設定が微妙な 離陸重量、、ドクターヘリ、、

航空機を出発させるとき、パイロットは気象や機体の装備や重量、航空関係の空域の規制などの情報、などなど多くのことを確認する義務があります。
最後に確認するのが実際の航空機の状態の確認を目で見てするのですが、ドクターヘリの場合は、出動要請が入って、3分程度で離陸するので、エンジンスタートして、各計器類を確認し、無線でどこへ着陸するか、離陸のための風の情報を聞くだけで精いっぱいとなります。
ヘリコプターにはそれぞれ性能限界があって、離陸の最大重量が決まっているのですが、許される最大重量なら3メーターか5メーター程度の高度でギリギリホバリングできる程度でほとんど余裕がない状態です。
ある程度の馬力の余裕をとるためには、パイロット、整備士、そして、ドクターナースが乗って、100キロ程度の医療機器類を搭載しすると、詰める燃料の量が決まってきます。
燃料の量は出動範囲の一番遠いところまで飛んで、往復して20分程度の余裕が欲しいところです。
出動の要請がかかってから燃料を入れたり、排出したりする時間的な余裕はありませんので、自分が担当した県ではほぼ1時間30分飛べる燃料、300リッターくらいをいつも決まった量入れて、待機していました。
現場で患者さんを収容するとほぼ70キロ程度搭載量が増えるので、20分くらいのところへ飛ぶ場合には、帰りの離陸と出発時の離陸の重量はほぼ同じになるのですが、5分しか飛ばないで目的地へ着いて患者さんを乗せると、出発時より50キロ重くなるので、狭いところからの離陸は苦しくなります。
より大きなヘリを使うと燃料の搭載量には余裕が出るのですが、より大きなヘリに変えるとコストが高くなるほか、大きいヘリにはより多くの医療機材を積むことが普通で、鼬ごっこになるのが普通です。
大型のヘリなら一人一人の体重はほとんど気にすることはないのですが、ヘリが小さくなるほど、一人一人の体重まで気になるところですが、ドクターヘリには離陸前の時間がないので、その分で燃料を増やしたり減らしたりする時間的余裕はありません。
20分ほど飛んで患者さんを収容するとき、体重120キロ以上、付き添いのお母さん120キロ、おまけにドクター120キロには参ったことがありましたが、何とか離陸することができました。
さらに、出動後に2番目の要請が他の場所から入ったときに、3角飛行をする場合や。2往復する場合には残燃料を即座に計算して、非行の可否を決断する必要があります。
より大型のヘリで余裕をもって飛びたいところですが、より多くの医療機器の搭載希望もあり、どこで折り合うかは中々むつかしいところです。
せっかくの双発エンジンのヘリなのに、重量があまりにぎりぎりで飛ぶと、離着陸時のエンジン片発故障で墜落する可能性があり、現実にアメリカでは墜落した事例があるようです。
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ドラえもんのタケコプターは飛べない、、、、

https://news.yahoo.co.jp/articles/85617d15c4b33c14ca6c56c9e1d9f9602f000a48?page=2
ネットを見ているとドラえもんのタケコプターはぐるぐる回ってしまって飛べないという記事が出ていました。
ヘリコプターの原理を説明する記事で、そのためにヘリコプターにはしっぽにテールローターと言う小さなプロペラが付いているという解説で、その次にはタンデム式やノーター式、2重反転式などが解説してありましたので読んでいただければ理解できそうです。
2組のローターがお互いに反転したり、2つ以上のロータが前後や左右に付いている形のもの、あるいは軸を斜めに向けてぶつからないように回すもの、ドクターヘリのMD902のようにローターが一つでもしっぽから空気を吹き出すなどして、テールローターがないものなど色々あって、それぞれ特徴と欠点があります。
しっぽにテールローターがあるタイプでも普通のプロペラのものとフェネストロンという、カバーの中に扇風機が入っているものと2種類あって、それぞれ長所と短所がありますのでどちらが優れているかということは一概には決められません。
ということで、ドラえもんのタケコプターは自分がぐるぐる回ってしまうので、作者の藤子不二雄先生はプロペラを2重にして反転させれば科学的にはよかったのですが、誰かが助言すればよかったかもしれません。
ここで一般的で一番多いタイプのしっぽにプロペラが付いているタイプの空力的なことを少し説明しますと、直角についたしっぽの小さなプロペラは横方向へ風を送ってというか、横方向の推力を出してくるくる回ることを止めることになっています。
振り回す反作用と釣り合う推力なら、機体は回らずに静止しますし、ラダーという足で踏み込む操作によって推力強くしたり弱くしてやるとヘリはしっぽが回るということになります。
実はここからがヘリの操縦の微妙なところで、推力を強くして、しっぽを回してやろうとラダーを踏み込むと、しっぽのプロペラに入る馬力が大きくなって、大きなローターに入る馬力が少なくなるので、全体の馬力を調整しないと、ヘリは高度を下げようとします。
もう一つ、しっぽのプロペラに入る力を増やして回わしてやろうとするか、あるいは横風などで自然と回ろうとするのを止めようとすると、しっぽのプロペラの推力で、ヘリ全体が横方向へ移動していしまいます。
つまり、テールロータの推力を変化させると、横方向へ動こうとし、高度も変わることになり、一つの舵を使えば同時に他の2つの舵も使わないとホバリング位置がずれてしまうことになります。
このような操縦は頭で考えてするには複雑すぎて遅れるので、3方向の舵の調和は体で感じてするのですが、さまざまな条件で微妙に違うことが普通なので、結構むつかしく、ドクターヘリが垂直に離陸していく様子を見ると、腕のレベルがすぐにわかってしまいます。
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ヘリコプターの性能、、難しいカタログデータの読み方、、、、

沖縄で起きたCH53 3機とオスプレイの先日のトラブルは空中給油中のトラブルで、壊れた1機と急に空中給油できなくなったCH53が起こしたものだと、指摘しましたが、ヘリをはじめ航空機が空中給油するのは理由があるからなのです。
オスプレイは概算で最大重量が30トンで、速度は500キロで燃料は4時間ほど積め、2000キロ飛べますとカタログやマニュアルで書いてありますので、素人をはこれを真に受けて、小型版オスプレイは小笠原の急患輸送に使えると思うことでしょう。
これらの値はすべて最大値で機体の空の重量が15トンなので、10トンの荷物を積んで2000キロ飛べるかというと、ヘリのように離陸できないし、ローターを前に傾けて滑走しても離陸できないという条件を知る必要があります。
つまり荷物の重さと詰める燃料は滑走して離陸するかヘリのように離陸するか、離陸してから空中給油で燃料を追加するかでどこまで飛べるかということが決まります。
もちろん、それで目的地へ向けて飛べば、燃料が減るまで滑走でもヘリのようにも着陸できませんし、規定重量以下になれば滑走で着陸できますが、ヘリのように着陸できないことが起きています。
ということで確かオスプレイは1分間に300リッターの燃料を投棄できるようになっているようです。
このような性能変化は階段状に変化するのではなく、直線的に変化するので、ヘリモードで着陸できる重量になってもギリギリなら下手糞は墜落させますし、風が悪ければトップガンでも落ちるということが起き、もっと軽くなれば素人パイロットでも楽に着陸できるようになります。
もちろん、着陸は上手にやれば最小パワーでできますが、狭くて周りが障害物なら離陸できない状況も当然あり得ます。
オスプレイはローターが極端に短いヘリなので、このような状況が厳しく変化しますが、普通のヘリでも変化傾向が緩やかなものの同じことが起きていて、ドクターヘリはどの機種でもほぼ30分で100キロ燃料を使って軽くなり1時間飛ぶと200キロ近く軽くなります。
100キロ200キロ程度は大したことはなさそうですが、実は外気温度が30度にもなる真夏では空気密度が薄くなってローターの性能が落ちていて、余裕馬力に幅がなく、夏の出動で離陸後5分で風が悪い状態の狭い所へ着陸した神奈川県のドクターヘリが秦野で墜落しています。
軍用機は性能の最大限を使って、敵に対して、有利に運用するため、オスプレイが兵員を満載した離陸直後に空中給油し、より遠くへ飛ぶのはこのためで、同じ基地にいる仲間のオスプレイを給油母機に使用し、仲間同士でいつでも空中給油する訓練をしているようです。
彼らはいつも実戦に備えているだけで、ごく普通だということかもしれませんが、そのような点を思えば日本の航空運用は素人同然と評価されているかもしれません。
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浮かないヘリコプター、、、

最近のヘリは高性能なので、ジョット機のように上昇することもまれではないようですが、今も昔もヘリコプターは一定の条件では上昇しなくなり、下手をすれば落ちるということになります。
航空機がどんどん上昇していくと、どんどん空気が薄くなって、エンジンに入る空気と翼を切る空気の質量が提言してきてエンジンは馬力が出なくなり翼は揚力が落ちてきて、浮いていられない状態になります。
ですから高性能のヘリも性能の低いヘリもどこかで浮いていられなくなって、落ちるか高度を下げるかということになります。
ヘリに荷物も燃料も少なければその限界高度が高くなり、重い荷物をつっていたら限界高度が低くなりますが、実はベル47というピストンのヘリは重量制限内でも限界高度がゼロ、つまり地上で浮かなくなるという、このヘリ本当に耐空証明、型式証明が去るのかと疑うような現象が起きたものです。
真夏の農薬散布は早朝4時半から飛びますので、東北では気温は20度くらい、元気に飛び回っていたヘリが仕事が終わって一時間もかけてを洗浄して、さあ引き上げようとする9時ころには30度を超える暑さは普通です。
エンジンをかけておもむろにパワーを最大まで引いても1センチも浮かび上がらないことがよくありました。
どうやって離陸するかというと、土手の上ならエイヤーと飛び降りうまく加速すれば、川面ぎりぎりで上昇に転じ無事離陸となります。
飛び降りれない場合は整備士に頼んで、広い平らな場所まで先行してもらって、100メートルほど滑走できる場所で乗り込んでもらい、スキッドを草地につけたまま滑走して、やっと浮かび上がるということをよくやったものです。
100%のパワーでホバリングできなければ、ヘリではないと思うのですがそのようなことは日常茶飯事で、ずいぶんスリルのある離陸をしていたのですが、のちに214Bに乗ったら1万フィートまで3分、ジェット機顔負けの上昇でしたが214は上昇の世界記録を持っていたようです。
私たち団塊の世代のヘリパイロットはベル47のような非力なヘリに乗ったことが大変重要な体験であったので、その後の高性能のヘリで飛んだ時に高空、過荷重の操作にずいぶんと役に立ちました。
T33でも45000フィートくらいで上がらなくなり、アップアップでホバリングするヘリと同じようになってしまいます。
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実は高いところが苦手、ヘリコプター、、

航空機は空気によって発生する揚力によって支えられているので、空気が薄くなってくると性能が落ちてきて、ヘリでも飛行機でも使用できる最大のパワーを出して上昇を続けると、限度以上の高度以上は上がれなくなります。
その限界の高度はその時点での残った燃料を含む機体の重量とその高度での空気の薄さ加減、つまり空気の密度によって決まりますが、それぞれの運用高度はマニュアルに規定されていて、ヘリの場合はほぼ2万フィート程度のなっています。
もちろんその限界高度はヘリの場合普通は一番小さな馬力で浮いていられる速度、ほぼ土のヘリでも60ノット程度です。
ジェット機の場合も対気速度がどんどん落ちてくるのですが、空気が薄くなってくる関係で、計器に出る大気速度が落ちても、真速度が速くなってきて実際の対地速度が落ちることがないので、長距離を飛ぶ旅客機な土はできるだけ高く飛んだ方が経済的となります。
ヘリの場合はほぼ6000フート程度が巡行に一番有利な高度であると一般的に言われています。
ヘリの場合は一般的にホバリングするときにより大きな馬力が必要となり、機体のその時点での重量とメインローターのピッチ角で決まり、空気が薄くなって落ちてくるエンジンの限界馬力で、そのピッチ角で抵抗に打ち勝って回せるかがホバリングできるかどうかの限界が決まります。
日本で一番高い、富士山の頂上12388フィートでS62が600キロのレーダードームのネット状の部材をホバリングして下せるかどうかが飛行マニュアルのデータで気温と高度機体重量の限界値が出ますので、運搬できるかどうかが机上で判断できることになっています。
実際の作業では少し限界値を超えていたので、ヘリのドアーや座席など外せるものはすべて外して軽くしてやったようですがそれでも限界を少し超えていたようです。
機体の重量を落とすために、燃料は往復する時間に少しの余裕を加えた量にするので、もたもたしているとエンジンが止まります。
実査に飛ばす場合には機体の制限重量の95%程度にしてパイロットの操作に対する余裕を取るのですが、性能と作業の兼ね合いで落とせなければ、一発勝負でやるか、仕事を断るかということになります。
理論上はこれでいいのですが、パイロットにとってはそれだけではすまず、限界高度や重量で飛ばすとヘリはどのような挙動をするか、エンジンや操縦かんの動きとヘリの動きの関連性をあらかじめ経験しておく必要があります。
ジェット機でも同じなのですが、操縦かんの動きに対する機体の反応がダルになり、エンジンのスロットル操作に追従が遅れるようになることが普通です。
またホバリングの細かい修正操舵に機体の動きが遅れるようになってホバリングが難しくなります
つまりヘリの性能は落ち、パイロットの操作にヘリが敏感に反応しなくなり、このようなことは事前にパイロットが経験しておくことが重要で、いきなり実践では大変危険性が高くなります。
このようなことはおおむね8000フート以上で起きるのですが、空気密度の薄い夏ではより低い高度から、気温が低い冬場では少し高いところまで起きないようですが、ヘリの機種によっても差がありそうです。
標高の高い山間部で飛ぶヘリパイロットはこのようなことを十分に理解し、さらには実際に体験訓練しておくことが重要で、ベテランであっても経験がなければ着陸はしたものの離陸できなくなるというようなことにもありかねません。
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