ヘリコプターの離着陸、、、、

基地病院 (52)

 ヘリコプターは前にも後ろにも真横にも飛べる便利な航空機なのですが、前には最速150ノットで飛べる機種でも横方向や後ろへは30ノット程度が限界でそれ以上の速度を出すと、操縦不能になって墜落する危険性が高くなります。

 いきなり墜落するわけではなく、限界の速度に近づくにしたがって、操縦かんの作動範囲いっぱいを超えないと姿勢が保てなくなったり、最大パワーでも浮いて入れなくなる限界に近づくようになります。

 そういうことなので30ノットの横風なら、じっとしていても墜落しかねません。

 またヘリの重量が重いほど限界値は小さくなることが普通なので、危険性が増すことになります。

 また限界値は風の場合は突風の一瞬でも立て直せなくなる可能性があります。

 またヘリには地面効果と言う特性があって、2.3メートル以下のホバリングでは、吹き降ろし風が地面に反射してヘリを持ち上げているので、より少ないパワーで浮いていられるのですが、5メートルを超えると地面効果が極端になくなって、10メートル以上でほぼ地面効果はゼロとなり、大きな馬力でないと浮いてられなくなります。

 と言うことでヘリの離着陸は、地面効果ないホバリングの高度まで、横風の影響が大きく変化しないように、低い高度のまま直線で進入し、直線で離脱します。

 つまり、ヘリの離着陸で、高いホバリング高度の10メートル程度のところで方向を変えることは、非常に危険な行為で、日常的にそのような操作をしていると、秦野の事故の二の前になりかねません。

 障害物のためなどで、どうしても高い進入、高い離陸が必要なら、向きを変えないでそのままの方向を維持することをお勧めします。

 本来なら、規定通りにホバリング高度1メートルまで、まっすぐ直線で進入離陸することが大原則で、接地のために向きを変えるなら規定のホバリング高度1メートルで、向きを変えるべきなのですが、ユーチューブな度に投稿される動画はほぼすべて、大原則を無視した危険な離着陸を繰り返していますが、だれか指導する上司、先輩はいないのでしょうか。

 投稿動画を見ていると10メートル化20メートル程度の高度でホバリング旋回をする動画が一番多いようですが、10メートルから20メートルがいったん落とされたら回復ができない、一番危険な高度です。

 このような小言を言ううるさいパイロットがいないのでしょうけれども、危険を危険と思わないパイロットが多いようです。

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高い高度でのホバリングは危険、、、、

1985年当時の写真 (3)

 ヘリコプター特有のホバリングという操作は場面によっては大きな危険性をはらんでいるので、できれば必要のないホバリングすることを避けるほうが安全と言えるでしょう。

 どのような場合が危険かというと、一般には高い高度ということがありますが、空気の薄い高い高度というとらえ方と、もう一つは地面効果外の高い高度という2つの場面があります。

 その二つのどの場面でも、その時のヘリの搭載量などを含めた総重量でホバリングに必要な馬力が、その高度でヘリがエンジンとローターで出せる馬力、揚力が下回った瞬間、ヘリは落ちるしかなくなります。

 出せる馬力いっぱいの100%出しても、馬力が足りなくなるという状態です。

 ホバリングと言ってもヘリが止まっていて、正面から風があると10ノットでほぼ10%近く馬力が少なくてホバリングしますが、横風や背風では10銭と近くも多い馬力が必要となるので、いきなり落ちるという現象が起きます。

 風の方向によって、テールローターに食われる馬力が10%も増えたり減ったりしますので、不利な場合は回されながら落ちることになります。

 ヘリの重量によって、制限ギリギリならより危険になり軽い状態なら余剰馬力があって大丈夫ですが、重いとより危険範囲が大きくなります。

 物資輸送で重量ぎりぎりの重さを上げ下げするときには、重い荷物が地面を離れるとき、あるいは接地するときにできるだけ最大馬力になるように、ホバリングで静止したり、静止状態でホバリングターンをすると、テールローターの必要馬力の変化で落とされたりするので、ゆっくりとした上昇降下とターンを実施します。

 離陸の時に垂直上昇をいったん止めて、ホバリングターンをして向きを変えて出発する方法は最悪と言えるでしょう。

 着陸の時は10メートル以上の高度でいったんホバリングしてからホバリングターンをすることは危険で、2メートル程度のホバリング高度までは方向を変えないほうが、より安全でしょう。

 いずれにしても横風やテールローターの必要馬力の大きな変化がある可能性のある捜査は控えるべきで、10メートル付近で必要馬力が限度を超えてしまうと、落とされることを止められなくなる可能性があります。

 多分 ヘリパイロットは相当のベテランになるまで過程で、1回や2回は落とされたり、パワー限度を大きく超えた経験をすることがあるので、中型、大型ヘリと言えども、ヘリなら同じような危険性があることに気が付くでしょう。

 もちろんドローンや空飛ぶ車にも同じような空力特性があるはずで、このような原因で墜落する事故も多発することでしょう。

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ヘリコプター まっすぐに飛ぶために、、、

和歌山ドクターヘリ (1036)

 ヘリコプターは真横へ飛んだり、極端な場合は真後ろへも飛んだりできるのですが、あまりに自由に飛べるためにまっすぐ前に飛ぶことが結構、難しくて、これができないパイロットは相当なベテランでもいるようです。

 水平直線でまっすぐ前に飛ぶ巡行時や、離着時に直線のコースを飛ぶことはなかなかむつかしく、普段は少しくらいずれてもわからないのですが、これができないパイロットはモノや人を吊り下げたらいっぺんにばれてしまい、つり荷をゆらし、揺れを止めることができません。

 シングルローターでしっぽにテールローターがあるヘリが一番多く、この型式のヘリがまっすぐ飛ぶのが大変むつかしい、構造が特別な空力的な特性が発生します。

 機体が大きなローターの回転方向と逆に回ろうとすることを止めるのがテールローターの役割で、横方向への推力で回転を止めたり、方向コントロールをしているのですが、実はその推力は回転を止めるだけではなく、機体全体を横へ移動させてしまいます。

 写真の姿勢指示器はほんの少し傾いて取り付けてありますが、これは取り付けミスではなく、巡行中、この傾いた姿勢指示器を合わせて飛べば、機体は少し傾きますが横方向へずれないような角度で付けてあります。

 この写真はEC135でローターがリジットタイプという、機体とローターの軸の角度が直角で変化しない構造なので、水平直線飛行で横にずれないためには機体を傾けてやる必要があり、その角度に水平指示器ははじめから傾けて付けることになっています。

 ベルのヘリなどシーソータイプのローターの場合は軸につながるローターの角度はローターがぶら下がって角度が変わるようになっているため、水平直線飛行の場合は機体は水平で、ローターが傾くように、ローターの傾きを調整するスワッシュプレートという皿のようなものが初めから傾けて取り付いています。

 つまりベルヘリは機体を水平にして飛び、主にヨーロッパのヘリは機体を傾けて飛ぶと水平直線飛行ができるようになっていて、その違いをぴたりとコントロールできないとまっすぐに飛べないことになります。

 まっすぐかずれているかなどすぐにわかると思うことでしょうけれども、上空では参考にでき目印が近くに何もなく、体感の判断もむつかしいので、まっすぐに飛べないパイロットなド、ごまんといるようです。

 もしかすると、ヘリパイロットでこの原理を知らないものも多数いるようです。

 1万時間ちかくも飛んだ経験豊富な、私にドクターヘリ機長のヘリ審査をした、もぐりのベテランは知らなかったようです。

 まあ、このようなことを知らないようでは、まともに物を吊って飛べないでしょう。

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危険性高い垂直離陸、、、、



 一般の方がドクターヘリに遭遇し、ユーチューブで公開されているドクターヘリの離着陸するシーンをよく見かける機会が多いのですが、理論に合わない離着陸をするパイロットが多いように見受けます。

 離着陸方法にヘリ操縦の基本に合わない経路や無駄なホバリングターンをしたり、場合によっては意味なく危険な方法を取るパイロットが多く見受けられるようです。

 そのような飛び方はパイロットが基本をよく知らないこともありますが、ドクターヘリが導入された初期の段階で、基地病院の関係者が、周りの住民からの騒音被害の申し立てを過度に意識したために、離陸時に出来るだけ高くまで垂直に上昇してから、目的地へ向かってほしいということを要求されたようです。

 また、着陸時はなるべく遠くから深い角度で進入してくださいとも言われて、運航会社のパイロット以外の関係者が簡単に受け入れてしまったようでした。

 私がそこにいたなら、死にたいのですか? パイロットはわざわざ騒音を強く与える飛び方をわざとするわけではなく、安全性と騒音を考慮してその時の飛び方は自分が決めます、  と答えたことでしょう。

 特に離陸の時の垂直上昇はTAでない場合は双発機でも、エンジン故障時には即墜落の危険性があるほか、垂直に上昇する場合は最大馬力でも上昇率が悪く、かえってまわりに長く騒音被害を与えかねません。

 数十メートルだけ高度を上げないで速度を獲得するだけで、上昇率は5倍以上にもなって、しかも短時間で騒音被害を切り抜けることができるのですが、素人の病院関係者は理解できなかったのでしょう。

 着陸の時も同様で、深い角度で進入すると速度は落とさないと難しい進入となり、エンジンパワーも多く必要で、長時間うるさいことになります。

 パイロットに騒音被害軽減のために危険な飛行方法を強制するなら、少なくともどちらが騒音が少ないか程度の計測はするべきでしょう。

 離陸時のエンジン故障は他の場合より、一番可能性が高く、しかも墜落は免れない危険性が高いのに、双発機の一番の利点を犠牲にする自殺行為だと思いますが、パイロットが安全な飛び方を否定されて、漫然と続けるのは、パイロットの発言力がヘリ会社では低いということになるのでしょう。

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ヘリパイロット 油断できない携帯カメラ、、、、、

離陸

 防災ヘリやドクターヘリを飛ばすパイロットにとっては大変生きづらい時代となっています。

 衆人環視のもとで離着陸したり、飛ぶ、このような公的ヘリのパイロットは何時も携帯カメラで撮られていて、ユーチューブにはその動画があふれていて、プロでなくても見る者が見たら操縦技術のレベルがまるわかりで、動画を取った人々は素晴らしい腕だとほめている場合が多いようですが、逆の場合がほとんどでしょう。

 ヘリのパイロットはほとんどは免許取り立てから一人機長で飛ぶ場合が多く、正しい操縦法はほぼ先輩や機長から教わったり、見て技術を盗むような機会はないので、自分が正しいと思う飛び方しかできないで育つ場合がほとんどです。

 そこで長い経験の間により正しい操縦法を身に着けていくパイロットは技術が伸び、何も考えないで惰性で時間を過ごしたパイロットは基本がわかっていないということになります。

 ほぼだれも教えてくれませんし、始動される場合もないということなので、恥ずかしい飛び方いつまでも続けるという悲惨なことになることも多いようです。

 ユーチューブで数知れず公開されている離着陸のシーンの動画はそのことを見事に物語っています。

 ヘリのパイロットはまっすぐに上昇する、まっすぐに高度を下げるということができるのが基本中の基本ですが、離着陸の場面で意味もなく斜め後ろに下がったり、するパイロットがなんと多いことか、彼らはまっすぐに飛べないということのようです。

 もう一つまともな操縦技術を持っているかどうかを 測る基準ではっきりしたものを取り上げると、地上から地面を切って上がる時に現れます。

 どのヘリでも前後左右の重心位置の関係とテールローターの推力で横に流されるのにヘリを傾けて釣り合わせるため、ヘリはどちらかに傾いて地面を切る必要があります。

 つまり、スキッドタイプなら左右のどちらかのスキッドの前後の1点が最後に地面から離れるのですが、それがコントロールできないパイロットは離陸の瞬間にグラッと大きく揺れています。

 着陸の瞬間は逆になるのですが、これがコントロールできないパイロットのいかに多いことか、、、ユーチューブは天敵ですべてを記録しています。

 意味もなく前後左右に動いたり、ぐらぐらしたりとしても、だれも注意指導するものがいなく、自分もそれが異常だと自覚しないと、経験ベテランの初心者パイロットが粗製乱造されるようです。

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プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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