世界の名機?? 物まね??

インドネシアへ1980年4月に赴任して、1週間で免許の書き換えが終わり、ジャカルタから国内線でボルネオのバリックパパンという、石油開発真っただ中の街へ移動するときに乗った航空機が後で知ることになったイギリス製のHS748 という飛行機です。
パイロットでありながらあまりに忙しい生活で航空マニアではないヘリパイロットは世界の航空状況をほとんど知らない無知でした。
もちろん今から乗る飛行機に近づいて、タラップを登って機内に入るまでは世界の名機、YS11だと信じ切っていました。
日本の航空技術も大したものでこんな未開の地でも飛んでいると誇らしい気持ちだったのですが、機内に入ると何となく違和感があり、あとで会社の整備士などに聞いてみるとイギリス製のHS748という機体だと知って、顔が赤くなる思いでした。
恥ずかしくなってのちに調べてみるとHS748はエンジンも同じで、エンジンと主足の配置がまったく同じで、しっかり見ないと別の機体だとわからないほどよく似ていますので、どちらかがまねをしたに違いないと思うほど瓜二つですがどうやら日本がまねをして2年以上後に完成したようです。
もちろん YS11が初飛行に成功して以来世界の名機だとマスコミはある意味嘘をつき続けていましたが、本家はまねした重工の2倍以上の機数を売っていますので、どう考えても恥ずかしい限りです。
井の中の蛙状態だったので、恥ずかしい限りで、当時は家電や船舶などは世界一だったのが誇らしかったのものですが先端技術の航空分野はほぼだめなようで、めぼしいものは以来出ていないようです。
一応ヘリとは言えパイロットである自分が世界の名機YS11がインドネシアで頑張って飛んでいると意気揚々と乗ったらそっくりのイギリスの飛行機だったとは、漫画みたいな話ですが、恥ずかしい限りでした。
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航空機のスイッチやレバーの工夫、、、、

ヘリコプターはじめ航空機には100以上のスイッチ類や計器、レバーなどが所狭しと並んでいて、間違って操作すると場合によっては即墜落に危険があるものや、機器類を壊す恐れがある場合があり、間違わないように工夫がしてあります。
その中でも 一番目立つのは引き込み式の車輪を装備したヘリや飛行操作レバーはタイヤの形をしたものが多く、比較的大きなレバーを下げれば車輪が下が医、あげれば車輪が格納されますし、フラップと車輪を間違えて操作して、胴体着陸する大失敗を防ぐためです。
ということは大失敗をしでかしたパイロットが数多くいるということの裏返しで、レバーの形だけではなく、車輪を出さないで一定の速度以下でスロットルを絞れば大きな警報音が鳴ったり、さらには車輪の位置を示す計器もあり、上がっているか下がっているか移動中かを示すようになっています。
スロットルを前方に出せば馬力が加速し、後ろへ引けば馬力が下がるのですが、昔の日本の飛行機は逆だったという話を聞いたことがありました。
これは離陸上昇時は姿勢が前が上がるのと、加速で後ろに体がひかれるので、スロットルを持った手が体ごと後ろに下がるので、スロットルを無意識に引いてしまう恐れがあるからだそうです。
スイッチ類も前がオンで後ろがオフで統一されていますが、国によっては逆だったということを聞いたことがありました。
UH1民間では204B系統のヘリは、センターコンソールにエンジンの緊急モード切り替えスイッチと操縦圧系統の遮断スイッチが並んでついていて、油圧オフの訓練で間違って切ってしまっていきなりエンジンがフルパワーになって壊す事例が頻発し、間違わないようにスイッチの頭を三角形と丸いものとに分け、間違わないように改良しましたがそれでもたまに間違って壊すパイロットがいたようです。
プリウスは池袋で高齢者がロケット加速で重大事故を起こして非難されたのですが、このシフトレバーは単なる電気スイッチで、操作をした結果すべて真ん中へ戻るようになっていて、レバーを見てもどこに入っているかわからない構造で、これが高齢者の失敗を誘発しているようで、危険な車という評価ですが、ついに改善はなされなかったようで、多数の犠牲者が出たようです。
飛行中に操作するとエンジンが停止するスイッチなど、うっかり触ると危険なスイッチ類には赤く塗ったガードを付けたり、強い力で切れるワイヤーで拘束したり、いったん引いてからでないと切り替えられないように、構造的に対策をしているスイッチも数多くありますが、それでも間違いは絶えないようです。
安全性を追求する航空機の世界では何十年飛んでいる古いタイプでも様々な安全対策が取られることになっていて、改善改善なのですが、トヨタのプリウスの技術者は頑固にも改善はしなかったようです。
というような偉そうなことを書くとお前が一番危険だからガードを付けることにしようといわれそうです。
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高度で変わる、舵の効き、、、

今日の話題は航空機の舵の効き方が飛行高度によって変わるというお話です。
飛行機の操縦かんにつながる、エルロンやエレベーター 足で操作するラダーの変化する角度は操作量と変化角度は常に比例するように連結されていますが舵の効きは変化した角度による揚力の変化が機体の姿勢を制御する関係で高度が高くなって空気密度が下がると、つまり薄くなると効きが悪くなってきます。
つまり同じ効果を得るためには角度をより大きくしないと同じ効きが得られないということになります。
大きく変化させる場合も同じレートで舵を使うと操作が遅れるということになります。
このような変化が顕著に表れて、パイロットが自覚するのがブルーインパルスのアクロバットのような事例で、編隊の位置を正確に維持する場合などで、低高度で微妙に効く舵が、25000フートで同じような操作は数段難しくなります。
エンジンの加速減速の操作にも同じような症状が出て、修正操作は位置のずれを早め早めに見越して小さな舵で修正しないと、大暴れになってしまいます。
航空自衛隊当時の高高度ミッションの体験で4万フート以上に上がった時ふらふらで編隊位置の維持に度肝を抜かれた経験が印象的です。
ヘリコプターにも全く同じような症状が出るのですが、ヘリコプターが山岳輸送でホバリングする場合に一番の大きな症状の差は、アプローチからホバリングに移行する操作で、ヘリコプターの重量に応じた惰性を処理する操作は地上と同じようにすると、はるかに行き過ぎてしまいます。
惰性は地上でも上空でも同じ強さなのですが、ヘリの姿勢を頭上げにして行き足にブレーキを掛けるときの効きが空気が薄いので大変悪くなります。
もう一つ微妙なのはテールロータの効きが悪くなるということで、あまり確信はないのですが、テールローターの直径が長いほど効きの低下は少なく、短いほど効きが悪くなりやすいと感じていました。
つまり、テールロータの効きの低下は、ロータータイプ、フェネストロンタイプ、ノーターシステムの順に悪くなることは顕著に出る
ようです。
同じことはメインローターの直径にも同じようなことがありそうです。
このようなことを実感するのは、へりパイロットが初めて10000フィートでホバリングする最初の経験でホバリングはふらふらし、しっぽはぐらぐら止まらなくなり、自分がこんなに下手だったのか、風が荒れているのかと誤解するほど止まらなくなります。
岐阜県防災ヘリの墜落事故は重量オーバーよりもこのような現象を知らなかったことが引き金になったような気がします。
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大尊小卑 、、、

R44のパイロットが離陸方法に因縁をつけられて、インシデントとして事故調査の対象になっていますが、この状況にはいつも思う同じパイロットでも大きな航空機のパイロットが尊敬され、小さな航空機のパイロットが蔑まれるという、人が外見でその尊卑を判断されるという悲しい現実があります。
同じ空港へ乗り入れてもベル206Bで行くのと、332で行くのとでは明らかに管制官や航空事務所の職員の応対の態度が違います。
また所属しているのがJALのジャンボの機長と一元の自家用のR22のパイロットとでは明らかに対応が違い、若い新米の管制官や新米の情報官の態度もあきらかに違うようです。
神戸空港の開港準備の小型機の運用についての相談に乗るために、関西の操縦士協会の支部長として小型機を代表して、ルールつくりの管制官の代表と会議を重ねていた私が、その後新参ヘリ会社の機長として、同じ神戸空港の離着陸の運用でもめたときの新米管制官の態度とは雲泥の差があったものです。
一発かましてくると息巻いていたら、社長が頼むからやめてくれと私に頭を下げたものです。
いわく、うちの会社はここで商売を続けなければいけないので、相手のとっちめると今後の商売に支障が出るので我慢してくれということでした。
10年も前には神戸空港の開港に協力して小型機の運用方法についてずいぶんと協力したものですが、その本人に新米管制官の居丈高な態度には怒り心頭でしたが、人間の態度は豆粒のようなヘリにどのような概念を持っているか、人の心の中の汚さがよくわかりました。
新米のOJTの管制官が状況判断を誤って、あっちへ行けこっちへ行けと間違った挙句、自分の失敗をを棚に上げて、地上の点検車の上空を通過したとの因縁をつけるありさまでした。
15000時間経験のヘリパイロットの飛び方に、管制官1年目の新米が因縁をつけるほどですからいい度胸をしていますので、少し教育してやろうと乗り込もうとしたら社長に止められて泣き寝入りでした。
いったい誰のおかげで神戸空港の小型機の管制圏や運用方法のルールが出来上がったのか、少しは歴史も調べろと言いたくもありますが、新米役人の無知と厚顔無礼に泣き寝入りしました。
アメリカなど海外の空港の運用の様子を書き込んでいただいたのも大いに参考になりますが、どうも日本の地方の管制官は旅客機のことにか習っていないようで、ずいぶんと世界の常識には通用しない知識や技量がこびりついているようで私もインドネシアではずいぶんと世界の常識を教えられたものです。
今回のトラブルにはこのような大変間違った風潮が根底にあり、飛行場は国土交通省の俺のものだからすべて俺に従えというような考え方が根底にありますが、いったんクリアランスを出したらその飛行場はパイロットのものであり、小さなことをぎちゃごちゃ言うなというのが私の考えです。
つまらない愚痴ですが、332で行った時と206bで行った時の態度は明らかに違いますが、いったんクリアランスを出したらすべて平等でしょう。
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ヘリコプター ドローン 空飛ぶ車、、自動化への歩み、、、

G7へ出かける菅総理が乗る政府専用機が故障し、予備機と入れ替えたため出発が遅れるというニュースが入りました。
故障の内容は貴賓室の照明が消せなくなったということだそうで、明るいままでは首相が十分に休めないという理由で機体を入れ替えたそうですが、このような単純な軽度の故障すら直せないというようなことが現実の実情なのです。
ドクターヘリは神奈川県秦野のランデブーポイントの着陸に失敗し事故となりましたが、こんなものは自動化すれば一挙に解決すると思う人が多数いることでしょう。
今盛んに開発されている人が乗るドローンの開発で当然行われるであろう自動化が、ヘリコプターでは全く開発されている気配がほとんどありません。
ヘリコプターの危険性は狭い所への離着陸、線状障害物への衝突、セットリングウイズパワーやマストバンピング、ダイナミックロールオ-バー、ロスオブテールローターエフェクトなどの回転翼航空機の特殊な事故原因などが多発し、パイロットの操縦能力では防ぎえない事故も多発しています。
当然、パイロットの操縦能力で防ぎえないほど複雑怪奇な事故ですが、もし自動化によって克服できるならすでに問題は解決していることでしょうが、このようなことはもちろんドローンにも思る可能性があり、またドローン特有の事故原因も起こりえる中、免許も経験もない素人が今にも飛べそうに語られています。
世界的に見て日本のヘリコプター行政はかなり劣っているように思いますが、ヘリコプターの行政が十分機能していないような状態で、ドローンや空飛ぶ車が登場することになれば混乱はさらに急激に拡大しそうに思いますが大丈夫でしょうか。
科学の発展が無限であることは確かなので、有人ドローンや空飛ぶ車が自由自在に飛べる日が来るにはいつか必ず来るとこは間違いはないように思いますが、その前にすでにほぼ自由自在に飛べる実績を持っているヘリコプターで同じような飛び方が実現できる可能性の方がはるかに確実で、50年100年早く実現することでしょう。
地上を走る車の自動化でさえ、今現実には壁に当たっていて実現の可能性が遠のいているようですが、新機軸の航空はさらに道のりは険しいでしょう。
セットリングウイズパワー、マストバンピング、ダイナミックロールオーバー、LTEを自動化で防ぐ技術を確立することが可能であれば道が開けるかもしれませんが、そう甘くはないでしょう。
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