。

 空港の離着陸パターンは多数機がスムーズに整斉と短時間に安全に着陸できるように設定してあるもので、影響する他機がまったくいない状態ならばどのようなパターンを飛ぶかはパイロットが決めるしそれが著しく他の人に迷惑を及ぼさない限りは文句を言われる筋合いはない。 滑走路に着陸しないでスポットに直接着陸するのはまずいとのこと。

 では他の空港でも必ずそうしているのか、八尾空港は 松山 羽田その他多くの空港でヘリは着陸帯でもなんでもないところに着陸を強要されているがそれはいったいどうなのか。

 しかもこちらはいざという時には、管制方式基準に規定があるように他の航空機に優先権を持って管制を受けることが出来ると決められている内容のフライトであって、なおかつほかの航空機がまったく飛んでいないのに、延々とのんびりとパターンと飛んできて滑走路にホバリングしてとろとろホバタクシーしてきて、スポットに着陸することに何の意味があるのですか。こっちはヘリコプターなんだし。

 そんな飛び方をしたいドクターヘリや防災ヘリのパイロットはまさかいないと思うけれども、万が一そんなやつがいたら止めはしないけれど、自分にそんな馬鹿げたことを強制しないでくれと言い渡しました。

 ほかの要員は皆さん 精一杯の協力をしていただいたので日没を前にうまく患者さんを収容できて、基地病院へ帰れたと満足していたところこんな馬鹿な申し入れで気分ぶち壊しでした。

 ヘリコプターが日本で認知されないはずです。飛行場ではヘリは自分の性能をすべて殺して、借りてきた猫のように飛ばないと承知しない航空関係者が多数いることを再確認し落胆した一日でした。

 救急ヘリは羽田でも成田でもスポットへ直行し、直接目的地へ向け離陸することが常識になっているのに延々とトラフックパターンを飛びたい人は永久にそうしなさい。

FEDEX機 ポーポイズでクラッシュ、、、、


 今朝 朝テレビを付けたとたん、衝撃的な映像が映像がテレビから流れていました。

 成田空港でフェデックスの貨物機 DC11が炎上していました。

 その後のテレビで航空専門家がいろいろと解説していましたが、ポーポイズだと言った人は見かけませんでした。

 ジェットの経験は少ししかありませんが、一度ポーポイズなるものをT33の時に同期生が入り、着陸復興(ゴーアラウンド)していくのを目撃したことがありました。

 絵に描いたようなポーポイズによる事故がテレビで再現されていましたのでそのメカニズムを今日は書いて見ます。

 今日のように強風が息をついて吹いている時は、最終進入の速度をガスト成分の2分の1プラスした分早いアプローチをします。急に風が止んで、対気速度が遅くなると揚力が急激に減って落とされる恐れがあるからです。

 今回 引き起こしをしていまや接地するという瞬間、風が止んで落とされて、落着となったようです。

 メインギアが激しく接地すると、飛行機の重心位置は前にありますのでバウンドして尻尾があがり頭が下がろうとしますので、瞬間の瞬間操縦桿をさらに引いて頭を上げようと操作しますがその舵が聞いてくるころにノーズギアが滑走路をたたき、頭が急に上がります。バウンドして上がろうとするモーメントと上げ舵と合わさり大きく頭が上がりますので、今度は大きく下げ舵を取ります。

 その時にまたメインギアが滑走路について頭が下がりますので、使う舵の量と機体の動きがだんだんと増幅して大きく頭揚げとなって、失速して墜落という、最悪のパターンでした。

 自分が目撃したT33のポーポイズは滑走路の真ん中あたりまで、ノーズギアとメインギアが交互に設置を繰り返していましたが無事にゴーアラウンドして事なきを得ました。

 このポーポイズからの脱出は、エンジンパワーをフルに入れて、操縦桿は離陸位置で保持してゴーアラウンドしかありません。

 パイロットは初期に訓練を受けている間は、アプローチ、着陸によく失敗して、ゴーアラウンドをすることがあるので、躊躇なく出来るようですが、ベテランになるほどゴーアラウンドすることがなくなっていて、プライドや保身などが影響し、最悪になるまでゴーアラウンドの決心が出来ないようです。

 先日のトルコ航空機の事故にもそのようなところが見受けられるように思います。
 

 空母型護衛艦 ひゅうが 就航、、、、、





 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090318/plc0903181052005-n1.htm

 海上自衛隊の新造 護衛艦 ひゅうが が就航したニュースがありました。

 この護衛艦は海上自衛隊初の空母方で同時に4機のヘリが離着陸できる大きな飛行甲板を持つ護衛官だそうです。

 ヘリコプターパイロットとして興味があったのは、どのような着陸帯を持っていて複数のヘリが同時に離着陸できるのかということです。

 これは自衛隊の運用するヘリコプターですので、いわゆる航空法の適用を受けないとはいえ、安全に関する基準というものは、航空の分野では軍であろうと民であろうと大きなものは変わらないでしょう。

 民間のヘリはアプローチとデパーチャーの空域の障害物からの保護と着陸帯の障害物からの保護という観点から、このような複数の離着陸というものを認めないという方針があるようです。

 しかし ヘリコプターが屋上へリポートなどでの複数機同時運航という要求も出てきそうな時代にあまりに合理的でない広大な着陸帯を設ける意味がありませんし、かといって翼端間隔2メートルでは一寸危険すぎるかもしれません。

 また 着陸帯とパーキングスポットという考え方は広い地上のヘリポートを設計整備するにはよいでしょうが、複数機同時運航の屋上へリポートや石油開発用プラットホームのヘリパッドの設計建造にはとても向かないでしょう。

 また 民間はヘリポートにつけるマーキングは航空法上はどうしても○にHマークしか認めていませんがこれに拘束されない自衛艦には他機やその他の障害物との間隔を性格に設定して着陸できるようなマーキングをしています。

 しかしこのようなものでない海上保安庁の巡視船のヘリパッドには民間機登録のJAナンバーのヘリが合法的に離着陸していますが、これには通常の○にHマークはついていませんし、広さや障害物も通常の場外離着陸場にしてはどうも基準を満たしていないように見受けます。

 要は必要な安全基準は何かということと、それがちゃんとした規定になっていて、その基準を守った施設を作って、基準どおりに安全に飛ばすということが肝心でしょう。

 民間ヘリポートや場外離着陸場の基準が航空法その他規定類で決まっているから、それを未来永劫いつまでも守るべきだ。基準に反するものはまかりならんなどということは北朝鮮でも今はやっていないでしょう。

 さすが自衛隊は航空機 ヘリを飛ばすプロです。

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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