航空機は飛行場外において離着陸を行ってはならない。ただし、、、


 
 航空法第79条です。しつこいようですが、ヘリコプターの一番の機能をこの法律によって、制限していますので。

 ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合はこの限りではない。とあります。

 ヘリコプターも飛行機も飛行船もこの但し書きによって、合法的に飛行場以外に着陸できることになっています。(グライダーはどこに降りてもよい)

 航空機の中で飛行場以外の狭いところに離着陸できるように、それをするために設計開発されたのはヘリコプターだけです。それでも許可を受けないとだめだということです。

 では、どんなとき、どのようにして、許可を出しているのでしょうか。

 許可基準の底にある、考え方ですが。 許可ですから、、いいとか悪いとか、許可基準についての、意見程度は言えても決定するのはあくまでも許可するほうが決めます。

  必要なものにしか、許可しないという 大前提があります。飛行場の直ぐ近く。1キロくらいの所を申請しようとしたとき、飛行場を使ってくださいとのことで申請を取り下げるように言われたことがあります。必要ないと判断したのでしょう。

 誰に許可を出すか。運航者、または法人です。通常ヘリコプターの所有者、会社等です。運航する操縦士に対してではありません。また、乗客が総理大臣でここに着陸させろと言ってもだめだということです。操縦士が、緊急でここに着陸したいと、最寄の管制塔に申し出ても許可は出ません。
 また、他社が許可を受けているからと言っても、ほかの会社は即と言うことはできません。

 許可にどのくらいの期間が必要か。申請書を提出して約1週間、かかります。その間に提出された書類によって、空域や、所有者の許可があるか、操縦士は資格を満たしているか、使用するヘリコプターは正規に登録されたものであるか等を 審査してからの許可になりますので、そのくらいの期間がかかります。 明日着陸したいはだめだということです。
 場合によっては、現地へでかけて、空域や広さにごまかしがないかと言う確認をする場合いもあるようです。(まず普通は書類のみらしいですが)

 広さや空域の障害物についても一定の基準があります。簡単にどのような基準かと言えば

 1、昨日 自家用の免許を取った人でも

 2、R22のような性能や余剰馬力が小さい、一番非力なヘリコプターが

 3、最大制限風向風速のなかでも

 4、許容される最大重量いっぱいで

 5、許容された最悪の天候状態でも

 6、特別な操縦、操作をしなくても

 安全に離着陸できる広さになっているはずです。

 

 許可基準はそういう風になっています。

 規則のもとに平等であるべきだという、悪平等です。

 操縦者の経験や技量、ヘリコプターの性能や重量 そのフライトの任務(一部防災のみ基準が緩和されています)によっての基準が一向に変えられる気配はありません。

 一番操縦の下手なひとが、一番性能の低いヘリで、最悪の強風下に、ゴルフに行くのと、ドクターヘリの離着陸の条件が同じでなければならないのどうしても納得できません。

 しかも、緊急時はどのような悪い条件でも、着陸してもいいよ すなわち、着陸しろと言うのと同じではないのですか。

 日頃から、性能や、風や 自己の能力と離着陸場の条件を適切に判断して、安全確実に、離着陸する、この技量をどのようにして身につけるのですか。

 飛行場みたいに広いところしか着陸できない許可で、縛っておきながら。

 また 愚痴が出てしまいました。

 

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「航空法守るあなたが守られる」


 私の大好きな標語です。前にお世話になっていた会社で、安全大会の際、募集して一位になった評語です。ある整備士が応募したと記憶しています。

 やはり、日頃から、守ってないから、あるいは守れないから、こういう標語が自然に出てきたのかなと、うがった見方もしてしまいます。

 事故や大きなインシデントが起こるたびに、必ず言われることは、まず 規則を守っていなかったからおきた。ということです。

 法律や規則類はそれを守ることが、即安全を保障してくれる。

 これが理想であると、つい 勘違いしがちです。

 だけど、現実は、違います。 なぜなら それが 理想であるならば、事故のたびに、規則類が見直されて、改正されることはないでしょう。

 規則類はつねに、現実世界の後を追いかけてくるというのが本音の世界ではないでしょうか。

 ややもすると 今の この 進歩が早い時代にあっては、改正された規則類が発効したその時にはすでに古めかしいものになっているというのも珍しくありません。

 では、私たちはなににその基準、ルールを求めればいいのでしょうか。

 35年以上前、私が 訓練生として、ヘリコプターの操縦を始めたとき、Mさんという方が教官をしていただきました。

 今はもうこの世におられませんが。「 おーー けっこう偉そうなことをいえるようになったなーー」とでも冗談を言ってくださるかもしれません。どこかで私のことを見ていただけるのなら。

 よく言っておられました。

 「ヘリコプターの操縦士は、航空法を破ってもどうということはないけど、空には掟があって、それを破ったら、命をとられるぞーー」

 35年過ぎ、その言葉どおり、何人もの、先輩 後輩 同僚が 命をとられました。

 私は何回も掟破りをしたはずなのにまだ生きています。

 これからは「航空法 守る あなたが 守られる」 でいきたいなーー

 

屋上へリポートって、、、その2


 屋上へリポートが抱える 問題点 まえに書きました。

 ほかに2点ほどありますので、今日は 書いておきます。

 いずれも、運航上での問題点なのですが、ヘリポートを企画、設計、施工、審査検査、で見逃されてしまって、若干、運航上の支障があるヘリポートになってしまっています。

 現場で直接運航するものとしては、問題だ 問題だと声高に言い立てると、いまの運航が止まってしまったり、ヘリポートの修正工事に莫大な費用が要ることとなったりする恐れがあって、なかなか 言い出せないのが実情です。

 一つ目の問題点ですが、写真で見ると直ぐわかるのですが、着陸帯に隣接して、ビル全体の空調用の室外機が設置されていて、強力に空気を吹き上げています。

 屋上へリポートの離着陸は、地上のそれとちがって、加減速、上昇降下する特殊なビル風に、かなり慎重な操作判断が必要となります。それに加えて、自動で突然、オン オフ される 室外機があるのはいいはずはありません。また、進入中はほぼ直上に来るまで、回っているかどうかわかりません。

 ヘリポート設計に、屋上へリポートの離着陸経験のある操縦士がまったくかかわらないで、不備な書類上の審査のみで、多額の資金を投じて建設したのでしょう。

 
 二つ目はコンパスの問題です。これも建設に多量の鉄材を使用している影響だと思われますが、コンパス(ジャイロ、スタンバイの両方です)が正規に指示しないという不具合があります。過去に洋上の石油試掘リグに離着陸した経験があり、そのときも同様の不具合があったように思います。
 
 現在は有視界飛行のみの離着陸となっているので、致命的欠陥ではないといえますが、将来的に、夜間飛行やGPSによる計器飛行方式による飛行が検討されたときには、絶対に解決しないといけない欠陥だと思います。

これらを修正するには、何千万円単位 の資金が必要だろうと思いますが、せめて エアコン室外機の問題は、遠くからでも 回っていることがわかる注意灯を設置できればと思います。

 このような欠陥があることを認識して、設計許可されているのであれば、特に問題はありません。ヘリポートの使用目的 運航が優先されるべきであると判断されての結果がそうであればまったく問題はありませんが、このような欠陥をまったく認識しないで、設計許可されているのであれば、この不具合は今後同じ過ちをしたり、是正されない恐れがあります。

 老婆心ながら報告 しておきます。
 

ドクターヘリでちょっといい話、、、


  
 
  前回はすこし深刻な話でしたので、今日はちょっと、いい話です。

 2.3週間前、天候があまりよくなくて小雨模様、しかも、気流が荒れてヘリが揺れる日でした。

 山間部からの要請で、たしか90歳近いおじいさんが、脳梗塞のような症状だったと思います。

 ドクターが患者の症状を確認するためしきりに話しかけています。

 「 おじいちゃん なまえはーー? 」 「 家族はー 」 「 手 動かしてみてー 」

  ドクターヘリの機内通話は 各人装備したマイクつきヘッドセットを通じて 全員に聞こえるようになっています。

 操縦席と客席は、計器板のスイッチにより、切り離せるようにはなっていますが、パイロットが空港の管制塔と通信するとき以外は、常にお互いに通話できるようにしてありますので、患者さんの状況や、医療クルーの動き等がよくわかるようになっています。

 ドクターの質問に弱よわしい声で答えていたおじいちゃんが、逆に突然、質問をしました。

 「 これ、 高いんチャうんかーー 」 「 えーーー ヘリコプター かーーー ただ ただ ただやでーー 心配いらんでーーー」 ドクターが一段大きい声で答えました。

 安心したのか 会話はそこで とぎれました。  機内はなんとなく ほんわかした 空気 がただよいました。  おじいちゃん きっと少しは、容態 よくなったのかなー 

 乱気流に対処するため きつく握っていた、操縦かん、 つい 緩んでしまいました (笑)

 日本って いいなーー いろいろ問題点多いけど やっぱり日本って いいです。

 ドクターヘリのちょっと いい 話でした。

  

ドクターヘリって辛いかも、、


 ドクターヘリは、死ななくても良い命を救う。 なんと良い響き、なんと言う心地よさ 使命感を持って、ヘリコプターの性能を最大限に発揮して、重篤患者の救命に役立つ。

 これほどやりがいのある仕事は、そう他にはないでしょう。

 しかし現実には それほど 上手く行くことばかりではないのです。

 ついに その日が 新米 ドクターへりパイロットの 自分にも来ました。この仕事について半年ほど、遅いくらいかもわかりませんが。

 夕方 4時ころでした。いつものようにホットラインでヘリに飛び乗って、エンジンスタート、普通に飛び上がりました。

 その日の担当ドクター、30代の女性の方の声が 医療無線から漏れてきました。CPA(心肺停止状態)胸部打撲、、、、 わー凄い重症ダーー

 木造の古い建物の小学校へ、砂塵を巻き上げながら、着陸しました。救急車のほか、消防自動車も来て散水してくれていました。校庭では先生たちが児童の指導をしてくれていて、多くの人たちがヘリを支援してくれています。

 ヘリが着陸するや否や。ドクター看護師、救急救命士 が 救急車へかけていきます。

 重苦しい時間が過ぎ、ドクターが 患者さんのだんなさんと思しき人に説明していました。

 赤く眼をはらして、患者さんの持っていたと思われる、血みどろのカバンを握り締めながら、聞いていました。

 ヘリに患者さんを移して、病院まで運んで飛びました。ヘリの中でだんなさんが患者さんに「しっかりしろーこたえんかー」と叫んでいました。

 なん人の人たちが 今日のこの患者さんの命のために、全力を尽くしてくれたのか、その中に自分も微力ながら参加できたことは良かったに違いありません。

 航空法がいったいなんなんでしょうか。

 いつかは、どうしても助からない命の場面に、遭遇するのではないかと思っていました。

 勤務中、毎日1件か2件は、重症患者さんの元へ飛んで、いくのですから いずれはそういう場面に出くわすとは思っていましたが。

 ついにその日がきました。

 

ヘリコプターライセンス=ドクターヘリパイロットってやはり無理かなー?


 ヘリコプターのライセンスをアメリカ、中国など、外国で取ってきて、日本の免許に書き換えることが流行っています。流行っていますというのは少し表現がおかしいですが。

 プロの操縦士になるためには、自家用の免許を取ってきて、国内で更に訓練をして、プロの免許、事業用操縦士免許を取るというのが普通のパターンです。事業用の免許は外国の免許からの書き換えが出来ないからです。

 ここでは、事業用の免許をとった、新人ヘリパイロットが、ドクターヘリの操縦士として、従事できるかどうかということです。

 答えは 100% 不可能です。

 その免許があっても実際にその業務に従事できない免許とはいったいなんなんでしょうか?

 それは自家用の免許の場合も全く、おなじことが言えます。外国で自家用の免許を取って、国内免許にかきかえただけの人が、1人で飛行したら、一月以内に100%墜落します。

 それって免許と言えるのでしょうか。無責任な免許の発行ではないのですか。

 自分たちが決めた基準に合っているからといって、飛べもしない人たちにむやみに免許を発行するのって真に操縦士を育成する事に逆行してませんか。

 一番に厚生省のドクターヘリ運用基準にドクターヘリ操縦士は2000時間以上の飛行経験を求めています。 

 事業用操縦士免許は最短150時間程度の飛行訓練で取得できます。 が その飛行時間程度の技量経験で出来る仕事はどこにもありません。

 150時間から2000時間まで経験を重ねる手段が今日本国内では皆無と言って過言ではないでしょう。

 なぜ基準が2000時間で1000時間や500時間ではないのでしょうか。厚生省が基準を決める際に、経験豊富な操縦士を多く抱える大手が安全を盾に無理やりそう決めさせて、新規参入を防ごうとした疑いがあります。

 過去には国の政策で最大250機の農薬散布のヘリが日本国中を飛び回った事があり、公費でヘリパイを養成しましたし、多少の事故(ほんとは凄くおおかった)には眼をつぶって米の増産に寄与したのです。

 そのときに育った500人もの操縦士が、日本の民間ヘリの運航を支えてきました。常に事故に付きまとわれながらですが。

 今後10年くらいにはその農薬散布のフライトは殆どゼロになりそうですので、これからは新人操縦士が殆ど育たない環境になります。

 では どうしようかと言うことが全く決まっていません。

 もう一点、日本のヘリコプターの免許では、いわゆる 狭い所の 離着陸、低空飛行、の技術を全く求めていません。航空法によって原則禁止だからでしょう。(許可をもらった時だけ可能です、緊急の81条以外には)

 ヘリコプターの飛行の基本中の基本である、安全な低空飛行、狭い所への離着陸、この技術を日本のヘリの操縦士は違法をしないかぎり、身につける事が出来ません。こんなことは世界中で日本だけでしょう。

 そんなことしてたら、そのうち送電線や索道に引っかかって落ちるぞ、と言う意見が出てくるのもごもっともですが。
 2000時間、遵法で飛んでいたヘリの操縦士は何処へいっても、使い物にならないでしょう。まー飛行機なら飛ばせるでしょうが。

 農薬散布は、低空飛行や狭隘地離着陸等、どれだけ過酷なフライトであったか、犠牲者の数を見ただけでも分かります。(田んぼに薬を撒くだけのことで、過去50人程度の方が殉職されています。 数字は正確ではないかもしれませんが)

 農林省の米の増産の要求のまえに運輸省航空局は辞めろともいえず、多発する事故をみても、何ら打つ手がありませんでした。

 厚生省はドクターヘリの運航には経費を負担するようですが、操縦士がそこらから湧いてきて、安全に低空飛行、狭隘地での離着陸等、無難こなすとでも思っているのでしょうか。農薬散布ほど過酷ではないにしても。

 航空局が発行するライセンスだけではとても安全確実に任務を成し遂げるのはむりでしょう。

 50機飛べば、最低100人 さあ どうやって育成するのでしょうか。10年したら我々団塊の世代の農薬散布の戦士は誰もいなくなります。

 (農薬散布するためには、航空局の事業用免許以外に 農薬散布の研修終了証が必要でした。今でもいりますが、これって何なんでしょう 2重行政?それとも 航空法に合わないものは無視?航空局のふがいなさ?)

 (いっそのこと、農薬散布、木材搬出は農水省、送電線建設やパトロールは通産省、ドクターヘリは厚生省 報道取材は総務省、がライセンスを発行したほうがいいんじゃないかなーーヘリコプターは航空機ではないと規定すればよいだけのことです。)

 (何故 私が 低空飛行、 低空飛行とくどく言うか、理解できない方がおられると思います。狭い所への安全な離着陸は、安全な低空飛行なくして絶対出来ないからです。)

 ドクターヘリが今後 50機程度も整備され、安全確実に任務を成し遂げていくには、要員の育成においていかに困難が待受けているかを心配しています。
 ただ単に、飛行時間2000時間以上でないと従事させない、などと簡単な決め事だけで上手く行くほど問題は軽くないのです。

屋上ヘリポートって機能的でかっこいいけど問題点はないのかなー?


 
  病院の屋上のヘリポートへ、ドクターヘリが着陸、直ちにストレッチャーのままエレベーターでERへ。こういうシーンってなかなかこっこいいですね。テレビドラマに使えそうなシーンですが。

 各地にドンドン整備され始めていて、時々、ニュースで取り上げられています。

 さて、この 屋上ヘリポート何か問題点はないのでしょうか。

 ここでは ドクターへりの基地ヘリポートとして使用する場合の問題点を取り上げて見ます。

1、給油の問題
    
 ドクターヘリが出動して患者さんを搬送して基地病院へ戻ったら、直ちに給油、医薬品類の補充、必要な機材(主にストレッチャーです)の準備をします。

 次の出動に備えてロスタイムを最小限にする必要があります。

 今、日本国内の屋上ヘリポートで給油施設を持ったものはほとんど皆無です。その施設をつくるのに莫大な費用が要る事に加えて消防法上の規制も、ネックとなっているようです。

 ですから、直近に給油用のヘリポートを持つ必要がありますし、直近であっても、空港へ行って給油するとなると、ロスタイムが30分ではすまなくなりがちです。

 給油できない基地での運航は、実動1回するごとに給油に飛ぶ為、飛行回数は倍になり、騒音問題の原因ともなりかねません。


 2、天候条件の問題

 屋上ヘリポートは強風の影響を受けやすく、20mの風が吹くとほぼ離着陸できなくなります。またそのまま駐機しておくとヘリコプターに被害が出る惧れもあります。そのため、強風の予想がされるときにはあらかじめ、他の場所へ避難する必要があります。この回数は、場所にもよるでしょうが、概ね年間20回程度はありそうです。

 3、機体の保守の問題

 年間通して、雨ざらし、風さらしは やはりヘリコプターにとって良くないのは分かっていただけると思いますが、その他には、突然の故障や、重整備が必要になったとき、十分な設備がないということす。
 最悪、大型ヘリで吊り上げて、移動という事態もないとはいえません。そのあいだ他のヘリコプターは着陸出来ないのでドクターヘリ運休という事になります。



 いずれにしても、屋上ヘリポートには、地上のヘリポートが近くにあって、給油 整備、格納 ということが出来るようでないと、基地ヘリポートとしては十分機能しないという事はいえます。

 ただし これは 基地として使用する場合であって、単に 患者受け入れの為 だけの ヘリポートとして使用するならば、何ら問題ありません。

 (それにしても屋上ヘリポートの建設費用の高い事、これも費用対効果の問題点かもしれません。患者さん受け入れだけのヘリポートの場合、年間20回使用して50年使うとして、5千万で出来たとしても 1回当たり5万かかってますよね。民間ではとても採算あわないですね。5分以内の場所に公園でもあればただですけどね)
    

ドクターヘリ1県1機配備は理想かなー?


  ドクターヘリ法案が国会を通過し、各県1機配備へ動き出そうとしています。

 各県1機配備は理想的と一般的に思われていますが、実はそうともいえない面が多々あるのです。

 同じ経費を使うのであれば、より効果の高い使い方をするべきですし、効果が同じであれば、より少 ない経費でやれる方法をとるべきでしょう。
 
 事故や急病でドクターヘリに飛んできてほしいという状況になった患者さんは、出来るだけ早く、確 実に飛んできて、救急救命の処置をしてほしいのであって、自分の県のヘリでないといけないとか、運 ばれる病院にしても県内に限らず、一番いい処置が出来るところであってほしいと思うのではないでし ょうか。

 また、県 単位にヘリを飛ばしていると、実動中、給油中などで、ヘリがいないときに、新たに出動 要請が入った場合、それがいかに重症の患者でも、ただちに対応する事がが出来ません。

 ヘリの点検や故障に備えて、更に1機の予備機を持つことを義務つければ、コストは大きく上がりま す。

 3,4機を1箇所に配置し、100キロ以内(ヘリで30分)を2,3機で常時カバーします。 1機は点検や故障に備え た予備機にし、将来的に 夜間運航をやるときには、1機のみ夜間待機、等々、きわめて柔軟、効率的 な 運用が可能です。

 運航要員の勤務効率、訓練、新人の育成等々、非常に効率よく確実に実施できます。

 受託する運航会社にとっても、一定の規模、利益体制が長期的に確保され健全経営が可能と、なります。

 空中を直線で飛ぶへりを府県境のなわばりで縛る愚は避けるべきです。

 この配備の仕方はすでに外国で実施されています。

 いずれのちに 詳しく書くつもりをしていますが、既に県ごとに配置されている、防災ヘリ、警察、消防、建設省地方整備局等のヘリはその費用対効果において悲惨な状況です。」

 訓練ばかりで本当に必要な実動はごく少なく、点検整備で運休する期間が長く、おなじような高価な装備を各所で買い揃え 予備部品をいっぱいもち、所帯が小さい為、運航、整備技術は低く、要員は民間から引きぬき放題、惨憺たるありさまです。

 ドクターへりは同じ失敗をおかさないでもらいたいものです。
 
  

 

ヘリコプターって事故が多いようだけどほんとはどうなのかなーー


 ヘリコプターだけではなく航空機はすべて、どうしても、事故イコール死亡事故という概念がつきまといます。

 私自身の経験から、ヘリコプターの事故が 実際はどうなのかということを今日は述べてみたいと思います。

 日本のヘリコプターは概ね 10000時間飛行するごとに、1回の事故をおこしています。全くの概算で正確な値は、事故とはなにか、と言う 定義によって大きく変わりますのでどうしても統計そのものがあやふやなものとなります。(事故を減らす最大の対策は、事故の定義を変えることだそうです 笑 )

 10000時間に1回が多いか少ないかという 判断をするときに、参考ですが。

 ドクターヘリは一機当たり 年間 300回から500回 出動して 300時間ぐらい 1年 あたりに飛行しますので、概ね30年に1回は事故をおこす確率が高いといえます。

 30年に一回は多いか少ないかという事ですが、普通の方が成人して一生車に、乗り続けていたら、1回か、2回の事故を、おこすぐらいが普通かなともいえます。その事故が 死亡事故ではなくて、負傷や物損程度ですむくらいで、死亡事故の確率はかなり低いとは言えますが。

 ヘリコプターの事故の場合ですが、 残念なことに、 事故の半数程度は、死亡事故になっているようです。

 そこで 全くの概算ですが、1機のドクターヘリが飛び続けると、60年に一回は死亡事故が起こるかもしれません。

 60機のドクターヘリが全国をくまなく飛び続けると、年間 2回程度の事故がおきて、そのうち1回は死亡事故になる可能性があります。

 これではとても、許容できる事故率ではないと考えます。多分 国民 市民の皆さんもこれでは事故が多すぎると思われるでしょうし、マスコミは又落ちたか ドクターヘリという風な捉え方をするでしょう。

 この 事故率の計算には、過去のヘリコプターの事故率を元に概算しましたので、実際の事故率は、この半分以下にはなると見ています。

 その理由は
 
 1、過去に事故を起こしたヘリコプターは 農薬撒布や物資輸送等 きわめて厳しい運航条件の中で、多数の事故をおこしています。(最近起こった水晶岳での事故のような例)(ドクターヘリはそれほどは厳しい運航条件ではない)

 2、過去のヘリコプターはエンジンが単発であったり、信頼性が今ひとつであったり、小さな機材トラブルが即事故につながることが多くありました。

 3、ヘリコプターの運航が大きく広がった為、その要員の手当てが後手後手になって、事故が続発したりした。(訓練が十分出来ないまま、実務につけたり、技量未熟のまま従事させたりした。)

 4、運航企業が弱体で、安定した利益体制が維持できない程度だったので安全に対する投資が十分出来なかった。

 5、社会全体の、安全意識が 低かったので、事故に対する責任追及もそれほど厳しくなかった。

 いろいろな 要因があって 1万時間に1回程度の事故率であったのですが、過去のこう言う要件を改善していけば、50、60機のドクターヘリが全国をくまなく飛び回って、3,4年に1回程度の事故で、しかも犠牲者を出さないような所ぐらいまでは是非、実現したいものです。

 幸いな事に日本でドクターヘリが飛び出して 5年程度過ぎ10機程度が飛んでいます。まもなく10000時間の壁を無事故で突破してくれると思います。

 航空局が、場外離着陸や、低空飛行の許可を簡単に出したがらないのも、わからなくはありません。



 
 

出動要請から飛び立つまでってどんな様子なのかなー


 管内各消防本部からドクターヘリ出動要請がはいってヘリが実際にヘリポートから飛び立つまでの様子を 今日は 書いて見ます。

 先ず、ホットラインで出動の要請がはいります。運航管理係(CSと呼んでいます。コミニュケーションスペシャリスト)が 呼出音を4回ほど鳴らしてから 電話を取ります。呼出音で関係者がドクターヘリの要請だということが分かるようにする為です。
 救急部にホットライン電話の子機があって スピーカーから通話内容が同時に流れます。通話内容は 何処からの要請か 着陸地はどこか、患者さんの症状はどうか、などです。

 パイロットはホットラインの呼出音だけで、ヘリに向かって走ります。

 整備士はドクターナースが 要請を知らないおそれがあるため、念のため 病院内ポケットベルを呼び出した後、ヘリへ向かいます。

 ヘリコプター担当のドクターナースは救急部で通常の業務をしています。ホットラインのベルでヘリポートに駆けつけます。この病院は屋上にヘリポートがありますので、エレベーターは緊急のボタンがあり、優先的に屋上まで行くことが出来ます。

 パイロットはへりのところへついたら 周りの安全を確認して、外部電源のスイッチを入れてヘリに乗り込みます。座席に座りながら、ヘリの電源を入れ エンジンスタート前の点検を30秒,一つのエンジンをスタートするのに30秒 2つで約1分程です。

 このころドクターナースがヘリに乗り込んできます。

 整備士はエンジンスタート始めるころに、へりのそばにいて、エンジンが正常にスタートするかを外部から見守ってくれています。
 エンジンがスタートしたら、外部電源を外して、所定の位置へかたずけてヘリに乗り込みます。

 そのころ、CSから、無線を通じて 要請消防機関 目的地、相手救急車の無線呼出し名称 等送ってきます。と同時に二つのエンジンをフライト位置まで加速し、各計器が正常であることを確認します。
 

 最後に、乗組み全員が座席について、シートベルト等 出発準備が 完了していることを 確認しあいます。

 CSに離陸準備完了を告げると、ヘリポートの風向風速など、離陸に必要な情報を 送ってきます。

 エンジン計器など 最終の 確認をしながら離陸となります

 ここまで ホットラインがなってから、3分30秒から4分ぐらいです。

 離陸するころからドクターは医療無線で患者の容態をCSと連絡しあって、到着後の処置に必要な準備をします。

 ホットラインから離陸までの一連の流れです。

 各人が 持ち場持ち場の手順を 迅速確実に行うことが、患者さんの救命 安全運航に 直結です。

 
 

プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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