ドクターヘリ 寄付で飛べるかな、、、、、、



 成立したドクターヘリ法案では、寄付による資金も活用して、運航経費にあてて、国、都道府県の支出を軽減して、ドクターヘリを導入しようとしています。

 しかし、法案が成立してから、かなりの時間が過ぎましたが、具体的に寄付の申し出があったと言う話は聞きません。

 以前、このブログで、自動車製造会社が負担すべきだと、書きました。その趣旨は、何十万人が自動車製造にかかわって、生活している中で、交通事故でなくなる方が年間1万人近くおられます。ドクターヘリの導入によってこの交通事故の死者が数十%減らせる事業に資金を拠出することは、大いに意義のあることではないか、と言うふうなことでした。

 しかし、考えてみると、お前たちが年間1万人も殺してるのだから、100億円 全国50機の運航経費ぐらいだせよ、と言われてもはいそうですかと出すわけはないでしょう。

 そこで何か良い方法がないかと、考えてみました。

 F1方式といいますか、F1の車体に パナソニックとかモービルとか デカールがはってあります。

 あれは、マスコミ媒体に露出度が高いF1の車体に広告のデーカールを張ることによって、F1にかかる経費の一部を負担することを見返りにおこなっているようです。

 それも、かなりの高額の資金を負担しているようです。

 それと同じように、ドクターヘリの機体にスポンサー企業のデカールを張ることによって、資金の一部を負担していただくと言うことです。

 ただし、F1ほどはマスコミに対しての露出度が高くないので、その協力企業が、テレビコマーシャルを打つときに「 日産自動車はドクターへり事業を応援しています」と言うふうなテロップを常時入れることを認めると言うのはどうでしょうか。

 企業のイメージアップになるのでそういうことをやろうと言う企業はかなりあるかもしれません。

 対象企業は、自動車メーカー 保険会社、石油会社、電力会社、JA(農協)薬品会社 製菓 健康関連会社等がその対象となると思います。

 また、都道府県単位の運航を配慮にいれると、全国企業 と 地元企業 の二つに分けた方式もよいと思います。

 また、希望企業が多い場合には、張れるデーカールの数が限定されるので、拠出可能金額の入札方式で多く負担できる企業から優先し、1年ごとの入札方式とするのが良いと思います。

  「県民共済はドクターヘリを応援しています」 こういうキャチコピーがテレビや新聞に出るのは、そう違和感はないと思います。

 実はこういうことを思いついたのは、昨日あるところへ病院間搬送で飛んだとき、写真のようなものを見たからです。

 自動車メーカーも結構いいことをするではありませんか。

 

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またしても奈良で、、、、、


 昨日 奈良県で妊婦さんを搬送する救急車が、11の医療機関から受け入れを断られて、12軒目県外の高槻の病院への途中、交通事故を起こしたうえ、収容まで2時間かかり、流産してしまうと言う、事例があったそうです。

 ニュースで全国的に取り上げていました。

 奈良県ではつい最近、妊婦さんが 多くの救急病院に収容を断られた挙句、不幸にも死亡されるという例があったばかりなので大きく取り上げられたようです。

 この二つの例は、夜間に起こったことなので、もし 奈良県にドクターヘリが配備されていても、夜間運航をしていない限りは、役に立たなかったかもしれません。

 昼間、ドクターヘリが運航する時間内の場合には、大きく役に立ち、最悪の状態は回避されたことでしょう。

 しかし、昼間においては10軒以上の医療機関に受け入れを断られるようなことは余り考えられませんので、これほど、たらいまわしにはならなかったでしょう。

 実は、ドクターヘリで現場に飛んで、患者さんを、搬送するのは、必ずしも 基地病院ではありません。ある意味 たらいまわしのようなことも 日常 起こります。 

 それは、患者さんに必要な、処置を、基地病院でするよりも、他の医療機関でするほうがより良い医療処置をできる場合もありますし、基地病院の受け入れ担当医師が手術中などの場合もあります。

 しかし、救急車の場合のたらいまわしと、根本的に違うのは、救急現場でドクターが救急処置をしながら、受け入れ病院の専門医と直接受け入れについて連絡を取りますので、最悪の状態は起こらないでしょう。

 実際の例では、5本の指を切断した患者さんを、基地病院の専門医に接合手術してもらおうとしたところ、手術中で対応できず、他病院へ急遽飛んだことがあります。また胸部動脈瘤破裂の患者さんの手術を他の病院ですることになり、飛行中目的地変更で途中から他病院へ向かったこともあります。

 ある意味、救急車でのたらいまわしとは次元が違いますが。

 医療にはまったく素人の門外漢の印象ですが、ドクターヘリを運航する病院の救急医療の皆さんの使命感、やる気がずいぶん高いと感じています。

 救急車が病院へ到着してから処置をはじめる体制と、自ら現場へ飛んでいって患者に接触するのとでは、自然と考え方が変わって来るのかもしれません。

 生きて病院へつれて帰りたい、とか、 自分の経験知識医療技術が試されるとか、ごく自然にモチベーションの高い発言が聞かれて頼もしい限りです。

 自分も急病 大怪我の時はドクターヘリで運んでほしいものです。ドクターヘリのパイロットがこういうのはおかしいかな、、、(笑)

 

10000ヒットありがとう!



 昨日 ブログ開始以来約4ヶ月で1万ヒットいたしました。

 いろいろ 訴えたいことは多くあったのですが、何分 つたない文章、一方的な考え方、いつまで続くのかなと、周りの人たちはもとより、本人もそう 思っていました。

 30数年ヘリコプターとともに過ごしてきて、いくらかは世間の役に立ったのではないかと思う反面、もうすこし、世間で認めてもらえないものかと、また、もっと 有効な仕事を出来ないものかと思い続けて来たのも事実です。

 今ここに1万ヒットをいただいて、ネットの威力を認識するとともに、ヘリコプターというものを、世間の皆さんには、思った以上の関心を持っていただいていることを実感しました。

 ほんとうにありがとうございます。

 先日、勤務中、要請がかかり、15分飛んで、現場に急行しました。 ついてみると、草刈作業を終えて、軽四に乗り込んだおじいさんが、車もろとも100メートル以上の断崖絶壁を転落、ちょうど中間くらいでがけに引っかかって止まっていました。

 消防隊員がドクターに崖をロープで下り、救急処置をと依頼しましたが、とても無理な状態でした。救急隊員でさえかなり高度な技術でないと、降りられない絶壁でした。

 救急隊はすぐに防災ヘリの出動を要請し、ドクター同乗で到着、ホイストで患者さんを吊り上げ回収し、そのまま病院へ飛行して行きました。

 当県の県民の方は、ヘリコプター救急 防災ヘリ救助の両方のサービスを常時受けることが出来る、非常に恵まれた状態にあると言えると思います。

 一昔前なら 崖に何時間も放置状態であったに違いありません。残念ながら今回のこの救出劇は、患者さんが死亡される最悪の結果になったのですが。

 このようなヘリコプター救急 救助 システムが整備され、そのヘリコプターを効率よく、また、確実に運航する現場で働けると言うことは、運航関係者にとって最大の喜びです。

 過去には 農薬散布や物資輸送がそのような現場であったのですが、時代はどんどん変わります。

 世の中が、一番必要とするヘリコプターの運航に携わることは、大きな喜びでもありますが、責任も大きいと思います。

 今 自分が運航するヘリコプターの働きが、この分野の将来を、変える可能性があるからです。

 できればこの分野が将来にわたって、世の中に必要とされ、それに答えうる運航を継続発展させるのが今この業務に従事している者の勤めだと思っています。

 少なくとも あいつがいたからだめになった などといわれないようにはしたいものです。

 もうしばらくは、このブログ 継続します。

 ご愛読 よろしくお願いします  ご意見 ご叱責 ご質問 どんどん お寄せください。

アンチトルクシステム、いろいろあるけどどれがいいのかな、、、、




 シングルローターのヘリはローターのトルクを打ち消さないとくるくる回ってしまいます。そこでメインローターのトルクを打ち消すことと、方向コントロールをするために、テールローター、フェネストロン、または最新のノーターシステムと呼ばれる方式の3つの種類のアンチトルクシステムがあります。

 なんと、ドクターヘリに使用されているヘリコプターは、3機種しかないのに、それぞれこの3種類のアンチトルクシステムが装備されています。

 最新のシステムが一番進んでいて良いように考えてしまいそうですが、それぞれ一長一短で、これが一番と簡単には決められないようです。

 幸い、ドクターヘリ 今まで約1万時間の飛行実績において事故は起きていませんので、今まではそれぞれ安全性を保ってきたと言うことはいえます。

 過去の他の運航において、それぞれ、この3種類のアンチトルクシステムが原因とする事故がおきていますので、将来ドクターヘリ運航において、同重の事故が発生する可能性がないとはいえません。

 それぞれ どのような特徴や事故例があるのでしょうか。

 通常のテールローターは、歴史が長いだけあって、機構の信頼性は一番です。また構造が比較的簡単なので故障しにくいと言えると思います。

 むき出しの羽が高速で回転しているので、それに触れて、死亡したり、大怪我をする事例が10件程度も国内で発生しています。

 致命的なのは、LTEと呼ばれる突然の制御不能な状態に陥り、墜落に至る事例も国内で10件以上発生していることも気がかりです。

 フェネストロンはローターが筒の中に入ったような機構なのでテールローターのように人が触れて犠牲になるような事故はありません。また、LTEのように不意にまわされるような事故はないようです。構造がやや大きくなるので、後部が重くなり、必要馬力も多く食われるようです。このフェネストロンのトラブルが原因で墜落した例は国内では聞いた事はありません。

 ノーターシステムは、テールローターが胴体内後部に入ってる構造で、尻尾には回転翼はありませんので、さらに安全です。また、ファンが胴体内なので、テールローターの出す高周波騒音がほとんどなくて、一番騒音値の低いヘリです。しかし、その胴体内のファンが飛散し、方向操縦が出来なくなって不時着に失敗横転する事故がありました。この事故のため、同種故障時の方向安定性を増すために、テールブームを50センチ伸ばす改修を行うこととなったようです。

 3機種それぞれ、特有の機構、性能を持っていますので、どれを選ぶかはかなり、難しいかも知れません。

ヘリコプター会社の社会的責任ってなにかなーー、、、、



 ヘリコプターを運航する会社の企業連合組織のような場所で、ヘリコプター会社は社会的責任を果たして、社会に貢献しています と言う発言があったようです。

 本当でしょうか。

 ヘリコプター会社の社会的責任とはいったいどの様なことでなのでしょうか。

 それはまず、 社会が本当に必要とする、ヘリコプターの運航を、安全 確実に、適正な価格で、継続することでしょう。

 こういうことが、果たして出来ているのでしょうか、また将来にわたって、できるめどがあるのでしょうか。

 社会がほんとうに必要とするヘリコプターの運航とは何でしょうか。たとえば、報道ヘリの行き過ぎた運航は果たして社会が真に求める運航でしょうか。はたまた、高速道路で2時間で移動できるところへのヘリコプターで40分間で飛行することは、本当に社会が認めて許容するような運航でしょうか。
 資金があれば何をしても良いということは、社会が認めないでしょう。

 きわめて危険な、事故の多い 農薬散布飛行や、送電線建設飛行は社会が真に必要としたために、長期間にわたって継続されたのではないでしょうか。

 今、警察、消防、防災ヘリの、運航に少しも引けを取らない、真に必要性のある ドクターヘリの運航が、大きく拡大しようとしています。

 さて 安全確実に 適正な価格で 運航を継続すると言うことは、果たしてやってこれたのでしょうか。
 
 ほとんど、悲惨と言えるほどの結果になっていないでしょうか。

 原価われの運航は、そのときは何とか持ちこたえても、将来にわたる、要員の育成に抜かりがでて、即安全性の低下につながります。

 人件費のカットは、この仕事に将来をかけようとする、若者たちのヘリ離れに直結しています。航空を目指す若者は、皆安定した定期便のパイロットを目指すようになってしまっています。

 民間のヘリパイロットは民間で育成しないと、使い物にならないことはすでに、過去において証明されています。

 民間で育成したパイロットが、警察消防など、官庁関係のパイロットとして転職していくのは、仕事がパイロットを鍛えて、優秀な技術を身に付けることが出来たからです。

 組織会社が管理してよい育成を行ったからだけではありません。

 自衛隊からの転職組を、育成したら安く上がって、ドクターヘリ程度の仕事なら、何とかこなすだろうと甘い考えでやっていないでしょうか。

 ヘリコプターは社会的責任を果たしています。とわざわざ 言うのはやはり、後ろめたいところがあるからかも知れません。

農薬散布や送電線建設全盛時、ヘリコプターの社会貢献などと言う人は誰もいませんでしたが、業界皆、事故や、危険リスクと戦いながら、フライトに専念しながら、後進の育成もやったものです。

 その後、仕事が激減したときに、ダンピング合戦や、コストわれ受注競争に走り、自社だけが生き残ろうと、反社会的行動に走ったために、今 新しい分野の仕事が急増しようとしているとき、いざ 足元を見たら、壊滅的状態になっていることに、やっと気がついたような状況です。

 社会的貢献を言うなら、過去の反社会的行為の反省にたって、今何をなすべきか、業界全体でよく考えることが必要ではないでしょうか。
 
 

 

ドクターヘリ講習会 盛況だけど、、、、、


 ドクターヘリ事業に従事する、ドクター、ナース等の医療従事者、パイロット、整備士等の航空従事者を対象にドクターヘリ講習会なるものが年間数回開かれています。

 厚生省が後援し、保険会社などの寄付を受け、参加者が数万円程度の負担をし、ドクターヘリの基礎的な知識、飛行安全、等を、航空従事者、医療従事者が一同に会して、講習を受け、最後に体験フライトをして、終了証書をもらって帰ります。

 ドクターヘリ業務に就くに当たって非常に有意義で、有効な講習内容となっていて、いつも定員がすぐに一杯となって、なかなか受講したくても出来ないような状況となっています。

 今回の申し込みはなんと、受付1分で満杯となったようです。

 このシステムは、農薬散布に従事する、操縦士、整備士、管理要員等が受講を義務付けられた、農林水産航空協会がやっている、講習会になぞられて発足したようです。

 この講習を終了し、農林水産航空事業 技術確認証を受けていないと、農薬散布事業に従事できません。

 免許と同じ効力を持つ証明です。

 ただし、今はドクターヘリ、導入過渡期ですので、完全に受講を義務付けられてはいませんが、いずれそういう方向に進みそうです。

 つまり、ある種、新規参入制限のひとつになる可能性も秘めています。

 誰でも、受講したい人は、いつでも受けられるように、定員の拡大や、開催回数を増やすようにしないと、そういうふうに取られかねません。

 講習内容については、各職種に応じた深い内容のものも必要になってくるかも知れません。

 と言うのは、農薬散布の操縦士の場合、撒布飛行は一般の飛行方法と余りにも違った特殊な飛行をしないと、業務が出来ませんでした。

 そこで、事業用操縦士レベルの、操縦士に対して、農林水産航空協会(農水省の外郭団体)がその費用を出して、操縦士にその特殊な飛行についての訓練を各社に実施させ、検定を行って、終了証書を発行していました。

 ドクターヘリの運航に際しては、通常の航空法で認められない、極端な狭い場所への離着陸を強要するわけですから、そのような特殊な訓練に必要な費用を負担し、検定を実施して、ドクターヘリの操縦を認定すると言うような制度が必要かも知れません。

 ちなみに撒布の場合はパイロット一人当たり、30時間 飛行時間の訓練費用を農林水産航空協会は負担していました。

 2000時間の飛行時間を求めて一見安全に配慮しているように見えても実は、新規参入制限という裏の見方も出来る今の基準でやると全国展開50機配備に支障がでかねません。

 2000時間の壁で押さえつけるより、1名あたり30時間の狭隘地 離着陸訓練を 思いっきりやらせて、検定して従事させるほうが、将来に向けては良い方法だと思います。

 これには訓練でも、法的基準に満たない、狭隘な場所への離着陸を認めないとできませんが。

 ドクターヘリ講習会 盛況の情報を見て、思ったことです。

ドクターヘリ クルー全員女性、、、、、、、、


 数年前、関空に到着した定期便のフライトクルーが全員女性であったというニュースを読んだことがあります。

 ヘリコプターの操縦士も女性が進出してきて、男性と互角に活躍する時代がくるかも知れないと、思った時期がありました。

 もう20年以上前になるかも知れませんが、岳 ユミ子さんと言う方が、1500時間くらいまで事業用操縦士として活躍していましたが、不幸にも、十和田湖に墜落し、殉職してしまいました。

 その後、女性ヘリパイロットの話はあまり聞かなかったのですが、昨日、アメリカで日本人女性パイロットが操縦する、山林火災調査用のヘリが離陸時に墜落し、なくなられたというニュースがはいってきました。

 そのニュースに接して、やはり、へりパイロットになろうとする女性がいるんだと思いました。

 また、日本で女性のヘリパイロットが働ける機会が極めて少ないので、やはりアメリカのように、すべてに、オープンな社会でないと、無理なのかなーと痛感したしだいです。

 いま、ドクターヘリで運航している、医療クルーはすでに女性の医者、男性の看護師という、組み合わせまで、普通にあります。

 女性のパイロット、女性の整備士という組み合わせは、残念ながら、皆無です。

 もし、岳ユミ子さんが生きていたら、早い時期に女性だけのドクターヘリが飛んだかも知れません。

 整備士も複数の方が在職していましたが、岳さんが殉職し、ヘリのバブルもはじけ業績下降となるにつれてほとんどいなくなってしまいました。

 やはり、民間のヘリ業界が、経営的に安定し、ヘリコプターのフライトが社会的にも経済的にも十分に認知されるような状況になり、要員の育成訓練も、十分な体系を維持できるようにならないと、女性の進出は無理かも知れません。

 その点、医療界の要員の養成、育成体系はヘリのそれと比較にならないくらいに、整備されていますし、その処遇に関しても、安定性等比較になりません。

(ドクターヘリ運航クルーの養成、育成も、厚生労働省に頼むかな。農薬散布のパイロットも農水省がやってくれたし、どうも国土交通省はヘリのことがお嫌いなようだし)

 女性のフライトクルーが飛ばすドクターヘリ、業界の受ける社会的評価のバロメーターかもしれません。

 10年は無理でも20年後くらいには実現したいものです。

 (余談)

  東京医科歯科大出身で 歯医者さんだった岳さんが訓練生で会社に入ってきたとき、聞いたことがあります。

 週4回出勤で4,50万の給料の歯科医をやめて、月15万のヘリ操縦士の訓練生になったのはなぜなの?

 こたえて曰く、人の口の中覗いてるより、空飛ぶほうがいいと思いました。

 1500時間以上、空を飛んで、思わぬ事故でなくなりましたが、本人は幸せだったかも知れません。

 

侍経営者、在阪H航空 前社長、N氏、、、、、、


  H航空は在阪へり会社で一番の規模の会社です。

 バブル時、ヘリコプターの定期便の運航を目指し、その経営内容を、コミューターへ向け大きく舵を切りました。

 海上自衛隊出身の操縦士を多数雇い入れ、農薬散布などの在来の業種から、先端のコミュータへと大きく発展を狙って改革をしたのです。

 結果は無残でした。2回の大事故、それも悪天候時、山にぶつけて乗員乗客全員死亡という大変な事故を、宮崎 兵庫県で連発し、ヘリコプター定期便 コミュータの発展の目を摘んでしまいました。

 この大事故のあと、会社再建のために、H電鉄から派遣されてこられたのが、Nさんでした。

 数回にわたって酒席を共にする機会をいただきました。

 ライバル会社社長、一操縦士という関係ではありましたが、その侍振りにはずいぶん感銘を受けたものです。

 その経歴をお聞きしただけでたまげたものです。大阪の超一流進学校から東京大学法学部卒、H電鉄入社、このあたりまではあまり驚きませんが。

 なんと、電車の運転の免許をお持ちで、運転課長をされたそうです。ちょうど尼崎JR事故の直後、機会があって同席させていた時、事故の背景、原因等 実にリアルなお話を、していただいて、盛り上がったものです。

 侍だと痛感したお話、まさに技術屋、現場優先そのもの、これが東大法学部卒のかたの考え方なのかと、ショックを受けたものです。

 当時、私が所属する会社の社長も東大卒でしたが、まったくその考え方は、180度違っていました。

 農薬散布の事業が先細りになり、各社とも、ヘリコプターの稼働率も落ちて、採算性がかなり逼迫した状態になっていました。

 そういう中でも、事故のリスクは以前と変らないし、下手をすると、大事故連発で、会社の存続そのものすら脅かしかねないようなことになってきていました。

 私が、経営資源を集約して、報道部門などに集中して、農薬散布をやめるような方向性はないのでしょうかと、生意気にも質問させていただいたところ、予期せぬ答えが返ってきました。

 農薬散布をやめたらパイロットがあほになります。大阪弁であほ と言われました。

 このお話を聞いて、なんと言う経営者、これほどすばらしい経営者はヘリ会社のなかにほかに誰もいないと思いました。

 ここまで読んで、意味がわかる人は、ヘリ業界でもたぶん半分くらいしかいないと思います。

 H航空も、A航洋も、N航空も ヘリ業界、さまざまな業種、形態のヘリ運航をしていますが、その中で、一番 リスクが高くて、難易度の高いフライトは農薬散布です。

 そう言うことは、形の上ではある程度理解はしていても、やれ 計器飛行が難しい、物輸が むつかしい、木材搬出が難しいなどと、不合理な理屈を並べて、危険なフライトであり、で小型機でやり、これをマスターしないと一人前でないとか、結果 未熟な若手にばかり押し付けているのが業界の常識でした。

 東大卒で電車の運転のできる技術屋 N前社長はこういう事情を見事に見抜いていました。

 ヘリコプターのフライトで一番 難しくて リスクが高いフライトは 今も農薬散布です。それに比較すれば、定期便のまねごと計器飛行なんて馬鹿みたいなものです。

 定期便のパイロットで計器飛行の出来ないのは一人もいませんが、ヘリのパイロットで農薬散布できないのはごろごろしています。

 侍、N前社長、そのすばらしい見識を持ってしても、業界の荒波には打ち勝てなかったようです。会社の合併、身売り話等、大変なご苦労をされ引退されましたが、そのご健闘振りには今も最大の尊敬の念を持っています。


 

中華航空機炎上、、、、、


 先ほどから、那覇空港の中華航空機炎上のニュースでテレビ報道は大忙しの状態です。

 エンジントラブルを抱えながら、無事着陸、ランプインしたものの、最後に、機体を炎上させてしまって、乗員はショックでしょう。

 乗員乗客の生命に、及ばなかったのは不幸中の幸いでした。

 ヘリコプターはタービンエンジンの中でもターボシャフトエンジンを使用していて、今回のボーイング737の装備しているターボファンエンジンとは 少し形式が違っています。

 しかしエンジンコントロールは多分、ファデックと呼ばれるコンピューターを使用したデジタルコントロールを同じように、装備しているようです。

 ファデックは、エンジンを正確、確実にコントロールできるため、スタート 巡航、停止に際して、非常に効率的に、また安全に運転するのに、パイロットの複雑、熟練の要らない、簡単にコントロールできるようになっています。

 自動化され、安全であるはずのシステムが思わぬ、事故やトラブルを招くようなことがあることも事実です。

 A航空の旅客機が、空港で旅客を乗せて、エンジンスタートしたときに、パイロットが、エンジンコントロールする、スロットルをフルパワーポジションにあることを気づかないで、ファデックのスタートボタンを入れたため、コンピューターコントロールのエンジンは自動的にフルまで加速し、機体は車輪止めを乗り越え大暴れしてけが人が出たことがあったそうです。

 ファデックではない、従来の、マニュアルコントロールであったら、スタート時エンジンは、排気温度オーバーでスタートできなかったでしょう。

 今回、上空でエンジンにトラブルがあったようですが、ファデックを切って、マニュアルでコントロールし、エンジン停止の手順に抜かりがなかったかどうか、調べる必要があるかもしれません。

 レシプロエンジンには、あまり起こらないのですが、タービンエンジンには、エンジンファイヤーアフターシャトダウンという、緊急状態があります。

 エンジン停止の手順でスロットルを停止ポジションにしても、コンプレッサーが惰性で回るため、少量の燃料は燃焼室に出続けます。燃焼室にあるドレインバルブから外に排出されるようになっているのですが、これが故障していたり、スロットルの連結が少しずれていたりしたら、エンジンファイヤーアフターシャトダウンが起こりえます。

 今回のような事例につながるトラブルです。止めたと思ったエンジンがしばらくしてから爆発です。

 このような、緊急事態になったら、即、エンジンベント(スターターモーターでエンジンの回転数を上げ、一気に空気を送り込んで消火する)スイッチオンです。

 過去に1回だけ、この手順をしたことがあります。TOT 850℃でぎりぎり 間に会いました。

 瞬間的に間に会わなければ、爆発か エンジン温度超過で取り卸となります。

 緊急事態を乗り切って、やっとの思いで着陸 あぁあーー  一安心、エンジンを止めて、電源を落としてもまだ危険が待っているかも知れません。

 

ヘリコプター業界 管理能力0、、、、、、


 民間ヘリコプター業界、すべての分野において管理能力ゼロです。

 ドクターナース 救急隊員 ほぼ公務員の方たちがドクターヘリを飛ばして救命救急を行う仲間として働いていただいています。

 勤務の条件はそれぞれ違ってはいますが、管理されていないのはヘリ運航要員が一番ではないかと思います。

 そもそも、ヘリ業界は、季節性の強い、農薬散布で始まったため、そもそも、パイロットの勤務状態を管理しようとする考えすらなかったようです。

 朝、5時前から飛行開始するため、4時前から飛行準備に入り、撒布飛行が終わるのが9時10時、それから機体洗浄、かたずけが終わって、次の現場へ移動フライト、現地に着いたら、次の朝、撒布する現場の実地調査を、車で行います。そういう一連の一日の作業が終わるのが、4時5時になることも普通でした。

 なんと、一日の勤務時間が12時間以上になるのですが、管理するどころか、時間外勤務手当てを払おうとする会社すら皆無でした。

 こういう作業が 連日 続いて 盛夏の炎天下の状況で、疲労が重なり、8月はじめは、農薬散布機の事故の特異日といわれたものです。

 こういう状態で6月から8月末まで、きわめて過酷な勤務を強いておいて、法定の時間外手当もまともに支払われない状態が続いたのですが、シーズンオフには、仕事もあまりないので、手持ちのない勤務日は10時出勤3時退社といういわゆるブラ勤を会社も認めざるを得ませんでした。

 こういう 不幸なスタートをしたヘリ業界、いまだに勤務状態を管理するという考え方が根ずいていません。

 これは、対 社員に対してだけでなく、対 顧客に対しても同じです。

 ドクターヘリが年間300時間飛行することのみを、想定して、1時間あたりの飛行料金50万×300時間=1億5千万円、こんな 小学生でもできる計算程度で契約するのですから。

 朝 8時から5時までであろうが8時から日没までであろうが、運航時間の設定が、契約料金にどの程度影響し、運航要員にどの程度の時間外手当を払うべきか、別の運航要員を抱えるべきか等、仔細に検討されているかかなり疑わしいものです。

 某社の社長が、飛行時間が多くなりすぎたので、契約にない超過料金を支払えというくらいですから、こういう細かい経費の積算がなされて契約されたとはとても思えない状況です。

 阪神大震災の時、A局と契約していて、高速道路の倒壊を速報してほめられた某社は、時間外飛行1件1万円というばかげた契約をしていたため、地震から10日間以上も24時間体制で飛行して、社員に支払った時間外手当、深夜勤務手当てが、数百万でした。

 A局の役員があまりにも申し訳ないと 100万もって挨拶に来ましたが。

 ドクターヘリの運航に従事する 運航要員に 必要な、時間外手当、基地近くに泊まり込む体制をとるなら、その出張手当、宿泊費、狭隘地に着陸をすることが必要十分条件なら、その技量維持に必要な訓練経費、長年にわたって運航を継続するなら、新人の参入時に必要な訓練経費等、顧客に支払ってもらわないといけない経費は、確実に管理して請求するべきものです。

 時間オーバーしたから、支払ってください ということは そういうことすら想定していなかったということです。

 こういう会社が 業界のリーダーなら 弱小企業は どの程度であるか、わかったものではないような気がします。

 そうでなければいいのですが。

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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