厚生省 ドクターヘリ 夜間照明に補助金か、、、、


 国の来年度予算に厚生省がドクターヘリの運営費用として21億円要求し、この中には離着陸場の夜間照明施設に対する補助金が含まれているようです。

 ドクターヘリは現在、14機運航していますが夜間運航しているところはありません。

 理想的な24時間運航をするには、クリアーすべき問題が多すぎて、今直ちに夜間照明施設が整備されたからといって夜間運航を始めることは非常にリスクが高いということは前にも説明したところです。

 だからといって、夜間運航をまったくしないのも、今後の運航が進歩していかないということになりますので、安全に実施可能な部分からはじめることは良いと思います。

 そのためにはまず基地病院へリポートに夜間照明施設を設置することからはじめる必要がありますので、厚生省の補助金は非常に有効な資金となります。

 今の運航状態で問題となるのは、基地からランデブーへリポートへ飛んでいって、現場で救命処置をして、収容し基地病院へ着陸する時、日没時間を1分でも超過することはだめだと航空局が言い張っています。

 誰が考えても日没時間後10分や20分は明るいのですから、このような時間の超過は認めることが普通なのですが、ガンとして譲らないので、やはり基地病院へリポートに夜間照明施設を装備して、合法的に日没薄暮時に着陸できるようにすると良いでしょう。

 こうすることによって出先のランデブーへリポートを日没寸前に離陸しさえすれば、合法的に基地病院へ夜間着陸が出来ます。

 これで日没の早い冬季には30分ほど運行時間を延ばすことが出来ます。

 これが有効かどうかは、たとえば関西地区は12月下旬は16時40分には日没となりますので、30分の飛行距離のランデブーポイントへ出動する最終受け入れ時間は現場の処置時間を20分とするとこれに往復の1時間を足した時間が出発時間を決めますので15時20分が最終出動可能時間です。これではあまりにも早く出動可能時間が終ってしまいます。

 基地に夜間照明施設を設置すれば、日没時間寸前に現地ランデブーへリポートを離陸すれば良いのですから、最終時間は15時50分となり30分延長できます。

 関西ではこの程度ですが、北海道道東地域では 日没時間が15時台という例もあるようですので、採集要請受け入れ時間はなんと14時台ということも考えられますので。特に夜間照明は優先して設置すべきでしょう。

 今 現在 基地病院へリポートは地域の住民の方たちと、運行時間に関することを含んだ協定を結んでいたりするところが多いようです。

 通常 ヘリポートとして昼間つまり 日の出から日没まで運航しますということで同意をいただいているところが多いようですが、夜間照明施設の設置に際して、通常の人々の活動時間である午後10時くらいまでは自由に運航できるような協定に改正していただくような処置も必要でしょう。

 夜間運航の第一歩はこのような日没直後の運行時間の延長ではじめるべきでしょう。これをクリアーできれば次は病院間の夜間搬送です。そして最後はランデブーポイントからの搬送になります。

 徐々に照明施設を充実しながら、そして夜間の運航実績を積みながら広げていくことが良いでしょう。

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 情熱大陸の看護師さんの言葉、、、、


 昨日のTBS系の番組 情熱大陸で取り上げられていた、看護師さんの言葉がすごく印象に残りました。

 看護師になりたてのころ、初めて患者さんが亡くなっていくのを目の当たりにして、救急の看護師を目指すようになったとおっしゃっておられました。

 普通に社会生活を送っているものにとって、人の死というものに遭遇することは本当に少ないものです。

 私もこのドクターヘリに従事するまでは、同じでしたが、この仕事に関わるようになって初めて日常的に、人が亡くなったり、あるいは救急救命処置うまく行って、一命を取り留めたりする現場に遭遇しています。

 そんな中でも、ヘリコプターがあればこそ救命できたというような場面にも何回か遭遇しました。

 また逆に力及ばず、救命できなかった例や、救命されて病院に収容された方の中でもその後亡くなるという例も数多いようです。

 このヘリコプター救命システムはまだまだ発展途上で、その費用対効果、安全性、運航の制度や要員の育成 などなど わからないことだらけです。

 今後 このシステムがうまく社会に定着し、救える命が確実に救命されるようなものになるように是非なってほしいものです。

 中山国交相 失言で辞任、、、


 大臣就任からたった5日間で辞任とは、麻生総理もついていない波乱の船出となりました。

 明るくて元気のある総理がこの先の国のいくえを救ってくれるのではないかと、期待していた向きには非常に多難なスタートとなって一体大丈夫なのかと思わずにはいられません。

 しかし残念なのはこの国では、本音を言えばそれが当たっているだけ、マスコミに叩かれて葬り去られてしまうこの体質では進歩というものがないでしょう。

 成田空港の問題は根が深いようですので、昔から関わっている行政や政治関係者は怨念を持っているといっても不思議ではないでしょう。つい本音を言いたくもなったのでしょうか。

 私がちょうどヘリに乗り出すころですから35年以上前、成田空港の滑走路はすでに出来上がっていましたが、過激派が地元民を応援して反対して立てこもったり、管制塔を破壊したりやりたい放題でした。

 朝の交通情報の番組のフライトで同乗して、朝もやの成田空港の出来上がって使用されていない滑走路上を50メートルの高さで端から端まで飛んだことがありました。

 当時出来上がった滑走路は航空機が使用しないと、細かいひび割れが入るからと、重い空港用の科学消防車が滑走路を行ったりきたりして、走り回って過重を掛ける作業を繰り返していました。

 その後35年を経ても計画通りの空港には程遠い機能しか充足できないで、膨大な税金を無駄に捨てたことでしょう。

 これを思うとき、いったい誰が悪いのか、国民の血税をいったい誰が無駄にしたのか中山大臣がぼやくのもわからないではありません。

 日教組の問題もしかりですが、このような考え方に対してはまったく同意するのですが今、この時期にわざわざそのような発言をして、大きな改革の波を壊してしまうことはいただけませんでした。

 このような行為は、過激派が日本の航空行政を大きく妨害したことや、日教組が日本の教育行政を妨害したことと同じような効果を与えてしまうといっても過言ではないでしょう。

 まるで野党に協力しているようなものではないでしょうか。

 麻生丸の船出にこのようなことが起こることは前途の多難を象徴しているような出来事でなければ良いのですが。

エンジン、リスタート ドクヘリは直ぐに掛けられるのに、、、、、、、、


よく消防の方たちに質問されるのですが、防災ヘリは着陸してもエンジンのクーリングを延々としてなかなかローターが止まらないし、いったん止めたら最後30分は飛べない。

 ところがドクターヘリは着陸したと思ったら直ぐにローターが止まって、患者さんの積み下ろしが出来るのはすばらしいし、直ぐにまたエンジンを掛けて飛んでいくので、防災へりと全然ちがって機動性がすばらしい。

 なぜ同じヘリなのにこうもちがうのですかとよく聞かれます。

 この県では、防災ヘリはベル412を、ドクターヘリはEC135を使っていますのでたぶんこの両機種の比較で言っておられるのでしょう。

 これは搭載しているエンジンの構造上の違いで、マニュアルに従ってエンジンの始動、停止を手順どおりに行えば自然とこうなってしまいます。

 ベル412は停止するときのクーリングは2分ですが、EC135のPW206Bエンジンは30秒 アリエルのエンジンは1分です。この差はたった1分か1分30秒ですがこれでも結構時間の差があります。クーリングはエンジンをアイドルにしてからシャットダウンするまでの時間ですが、30秒でシャットダウンだとアイドルにして急いで各スイッチを切らないと30は直ぐに過ぎてしまうくらいです。またエンジンをカットしてローター回転が一定値まで落ちてからローターブレーキを掛けますと40秒くらいでローターは止まります。

 着陸の足が地面についてローターが止まるまでECだと2分から2分30秒くらいでしょうか。412の場合はやはり5分から6分くらいでしょうか、急いでいるときの2,3分は大きいものです。

 新しいエンジンはなぜクーリングの時間が短いのかというと、エンジンのタービンを支える一番高温になるベアリングからリターンのオイルのパイプの中にカーボンがたまる構造になっているかなっていないかの違いだそうです。古い構造のエンジンは十分にクーリングしながらカーボンを飛ばす必要があるそうです。

 またタービンとケースの隙間は非常に小さく出来ているので、止めるときや、ホットな状態で掛けるときに、ケースとタービンが擦れて壊れるということがあります。新しいエンジンはタービンがケースに当たって削ることによって隙間の調整をするようになっています。古いエンジンはこのような構造ではなく一定の寸法で作りますので、止めるときやホット上体で掛けるときは外側が早く冷えるので収縮してケースとタービンが擦れる恐れがあります。エンジンによっては停止後5分以内の再始動を禁止しているのもあります。

 またエンジン始動のときは、燃料量と空気量のコントロールが微妙にしないと温度超過でタービンが損傷する恐れがあります。新しいエンジンはこのコントロールをコンピューターでやるのでエンジンが冷め切ってないときにでも掛けることが出来ます。古いエンジンは機械的にスタートの燃料流量を出しますので温度超過の恐れがあるので一定の温度以下になるまでは掛けられないということになっています。

 患者さんの乗り降りはエンジンを止めて揺ることが安全上必要ですので、いつでも止めることが出来て、また直ぐにスタートできるということはドクターヘリに使用するヘリの必須条件でしょう。

 ドクターヘリ、守れるか気象制限、、、、


 航空機はどのような天候下でも安全に飛べると言うことが理想ですが、この科学が進んだ時代にあって、もっとも進んでいるスペースシャトルの打ち上げでさえ、天候の制限を受け、打ち上げが延期になったりしています。

 空港間を計器飛行方式で飛ぶもっとも安全性の高い定期便の飛行機でさえ、台風で欠航したり、霧で着陸地を変更したりするようなことはごく普通に起こっています。

 まして有視界飛行で山間部を飛ぶヘリコプターは天候の影響を大きく受け、飛べないような天候状況のときに、強い要求によって飛ぶことは非常に危険な状態になり、事故に直結という事態にもなりかねません。

 しかし、すこしくらい天候が悪い、風が強いといって飛ばないようだとその任務が十分に達成できないことになり、その存在価値を大きく落とすことになるでしょう。

 やはり天候制限ははっきりと決めておいてそれを守るということが安全飛行の第1歩となります。

 つまり離着陸の制限、飛行間の天候に関する制限を具体的に決めて、それを守るということでしょう。

 ではそれが具体的に実行されているのでしょうか。

 残念ながら 実はそのようになっていない恐れが在ると言えば、なぜだという声が聞こえてきそうです。

 風速制限や雲の高さ、視程などははっきりと運航要領などに決められてはいるのですが、実はその値を計測する設備はほとんどないといっても過言ではないでしょう。

 計測すらしていないのであれば、守ろうにも守りようがありません。

 定期便や飛行場間を飛ぶ飛行機には考えられないことなのですが、気象状態のデータを持たないで飛ぶことがヘリコプターの宿命なのですが、規定類はかっこよく制限気象データを並べてあります。

 通常の取材飛行などでは十分に調べる時間がありますので、雲の高さはどうだ、山に雲はかかっているか、どのあたりまで見通せるかなどと、素人相手に的確な情報を引き出すような問答も出来ますが、5分で飛び立つドクターヘリにはそのような時間的な余裕もありません。

 まして今ドクターヘリのパイロットが待機している部屋はほとんどのところは外の空が見えないような場所ばかりのようです。

 視程が1500メートルと決まっていて観測値が1000メートルだったら飛ぶパイロットはいませんが今は観測値そのものがない状態ですから飛ぶパイロットが出てきても一向に不思議ではないでしょう。

 昼間でこのような状態なのに夜になったらどうすれば良いのでしょうか。

 飛ばなければ良いということでしょうか。そうすれば徳之島でチヌークが墜落することもなかったのですが、、、、、、、

 ドクターヘリ 搬送は無料です、、、、


 以前このブログでも取り上げましたように、搬送中のお年寄りの患者さんがフライトドクターに「これ 高いのとちゃうか?」と聞いたことがありました。

 ドクターは「これはタダ、タダやでーー安心していいよー」と答えたとたん、患者さんのおじいさんはなんとなく元気になったようで、また機内のムードがなんとなくほんわかとなったことがありました。

 後期高齢者医療保険のニュースや、世の中の不況のニュースを聞くたびに、高齢者や弱者が十分な医療を受けにくくなってきていることが世間に広まっています。

 また安易な要請によって、無料の救急車の出動回数が多くなりすぎて、本当に救急搬送が必要なときに間に合わない恐れがあちこちで出てきているので、一部救急車は有料にしようかということも検討されているようです。

 また最近は医療費が払えないので十分な診療を受けられない、所得の低い人たちや、失業者などのこともニュースで取り上げられたりしています。

 このような世知辛い世の中にあって、真に救急搬送が必要な、瀕死の事故や、急病のときに、1分1秒をあらそって飛んできてくれる、無料の救急ヘリコプターの制度があるということ、あるいは近い将来この制度が全国的に整備されるということは、日本もまだまだ見捨てたものではないかもしれません。

 ドクターヘリを整備している県は、ドクターヘリが無料であるということをもっと十分に広報して高齢者や過疎地の住民の皆さんに知らせる必要があると思います。

 重傷者、重病者の方のなかにたまにヘリコプターの搬送を拒否して救急車ではそうされる方もおられるようですので、色々な機会を捕らえて、全国的にも広報活動をしてもよいと思いますが厚生省はしないのでしょうか。

ランデブーへリポートの夜間着陸実証テストは、、、、


 厚生省が補助金を出そうとしているのはたぶん当面、基地へリポートの夜間照明施設に対してからだと思います。

 まずは基地に設置することからはじめるしかないでしょうからそれはそれで良いのですが。基地へリポートが充分な広さがなかったり、危険な障害物のあるところはほぼないでしょうから、夜間照明施設が着けば、ほぼ安全に離着陸は可能でしょう。

 問題は各地に設定したランデブーへリポートが果たしてどうなのかと言う点です。

 通常、航空局が設定したヘリが離着陸できる基準は相当に厳しくて、障害物や着陸面の広さが満足できない場所が多く、現に使っているランデブーポイントのうち、許可基準を満足できるものは10分の1程度です。

 よって残りの10分の9は許可申請しても、許可になることはありません。ではそのような場所へ着陸できないのかと言うと、航空法の例外規定で救難、救助の場合は許可を受けなくても着陸しても良いことになりました。

 さて ドクターヘリが夜間も飛ぶということになると、このような許可を受けることが出来ない、条件の悪い所こそ、今の夜間照明の基準が果たして充分なのか、また夜間の障害物が見えにくい状態でこのような場所へ離着陸することは本当に安全に出来るのか、このようなことを充分に検証する必要があるでしょう。

 山間部のように住宅や道路の光源がごく少ない場合に今の夜間照明基準が果たして充分なのか、周りの電柱や山や送電線など進入 離脱経路にある障害物は充分に目視できて安全に交わすことが出来るのかどうか。

 比較的 人家や道路光源が多い地域では同じように障害物や着陸面が充分に視認で来て離着陸することが出来るのか。

 このようなことを実際にヘリを飛ばして充分に検証して、どのような照明施設や、障害灯火をつけるべきなのかを決めるべきでしょう。

 ところがこのような場所への離着陸は救助の場合にしか適応になりませんので、訓練その他の目的では着陸できないことになっています。

 と言うことは実証試験も出来ませんので、正式に離着陸の許可が取れる広い場所でしか、夜間は着陸できないと言うことになります。

 今 離着陸場所として使っている数の10分1の場所にしか着陸できませんので、それでドクターヘリの任務が達成できるかどうかは、議論の分かれるところでしょう。

 と言うことはそもそも基地病院ですら夜間照明施設は要らないということにもなりかねないということです。

 基地病院だけが夜間照明施設を持っていてもほとんど意味がないと言うことになります。

厚生省が夜間照明設置補助金をばら撒く前にするべきこと、、、


 
参考 http://www.eonet.ne.jp/~accident/index-2.html

  航空事故調査報告書概要 (阪急航空)
  1990/09/27発生 川崎式BK117B-1型JA6605(回転翼航空機) 
  宮崎県日向市




 厚生省の来年度予算要求の項目にドクターヘリ用のヘリポートの夜間照明施設に対する補助金が盛り込まれたようです。

 一見 非常に良いことだと捕らえてしまいそうになるのですが、早まってはいけないと思います。

 もちろん将来的にはドクターヘリが救急車や救急病院のと同じように24時間稼動することは理想です。

 ドクターヘリが24時間運航するには夜間照明は必要ではありますが、それはただの小さな条件の一つに過ぎません。

 夜間照明さえあれば、ドクターヘリが夜間、確実に運航できるとは誰も思わないでしょうが、夜間運航するためにはクリアーしなければならないことが多すぎて、果たしてどうなるのだろうかと躊躇してしまうほうがまともではないでしょうか。

 たとえば、夜間運航するには2箇所や3箇所の夜間照明つきへリポートがあったとしても、その場所だけで運航するために夜間、ヘリを稼動状態で運航クルーを勤務させても、年に何回飛ぶでしょうか。少なくとも担当する県内、各 市町村に1箇所ずつ以上の夜間照明つきへリポートを整備しなければ、待機、勤務させるだけの出動回数を確保できないでしょう。

 出先のヘリポートは照明施設が無くても、暗視ゴーグルで対応できるかどうか、またそれをするかどうかはかなりの実験運行による安全確認が必要でしょう。

 今 ランデブーへリポートは各県ドクターヘリは通常数百箇所あります。県の事情にもよりますが、この数百箇所のランデブーポイントはほとんどが学校や公共の運動場、河川敷など本来の目的を持った公共用地なのですが、そのような場所に夜間照明施設を果たして設置できるのでしょうか。

 そもそも、防災目的や救急目的のために市町村が専用にヘリポートとして設置したものは、金さえあれば照明施設を設置することが可能ですが、このような場所は一体何箇所あるのでしょうか。

 今 ランデブーポイントとして使用している場所は、いわゆる場外離着陸場としての広さじゅうぶんでなくても、また、進入 離脱の空域に障害物がある場合でも、航空局の許可を得ないで離着陸しても良いことになっていますので、各県数百箇所、確保できています。

 普通に考えてこのような場所は照明施設を設置しても、夜間運航はかなりの危険が伴うと思えますがこのような場所は、夜間使うかどうか どうすればよいのでしょうか。

 このようにドクターヘリが夜間運航を始める為には、施設面だけでも今後どのようにするかと言うことを十分に検討協議して、目標を定め、5年10年計画でやるべきでしょう。

 たとえば県を指定して実験的に夜間運航の条件つくりを5年計画で進めてみるとか、ドクターヘリの夜間運航を目指す協議会を作って、準備に入るとかするべきでしょう。

 補助金がついて、基地病院に照明施設が整備されたのに、なぜヘリは夜飛ばないのだーーと言うような無知な世論や流れに影響されて危険な運航をはじめないように願いたいものです。

 照明施設の問題のほかに、気象観測の施設や気象データの通報方法の問題、パイロットの訓練や夜間飛行実績維持の問題、地上照明や地上安全の問題、パイロットなど勤務体制の問題、山間部の送電線や障害物の航空障害灯火の問題などなど、検討課題はいくらでも出てきそうです。

和歌山ニュース9月10日記事

ドクターヘリ導入5年
和歌山県立医科大学から出動1705件

http://www.nwn.jp/


            
 医師と看護師を乗せ、現場へ駆けつける救急医療用ヘリコプター「ドクターヘリ」。救命率向上のため、2003年に和歌山県が導入して5年が経過した。今年(2008年)3月までの出動回数は計1705件。救急病院まで車だと時間がかかる“医療過疎地”を山間地に抱える和歌山で、救急医療を支える大きな役割を担っている。ヘリを配備している県立医科大学救命救急センターの篠崎正博教授は「救急車を待っていたのでは命を落としていたかもしれない事例が年間15〜20例ある。いち早い処置が後遺症を軽くするケースも多い」と成果を語る。
    
■救命率向上、後遺症軽減に寄与
   
 ドクターヘリは、人工呼吸器や緊急気道確保セット、超音波診断装置などを装備し、「空飛ぶ救命室」とも呼ばれる。国内では01年から導入が始まり、現在は13道府県で14機が活躍する。
 県は03年1月、全国で7番目に導入。和歌山市紀三井寺の県立医大附属病院屋上にあるヘリポートに待機し、急病者や重傷者が出た場合、消防機関の要請に応じて駆けつけ、現場やヘリ内で処置しながら、設備の整った県立医大に搬送する。
 ヘリは時速200キロで、高野山まで12分、白浜まで20分、新宮や串本も30分で到着できる。運行範囲は県立医大から100キロ以内で、奈良と三重の一部も対象となる。県医務課は「交通事情のよくない山間部が多い県内で、ドクターヘリは医者の手にかかるまでの時間を短縮するための大きなツール」と説明する。
 出動件数は、03年度が265件、04年度以降は350件前後で推移。今年3月末までに計1705件出動している。うち477件は各地域の病院から県立医大へ運ぶ病院間搬送だった。
 一分一秒を争う救命救急の現場で、ドクターヘリが果たす役割は大きい。紀中の高速道路で対向車同士の正面衝突事故が起こった際は、心肺停止となった2歳の女の子に、ヘリで駆けつけた医師が現場で気道確保などの処置を行い、県立医大へ搬送。偶然居合わせた看護師が事故直後に心肺蘇生を行っていたこともあり、奇跡的に一命を取り留めた。
 海南市東部で軽トラックが電柱に衝突した際には、現場すぐ横の田に着陸。到着時はまだ患者が車内に閉じこめられた状態で、輸液などの処置とレスキュー隊による救出を同時に進め、救出後すぐに搬送。損傷した心臓の緊急手術を行った。
 出動する場所や患者の状態は様々。ヘリに乗る医師8人のうちの1人、足川財啓助教は「高野山方面などでは救急隊が到着する前にヘリが着くことも。患者の情報が全くないこともある」と話す。
 より多くの命を救うため、当初、午前9時から午後5時(5〜8月は6時)までだった運行時間を、06年4月、午前8時からに早めた。篠崎教授は「理想は24時間運行。夜間は年間600人の患者がいると考えられ、午後8時まで運行できれば600人のうちの4割はカバーできる可能性がある」と見る。ただ、現状では照明、騒音、人件費などクリアしなければならないことが多い。
 救命救急センターが和歌山市と田辺市に計3カ所にしかない和歌山の救急医療を支えるドクターヘリ。「運用には病院と救急隊との関係が重要。各地域の救急隊員は患者を判断する能力が高いんです」と篠崎教授。大規模災害が起こった際、ヘリを使った広域搬送が行われるが、「和歌山はドクターヘリを日常的に使っているため、万が一の際に他府県から応援に来るヘリを有効に生かせるはず」と、この五年で蓄積されたノウハウの意義を強調している。
写真上から=県立医大屋上から飛び立つドクターヘリ、海南の事故現場で。すぐ横の田に着陸したヘリ(右奥)が見える

 仮想着陸帯と屋上へリポート

 日本で屋上へリポートが出来たのは、池袋の西武デパートの屋上をヘリポートとして朝日ヘリコプターが使用したのが最初でしょう。  

 当時は世界的にも屋上へリポートがどうあるべきであるとかの設定基準も厳密に決められていなかったようですので、今の基準から考えるととてもヘリポートとして使えるような場所では」なくしかも狭いところへ複数機着陸していたようです。

 その後 騒音問題とかヘリのエンジンが止まったときの危険性などから、ヘリポートは芝浦の周りが運河に囲まれた倉庫ビルに移転しました。

 離着陸のときにエンジンが止まったときに運河に不時着するということで、地上の第3者に危害が及ぶことはこれでなくなりました。

 しかし 当時まだ30メートル4方程度の狭い場所にローター直径が10メートルあまりのベル47が3機離着陸していました。隣のヘリとのローター間隔5メートル程度で20年以上安全に離着陸していましたが、これでは危険だという規制が入り、着陸帯を確保し別に駐機場所として3機分のスペースを設けてやはりローター間隔5メートルにホバリング移動でパーキングしています。

 スキッドタイプのヘリはいずれホバリングで5メートル横に駐機するのですから、仮想着陸帯をビルの外に設けてホバリングした後、移動すれば無駄なヘリポートスペースを高額な費用で作る必要もないと思うのですが。

 ヘリポートには一定の安全なスペースがないと許可にならないという不合理な規定のために25メートル4方の広いヘリポートに1機しか着陸できません。

 災害時などには複数のヘリが着陸できればどれだけ有効でしょうか。また故障で動けなくなったへりが住みにいても代替機が横に着陸すれば便利でしょうし、緊急に予備部品を空輸してくるヘリも着陸すればよいでしょう。

 過去何十年もそのようなスペースで安全に運航してきた実績を一遍の規制で、複数機、着陸するために莫大な費用を使う病院も出てきています。

 この仮想着陸帯の考え方はすでに、災害時などの防災目的で狭いところへの着陸を認めるために導入されています。

 今現在、各地にある25メートル四方の屋上へリポートは、対角線上に2機のヘリが十分に安全に着陸できます。

 離着陸重量の条件をつけたり、風向風速制限を特別に設けて一定の条件で認めるようにすればわざわざ莫大な費用で2倍以上の面積のヘリポートを作る必要はないでしょう。

 またそれが許可されるようになったら、通常運航のヘリは片隅によけて、緊急用に対角線上のスペースを常に開放して駐機するようにするとよいでしょう。

 めったに複数機が同時に使用することはありませんが、運航資源の有効活用に際して、ローターが50センチ長いから着陸はだめ、着陸重量の2.5倍程度の強度を要求しておきながら、100キロでも超えたらだめ、どんどん規制を膨らませて自分の首を絞めるのもいい加減にしたらどうでしょうか。

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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