信越放送ヘリ送電線接触事故裁判判決、、、、、


 4年前長野県南木曽町の交通事故取材の信越放送のヘリが谷を渡っていた160メートルの高さの送電線に接触して墜落し、亡くなった方の遺族が起こしていた損害賠償裁判の1審判決がありました。

 訴訟の争点は航空関係法規に地上60メートル以上の物件には航空障害標識を設置するように決められているのに、国は中部電力に対してこの規定を守って、障害標識を設置させることを怠ったこと、中部電力はこの法令に基づいて障害標識の設置を怠ったこと、その他 ヘリを運航している中日本航空と信越放送はこのような障害物の情報等を事前に収集し運航の安全を守る義務があるのにそれを怠ったことが事故の原因であるので損害賠償をするように訴えていました。

 この訴訟の争点は、国と中部電力が航空障害標識を設置しなかった、またはさせなかったことが明らかに航空法に違反しているかどうかということでした。

 中日本航空はすでに事故の過失を認めていますので、争点は国と中部電力の違法性の問題でした。

 裁判の結果は国の違法性は認めないで、中部電力の違法性を認めて3200万円の損害賠償を命じています。

 遺族は当然のことながら国の責任を求めて上告すると表明しました。

 以前このブログで書いたと思いますが、この現場の送電線は非常にわかりにくい形態になっています。

 20年も前ですが、この横を併走する関西電力の送電線の補修工事をヘリ運搬で行ったことがありました。

ここは中部電力の送電線と関西電力の送電線がほぼ南北に平行して走っていて、この衝突事故が起こった地点で中部電力の送電線のみが深い谷を渉って直角に向かい側の山へ渡っています。

 どちらの送電線も鉄塔は30メートくらいの高さで、稜線の上に出ていませんので、春の雪解けのときはまだらに残った雪に溶け込んで鉄塔自体を見分けることも難しいところです。

 このような状況でいきなり直角に曲がって谷を渉っていますので、事前にその存在を知っていても、正確にどこで直角に分かれているか、非常にわかりにくいところです。

 鉄塔の高さは30メートル程度なので、赤白の塗装標識はされていませんでしたし、送電線自体が地上から60メートル以上あってもここを含めて日本国内で線に標識がついているところは1箇所もありませんでした。

 しかもここは線の高さが地上から160メートルありましたので、最低安全高度の150メートルを保っていたのに線にぶつかってしまったのです。

 法の規定では60メートル以上の高さの障害物には障害標識をつけることとなっていて、線状障害物にはつけなくてもよいかどうかが争点となっているようです。

 外国では線自体にボール状の標識をつけているところがありますが、日本の送電線はもともとそのような設計になっていないので、もしつけるとなれば風を受けたときに耐えられるように鉄塔自体の補修工事からやり直さないといけないところばかりです。

 航空法は60メートルといっておきながら、定期航空の飛行機はこのような障害物が影響をするようなフライトはほとんどないので、小型機やヘリがこのような危険なところを飛んでいるという気持ちがあればこのような状態で放置しておくようなことはなかったでしょう。

 遺族はこのような航空行政に対して裁判を挑んでいるように見受けられます。

 ドクターヘリが特別に法律で許される低空を全国をくまなく飛び、さらには将来夜間も飛ぶようになると、このような航空障害標識、航空障害灯は法に従って一箇所の抜けもなくつけてもらわないと安全には飛べないでしょう。

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 救急医の激務、、、、


 救急医療にかかわるフライトドクターの皆さんは日常的に過酷な勤務に追われているようで本当に同情したくなります。

 ヘリ当番の先生は一日中の救急外来で患者さんを診ておられるようです。その間いつでもヘリの出動要請にこたえられるように専用のポケベルを携帯し、いったん出動が入れば屋上のヘリポートへエレベーターの緊急優先ボタンで駆けつけます。

 そして現場で救急処置をした患者さんが病院へ着くと一緒にERへ下りていって、他のドクターナースと一緒になって本格的な処置をしたりそのまま緊急手術となることも多いようです。

 また救急医療は時間的に重症患者が多数重なって運び込まれたりすると、戦場のような状態になったりするそうです。

 我々 運航クルーが静かに一日待機して、出動に備えているのとはずいぶんと違った様子なのでしょう。

 救急患者の数は一定ではなく、一時に集中したり、それほどでもない時あったり一定しないことが普通だそうですが全般には目一杯で回していることのほうが多くなってきているようです。

 最小限のドクターナースで救急外来を回しておられるので、ドクターは特に、36時間連続で仕事だったとか、夜勤明けでそのままへり担当しますとか、とても信じられないような勤務をされていることも見受けます。

 翻って 航空運送事業のパイロットは、法令にもとずく、行政指導によって認可された運航規定類によって、原則的に12時間以上の連続勤務をさせることが出来ないようになっていますし、連続勤務日数の制限もあり、労基法以上の規制を受けて守られています。

 36時間勤務を続けているパイロットが操縦するドクターヘリに乗せてもらおとする人はまずいないでしょう。

 このような規定はパイロットを守るという規定ではなくて、安全な運航によって乗客を守ろうとする規定ですが、実際に飛ぶパイロットもそのおこぼれで守られているということでしょうか。

 36時間の連続勤務を強いられるドクターによって成り立つ救急医療が果たして本当に患者さんのためになるかどうかは大きな議論になるところでしょう。

 普通に考えればドクターの人の子、人の親でしょうから、普通に社会生活、冠婚葬祭、家族での休暇などなど 一般の人に近い生活状況を守れないようであれば、若い職業倫理の高い、向上心の強い、また体力のアルうちはとにかく一定の年齢や、家族構成になったらこのような厳しい勤務の救急部門から離れていってしまう事になるでしょう。

 ヘリコプターのパイロットや整備士も同じような忙しさが長く続いたことがありました。

 運航規定上の休暇を機械的に取ることが精一杯で、代休が100日も抱え、年休に至っては10年以上取ったことがないというような状態でした。

 当然のようにまともな家庭生活は無理で、家族旅行や父親参観日はとてもいけませんし、場合によっては近親者の冠婚葬祭にも出ることが出来ませんでした。

 ヘリコプターの業界はいまだにそのような体質から抜けきっていないような状態かもしれません。

 このような傾向は経済が減速様態に入った今、多くの世界でこのようになっています。

 見せかけ管理職や、時間外手当の不払いなどはどこでも見られるようですが、だからといって救急の医療に関わる人たちが超過酷な勤務で酷使されていると、一部の産科や小児科のように気がついたら誰もいなかったというようなことにならなければいいのですが。

 たまには家族と旅行したり、PTAや地域の活動に参加したり、最近話題の裁判員に指名されたら傘下できるくらいの余裕は社会人としての当たり前の義務ですので、そのあたりの配慮は是非社会として実現してあげてほしいものです。

 梅雨明け10日、雷3日、、、、、


この時期の天候を言い表す言葉に梅雨明け10日、雷3日という言い方があります。

 梅雨明け10日とは、長い梅雨が明けたあと10日間くらいは真夏の安定した好天が10日間くらい続くことが多く、有視界飛行の小型機やヘリコプターにとって非常に良い飛行条件の日が続きます。

 その時期が過ぎると真夏となり、上空に寒気が入ると最近3日間のように激しい雷雨に見舞われ、雷の被害や局地的な集中豪雨で死者が出たりすることがあります。

 いったん寒気が上空に入ると3日間くらいは居座ることが多いのでこのように雷3日といわれるようです。

 ただ、今回の雷や集中豪雨はこの雷3日ではなく、梅雨前線とも読み取れる梅雨末期の集中豪雨であるとも言えるようです。

 今回の集中豪雨では神戸で思わぬ鉄砲水で子供が流されて4名の方が亡くなったようです。 

 最近は気象情報がインターネットなどで正確迅速に配信されるようになったので、悪天候による小型機などの事故もずいぶんと少なくなりましたが、このような急激な天候の変化や突風などの危険は依然としてなくなることはありません。

 ヘリコプターや小型機が雷のために事故を起こした例は、約30年前、四国の香川県で陸上自衛隊のOH6のテールロータに雷撃が直撃し、墜落して4名の方が亡くなった事故がありました。

 通常 空中を飛行する航空機には雷は落ちないのですが、落雷放電の通り道に航空機がたまたま入ると、雷撃を受けることになります。

 大型機の場合は翼に穴が開いたり、機種のレーダードームが飛んでしまったりした程度で済んでいることが多かったようです。

 40年小松基地から夜間飛行の雷雲の中で雷撃を受け、全電気系統が壊れ、操縦不能になって脱出地上の方が5名でしたか亡くなった事故もありました。

小型機の場合は雷の直撃を受けるとダメージが大きくて危険となる可能性も高いようですので注意が必要でしょう。

 整備士の役割 ドクターヘリ、、、、


右端はインドネシア人整備士 スハンデイさん 戦争中 進出していた、日本国鉄の教育を受けたそうです。元気で生きてるかな、、、


今まで数多くの整備士の皆さんと色々なフライトをしてきました。

百人以上の整備の人が私のフライトに付き合ってくれてずいぶんと色々助けてもらいました。

命を助けてもらったことは少なくとも数回、ヘリコプターを壊すところを助けてもらったことは数十回以上でした。

ヘリコプターは少し特殊で、日本では整備士とパイロットがヘリに乗り込んで、何らかの作業フライトをするというパターンが一般的なのですが、外国では整備士が乗り込むということは少ないようです。

一番の危機を救ってくれたのは、重量一杯 1,8トンの鉄塔材を吊り下げて、地上の人の介添えで下ろそうとして、最終進入で背風乱気流にたたかれてパワーが一杯になって、沈みが止まらなーーーい。下の人を殺すーー。ジャンプ台の外へ荷物を交わしたら地面効果がなくなってさらに沈むーー。せり上がってきた杉の木をたたくーーー。 その瞬間 隣の整備士が「 カットします 」 ミラーの中で鉄塔材が落ちて行きました。

一瞬 杉の木を交わしてヘリは急上昇 をーー危なかったーー。
瞬間的な危機を察知してお客様の大事な荷物を切り捨てて、最悪の事態を脱出、パイロットの指示を待つことなくこのような重大な決心をして切り離し操作をするようなことは、普通の整備士ではとてもできなかったでしょう。

ドクターヘリの整備士はヘリコプターの整備点検が20% フライトが40% 待機中や出動中の準備中の仕事が40%でしょうか。
いわゆる本業のヘリの点検整備以外にやることが非常に多いことが特徴でしょうか。

いったん飛び上がったら、GPSの操作や無線機器の操作、航法の手助け、地図の確認などパイロットがやるべきことを補助的にやってもらっています。

着陸してドクターナースが救急車へ駆けていって処置が始まったら、ヘリの中の医療機材や薬品類が入ったかばんを届けたり、患者さんが乗るストレッチャーにカバーをしたり毛布の準備をしたりします。
機内に収容するときにはストレッチャーを誘導して、機内に固定したりします。
ヘリが出発する前の安全確認はすべてやるのも大きな仕事です。

病院に着いたらストレッチャーを降ろして病院入り口までは誘導して患者さんを運んでいきます。

ドクターナースの次に患者さんと接することが多いのが整備士の役割でもあるようです。

患者さんが降りた後継ぎのフライトに備えて、機内の片付けや、機器類の点検も重要な仕事です。

 このようにドクターヘリの整備士は本来のヘリコプターの整備点検以外に一杯やることがあって3名の中では一番忙しい存在かも知れません

 長崎で小型機離陸直後に墜落 コクピットスモークか?、、、、


 昨日 長崎空港を離陸した直後に3名の乗ったソカタ機が墜落し、3名の方が不幸中の幸いで負傷したのみで助かったようです。1名は意識不明の重態ということで予断は許しませんが。

 目撃者等の話によると、機体から煙や一部炎が出ていたというような情報もありますので、どうやら機体の何らかの故障で墜落したような可能性が高いようです。

 通常は煙や炎が出ただけでは、目撃者の話のように旋回しながら海に突っ込むというとは考えにくいようです。大量の煙を吐きながら姿勢を制御できなくなったような状況だとコクピットスモークという緊急事態ではないかと思います。

 10年ほど前でしたか埼玉県の入間基地のT33がコクピットスモークになって、2名のパイロットは脱出することなく入間川の河川敷へ機体を持って来て最終的に東京電力の送電線にぶつかって殉職、東京が大停電になった事故がありました。

 コクピットスモークは、ソカタのような小型機の場合はエンジンオイルからの煙と電気系統からの煙の2通りが考えられますが、火が見えたり、大量の煙で機内がきりに包まれたようになって、姿勢がわからなくなるほどの煙が発生するのはエンジンオイルからが多いようです。

 今回の事故の原因としてはそれが一番の考えられることだと思います。

 パイロットは離陸中に着陸したいと無線で通報しているようでですので、もしかするとエンジンオイルを補給するところのキャップがうまくしまっていなかったことも考えられます。

 私も204Bで飛んでいるときに、エンジンのコンプレッサー部分のベアリングシールが壊れ、多量のオイルが噴出し、排気管から白い煙を吐きながら、ヘリポートに不時着したことがありました。このときはエンジンオイルの温度指示が結果的には振り切れて、最終的にはオイルプレッシャーも0となり機内にはオイルの焼けるにおいが充満しました。

ヘリの場合はエンジンが屋根の上についているので多量の煙は機内に入ってはきませんでしたが、不時着の最終段階でホバリングすると一気に排気の白煙に包まれて周りがまったく見えなくなりました。

 今回の墜落に際して、長崎県のドクターヘリがちょうど空港で給油中でしたので、直ぐそばに墜落したのを目撃し、同行のドクターナースが救急処置をしたとの情報もありました。
 墜落当初は3名とも重症ではなかったようですが1名の方が救助されるまでにおぼれて重体となったようです。

 救命胴衣をうまくつけることが出来たならば無事に救助されたかもしれません。

 小型機とTCAS(空中衝突防止装置)


TCASは最近判決があった日本航空機同士の焼津上空でのニアミス事故で世間に知られることとなりました。

 管制官が指示を出す相手のコールサインを間違ったため、余計に接近する状況となった時に、パイロットが最終的に回避する操作をTCASの指示と反対に行ってしまったので本当に衝突寸前となってしまい、極端に大きな操作をして乗客の多くが怪我をした事故でした。

 この時の管制官はOJT(実務訓練)をやっていたそうですが、裁判の結果は有罪となってしまいました。

 定期便の航空機は300ノット400ノットで巡航しますので、レーダー管制支援やTCASの装備が無ければ、目視によってのみニアミスを回避することは困難なので、トランスポンダーやTCASは必要でしょう。

 小型機やヘリコプターはどうでしょうか。

 小型機やヘリコプターはどんなに早いものでも200ノット程度ですので、絶対に必要かといえば答えは分かれるでしょう。

 200ノット程度で普通に巡航しているならば、お互いに自分の進む方向と側方をまともに見張りしていれば、ほぼニアミスすることは無いでしょう。よほどよそ見して飛ぶ人は必要かも知れませんが。

 ただ、外部を十分に見張り出来ない状況、たとえばアクロバットやストール、急旋回などをしている時は必要かも知れませんが、通常は訓練空域内で、周りを確認するクリアリングターンをしてから科目をやることになっていますので装備は必須でもないかもしれません。

 ヘリコプターの場合、取材などで多数機が集中したり、同じ取材対象に向けて旋回したりすることが多いので、TCASを装備する例もありました。しかし肝心な取材空域では他機の数が多すぎて、RA(回避指示)が出っ放しになるようで、あまり効果がないということがわかったようです。

 取材地域への往復飛行には約に立つかも知れません。同じ取材地への往復の朝日新聞と毎日新聞のヘリがヘッドオンで関空の管制圏の境界付近ですれ違い様ぶつかって、1機墜落、3名が亡くなっていますが、このようなときは役に立ったかも知れませんが、それにしても相対速度は高々250ノット程度でしたので、5キロで目視できるとして、30秒もお互いに前を見ていなかったことになります。

 そんなえらそうなことを言うお前はニアミスしたことは無いのかと、問われると誠に恥ずかしいのですが一度だけ完全にヘッドオンのセスナ機を見落として、気がついたときは回避操作も出来なくて、一瞬、腹の下を通過していく相手機の操縦席で、パイロットが地図を見ている姿がよぎりました。高度差が無ければ完全にぶつかっていました。

 そのときは物輸現場で、エンジンが大きなストールに入り、作業を中止して、とりあえず基地まで飛んで帰って修理しようと言うことで何とか空港の近くまでたどり着いてやれうやれといった状況でしたので、隙があったのでしょう。

 やはり 小型機と言えども経済的なものが許せばTCASは装備すべきでしょうが、相手機がトランスポンダーを装備していなければ何の役にも立たないので、そのことも心のどこかには置いておかないといけないでしょう。

 ウルトラライトやパラグライダーなど今の時代は色々なものが飛んでいますので油断は出来ません。

コードブルー ドクターヘリ 第4話、、、、


今日は興味深く見せてもらいました。

飛び交う医学用語はまったく日常的にヘリの中や、待機室でのホットラインの入電の時などに聴いている言葉なので違和感無くドラマの展開が理解できました。

この仕事に入ってドクターヘリに乗り出す前に、日常使用される簡単な医学用語については一応教育を受けるのですが、記憶はしても、実際に使われる状況の中でしか本当に覚えることは出来ません。

それでもぜんぜんわからない医学用語が無線で飛び込んでくることもあり、運航管理係りやパイロットがリードバックしてドクターへ伝える時に、とんちんかんな伝達をしても、音感で何とか理解していただいて、後で大笑いと言うようなこともたまにはあります。

このようなことは当日の反省会で、再確認して教えていただいたりして、長くやっていると一通りのことは自然に覚えるようです。

今日のドラマの中でフライトドクター候補生が、上司から不適を言い渡されるカットがありましたが、実際の世界ではそのようなことは一度もありませんでした。

乗り物酔いや、高所不適などの理由で自分から辞退されることはあるようですが、医学的対処能力の問題で不適になるようなことはまったくと言ってありません。

反対に乗り物酔いにも立ち向かいながら フライトを積極的にやっておられるドクターやナースの方も多くおられることも事実です。

要請で飛ぶフライトは天候を選びませんので、乱気流の多いときや、雲が低くて山間部を迂回しながら飛ぶような、条件の悪い時も必ずありえますので、なるべく揺らさないように、安定して飛ぶような気持ちでやっています。

いったん飛び上がったら、ひとつのクルーとして、一蓮托生で患者さんの元へ飛んでいきますので、気持ちが一体になって飛べるように、朝夕のミーテングや休憩のときも意思疎通できるような雰囲気を大切にしています。

現場や飛行中、病院へ帰着したあとも良い医療をしていただけるように、フライトが負担にならないよう、信頼をいただけるようなフライトが出来るように心がけてはいますが、パイロットにとって、悪天候 乱気流、機体の状況、残燃料、離着陸場所の条件などなどの運航条件に加えて患者さんの重症度というものがストレスとなってきます。

このような中で患者さんを救命できたという報告をドクターからいただくと本当に飛んでよかったなと思います。

またしても大地震 東北地方、、、、


 幸いなことに被害は限定的であったようです。

 今回は真夜中に起きましたので、各種官庁関係のヘリコプターがどのように飛んだのか気になるところです。

 被害が限定的にあったので、東北地整のAS332は日の出とともに離陸して、現場に向かったようです。

 防衛庁のヘリはすべて24時間飛行可能な飛行場に駐在していますので、また防衛目的の飛行は、夜間悪天候問わず24時間対応できなければ防衛としての任務を果たせないただの飛行クラブになってしまいますので、夜間の出動も普通のことでしょう。

 ところがその他の官庁に所属する防災ヘリ、警察消防、各地地方整備局のヘリはすべて民間登録機であって、運用時間の制限された空港にいて、最小の人数で運営されていますので、24時間運航というわけには行きません。

 今回のような真夜中の災害であっても、夜中から飛ぶことはまれで夜明けとともに離陸と言うことが一般的です。

 ひとつには真夜中に飛んでも何もできないと言うこともあるでしょうが、今回もし何千人もの方が亡くなるというような阪神大震災クラスの地震であったならどうしたのかちょっと気になる所です。

 ただ このような半民間機ともいえる、各官庁のヘリが夜間の災害などに対応する必要があるかどうかは議論のあるところでしょう。

 10年に一回あるかどうかの夜間の任務のために、要員を増やして、空港の運用時間との調整を着けて、日常的に夜間飛行の訓練や設備を持つことが果たして経済的合理性を保って出来るかどうか。またそれが果たして必要かどうか。

 そのような任務は防衛庁にになってもらうべきなのかどうか。

 たとえば1000億円かけて造った地方空港はほとんど夜9時ころには閉鎖してしまいますが、大災害が真夜中に起こった時に数十機の防衛庁のヘリが展開して昼夜を問わず飛んで、災害に対処するような事態が起こった時に使うかどうか。

 燃料が無いから飛ばないといって済ますのか、違法にドラム缶を100本も集積して給油することを黙認してそのやり方を認めてヘリを飛ばすのか。

 緊急時だからと言って、どこにでも着陸することを例外的に認めていますと言って、民間機がそのような訓練をすることすらいつまでも認めないでやっていけるのかどうか。

 自らに都合の良いような絵に描いた事態のみを想定した、法規 規定だけで果たして本当の非常事態に対処できるのかどうか、ちょっと心配になります。

 

老いぼれパイロットと老眼鏡



 健康に生んでくれた両親のおかげと、勉強を余りしなかったためでしょうか、生まれてからずっと視力で困ることはありませんでした。

 そのためにめがねを掛ける人の不便さ気持ちがわからないまま、飛んできましたが、40代後半でしたでしょうか、山の中で一日中、木材を運び続けて、夕方遅く基地の空港へ帰るときでした。

 日没時間になっていましたので 薄暗い中、比較的小さいエンジン計器を見たところ、焦点がうまくあわず、ありゃ どうしたのだろう、と一瞬思いましたがそれが老眼の始まりでした。

 そういえば新聞を読む時も何か同じようなことを感じ始めていました。

 ヘリコプターや小型機は高級機でないと普通オートパイロットは装備されていませんので、両手を離して老眼鏡をかけて、地図や資料をゆっくりと見ることが出来ませんし、低高度を飛行することが多いので、常に外を見て他機の動きを監視したり、障害物や地形を縫って飛ぶ必要がありますので、老眼鏡をかけて近距離にのみ焦点を合わせておくことは、かなりの危険性があります。

 特にドクターヘリの運航などは離陸から着陸まで5分以内というような極端な例は普通です。その間着陸場所の資料や地図 GPSの画面、救急車や支援車両のコールサイン、エンジンスタートやシャットダウンの手順、その間の計器類の監視など、近距離を正確に見る必要がありますので、かなり手順や飛行要領に習熟しないと、老眼鏡をかけたりはずしたりして対応することは不可能です。

 たとえば使用するVHF無線機やVORやフライトサービスの周波数はすべて記憶していて、NO1 NO2にそれぞれメインとスタンバイに入れてありますから通常は資料を見る必要はないようにしてあります。

 地形や目的地はGPSを参考にはしますが、やはり過去に飛んだときの記憶が中心で、それをGPSで確認すると言うやり方が基本でしょう。

 以前、近畿地方と中国地方は送電線パトロールや物資輸送で5000時間以上飛び回りましたので、ある意味では頭の中にGPSがあるという恵まれた条件で飛ぶことが出来ています。

 今の時代、航空機も時代の流れで、さまざまなデジタル化で計器類の表示が細かくなったり、スイッチ類の表示が見難くなって、年寄りパイロットには生きずらい時代ですが、やはり記憶を確実にして確認は短時間で老眼鏡を最小限にして外を見て飛ぶようにしたほうが安全でしょう。

 私は遠近両用めがねは使用しませんが、過去に着陸に際して遠近両用めがねを使用して高起こしになってハードランディングした例があるようですので注意が必要でしょう。

 私の所属する会社のカンパニー無線の周波数は12×、5MHzですので待機中常に受信状態にあります。この周波数で毎日のように間違って呼び込んでくる定期便の航空機があります。東京コントロールの12△、5と1メガ間違っているのですが、外国のエアーラインだけでなくANAやJALも良く間違って呼んできますので、2回以上気がつかない、同類の老眼鏡パイロットでしょうから、周波数まちがってますよと教えてあげることにしています。

 小型機のパイロットは通常飛ぶ範囲は資料はお守りにするために、老眼鏡が無くても読めるようなものをラミネートして持つべきでしょう。通常の航空図はたたまないと見やすい大きさにならないし、必要な場所を飛行しながらたたみ直すのは困難ですし、そのようなことをしながら飛ぶことは非常に危険です。

 いろいろ 生活の知恵ですね。

時間との勝負 水難事故、、、、


 
 先週の末、交代の日ですが、夏休みの初日水難事故が多数発生し、全国では13名の方がなくなったそうです。

 この日 我々の県のドクターヘリも水難事故に出動し、患者さんの6歳の子供は無事に蘇生しましたが重態の状態が続いているようですの一刻も早い回復を願っています。

 この出動に際し、心臓マッサージが続く水難現場の海岸に直接着陸し、ドクターナースの迅速な処置によって蘇生に成功し、病院へドクターヘリで搬送しました。

 この着陸に際して、地元消防団の方がおこなう海水浴場監視員の方たちの安全誘導に従って着陸しましたが、7,80メートル 離れたところに置いてあったデジカメと携帯電話が水没して壊れたと言うクレームがあり、保険処置をするために状況を詳しく報告することとなりました。

 ついでにと言ってはなんですが当日の記憶を忘れないように書き留めておきたいと思いました。

 この事故現場は県単位で出動協定を結んだ他県でしたので、飛行時間で30分、通常はホットラインの要請が入ってから40分以上はかかる場所でした。

 たまたま、内科疾患の患者さんを基地病院まで病院間搬送するために、搬送元病院のヘリポートに着陸して、搬送準備を始めたところでした。幸いなことにここは3次救急病院ではなかったのですが、病院敷地内にへリポートがあり、搬送準備は病院内で出来ますので、急遽、他からより重大な要請が入った場合でも搬送延期の処置は取れたわけです。これが救急車でランデブーポイントでピックアップだったらこうスムースに他の現場へ飛んで行ってしまうことは出来なかったかもしれません。

 パイロットの携帯電話に運航司令室から、水難事故CPAの連絡が入ったので、搬送準備中の処置室へ駆けていって、ドクターに連絡 すぐに離陸して現場へ向かいました。

 もちろん要請は現場ではなく近くの中学校と言うことで飛んでいきましたが、眼下に心臓マッサージ中の人だかりが海岸に見え、ドクターはすぐ着陸してほしいとの要望でした。

 無線で消防へ連絡しましたがこのようなとき現場は、混乱状態なので的確な返事は返ってこないことも普通です。

 まず安全に着陸出来そうなところの上空50メートルくらいでホバリングして、周りの皆さんにここに着陸すると言うことを伝えます。それからもう一度上空へはなれ、今度はスピーカーで着陸しますと放送しながら近づいていくと2名の監視員と思しき方が周りを警戒していただきました。

 この間離陸して10分 電話を受けてから15分でドクターナースは30メートル前の現場へかけていきました。

 それから20分くらいたったでしょうか、どうも蘇生しないようです。ヘリでの搬送をあきらめて、心臓マッサージを続けながら、近くの病院へ救急車で搬送と言うことで、遠目に救急車へ入ったかなーと見ていると、フライトナースから突然緊張した声で電話が入りました。

 心拍が戻ったーーヘリにします。おーーー生き返ったーーー

 非常に危険な状態で、すぐにでも大きな病院へ搬送しないといけない状態だったのですが、症状を安定させるため5分飛んで近くの病院へ運びました。

 ヘリコプターに乗ってきた患者さんのお母さんは憔悴しきって、裸足のままでした。

 この病院も200メートル位の近い場所に着陸場所があって非常に良い条件でした。

 そこの病院で処置中、給油に飛んで、その後どこへでも搬送できる燃料を入れてきました。この間ドクターは近隣の県の3次救急病院へ収容を依頼いましたが、満床などの理由で断られました。

 症状が落ち着いたら基地病院へ再度搬送することになりそうであると言うことで、当初の内科疾患の患者さんを2時間遅れで基地病院へ搬送して後任者と交代して帰宅しました。

 後で聞いたらその子はやはり基地病院へ搬送となり、重態の状態だそうでした。

 水難事故で心臓マッサージなどの処置を海岸で行われてる時はドクターヘリや防災ヘリが飛んできて着陸するかも知れません。

 そんな時はすぐ退避してください お願いします。 着陸できないと患者さんは死んでしまうかも知れませんから。

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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