ドクターヘリ 日の出 日の入り前後のフライトは、、、、、

夜間

 ドクターヘリはパイロットが必要とするならどこでも着陸できるというルールになっているので、必要な照明がなく、かつ離着陸時の障害物などが特定されていな場所での離着陸が大変危険なので、ドクターヘリに対する航空法上の許認可は昼間有視界飛行と決められています。

 ということで航空法上は日の出前、日没後は1分でも飛べないということになっていて、日の出日の入りの時間は昼間と全く明るさが変わらないのに飛べないことになっています。

 つまり日の出前30分と日没後30分くらいは十分明るくても飛ばないことになっていますが、夜間照明のある基地ヘリポートに日没後30分、日の出前30分を過ぎても、障害物や着陸場所の状況はパイロットにとっては十分になれたものなので、禁止する必要はなさそうです。

 つまり夕方のドクターヘリは現地のランデブーポイントで患者さんを収容して、日没前に離陸できればたとえ基地病院への着陸が夜間になっても、来た道を帰り、慣れた基地ヘリポートで夜間着陸なので、十分に安全なので、ここまで規制する必要はなさそうですが規定は禁止しています。

 1980年インドネシアのバリックパパンと言う空港にある会社の基地で、日没後にくつろいでいると、サマリンダと言う100キロほど離れた町のはずれのジャングルにある住友系の木材開発基地で、日本人のマネージャーがブルトーザーのはねた材木に当たって意識不明の重症で救助に飛んでほしいと連絡が入ったことがありました。
 
 全く飛んだことのない地域だったのですが、空港の管理者に離陸許可を求めると、「anytime you can take off 」 との返事でさて何時に離陸するかと迷ったものの、確かまだ真っ暗な早朝5時ころ離陸し、日の出時間の15分過ぎころにキャンプに着陸すことで、無事救出したことがありました。

 幸いなことに、患者は私たちのヘリから国内線定期便、国際線定期便を乗り継いで日本まで直行して無事回復され、後日高価なブランデーをいただいたことがありました。

 ドクターヘリの夜間飛行は一律に禁止するなど愚の骨頂で、夜間照明があって、常時離着陸している基地病院への離着陸は少々夜間にずれ込んでも、ランデブーポイントや巡行時に安全が確保できる明るさなら許可するべきで、そのことは将来の全面的な夜間飛行に大いに役に立つことでしょう。

 それよりなにより、その時間に救命される可能性がある患者さんは、ヘリの運航上、安全確実なら救命するべきでしょう。

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夜間飛行の設備、、、



 ドクターヘリを夜間飛ばそうとする場合に、基地病院ヘリポートや付帯設備、運航管理室や待機室などにはそれなりのものが必要で、昼間の運航でさえ十分でない場合は逐次改善していくようにする必要があります。

 例えば基地病院で給油ができない場合などは論外で、もちろん給油設備は基地病院のヘリポートに隣接してあるべきで、しかも照明は夜間飛ぶパイロットなどに暗順応に対応した照明の輝度を適切に調整できるものが必要です。

 もちろん格納庫もどこかの空港へ飛んでいくなど論外で、夜間の待機中に強い雪や雨、強風などの場合に一時的に格納する場合やちょっとした軽整備を行えることそして輝度を調整できる照明が必要です。

 もちろん運航管理室や待機室にも同じものが必要で、パイロットが照明を直接見ないようなものが必要で、一度網膜に強い光が入ると暗い中を飛ぶことは危険が伴います。

 着陸帯では患者さんやクルーの乗降に必要な適度の輝度があるエプロン地区の照明が必要ですし、離着陸時のヘリポート全体の輝度を運航管理室から十分に調整できる設備が必要でしょう。

 もちろんすでに軍関係では長く、ナイトビジョンゴーグルが使用されていますが、使用の可否や2パイロット制、ヘリポート設備の照明やランデブーポイントの照明などとの関係で、相当な実用試験が必要となるでしょう。

 このような設備の改善と実験運航を重ねて、相当な準備が必要ですが、果たして、給油設備や格納庫すらない現状から、関係者の夜間飛行実施への改善費用と改善意志が果たしてあるのかと思えば、お先真っ暗と言うしかなさそうです。

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儲からない夜間飛行、、、



 防災ヘリ、ドクターヘリ、消防ヘリなどの夜間飛行の潜在的なニーズは高く、一部の消防ヘリなどがすでに行っているのですが、民間の運航会社が運航を行う防災ヘリやドクターヘリなどがほとんど行わないのはそれなりに理由があるからです。

 もちろん安全性の確保が一番のハードルなのですが、安全性にまったく問題がないなら民間運航会社は夜間飛行の実現を受け入れるかというと、そう簡単な話ではないようです。

 ヘリ運航はいわゆる一種の設備産業なので、投下資本に対する収益が確保されないとできないということになり、夜間飛行によって得られる収益増がおいしいものでないとできないしないということになります。

 昼間運航の場合、ヘリ1機10億円程度の投資に対して、充てる要員はパイロット、整備士、運行管理者各一名ずつが勤務しますが、各担当者の休暇や交代を見て、概算の人件費は1名あたり1000万円と概算すると大目に見ても6000万円で、1機当たりの年間売り上げ2億円程度のほぼ30%以下となります。

 夜間運航をすると担当者を1日3クルー必要なので、人件費はほぼ3倍になって、1億8000万円ですが、売り上げの内のヘリの償却や整備費用などはほぼ変わらず、燃料費などの増加を見ても1億3000万円程度で3億3000万円程度しか売り上げは上がらないでしょう。

 夜間飛行しないでその分のパイロット整備士を昼間だけの運航でヘリを2機買い入れて、別のところで飛ばせば、6億円の売り上げがあり、会社の利益は比較にならないほどとなります。

 パイロットが足りなくて増やせないなら、現在3機飛ばしている分のパイロットを夜間に充てれば、1機しか飛ばせないことになります。

 防災ヘリの運航受託の場合、ヘリや機材は発注先の県がすべてを準備し、整備点検は外注するとなると、受注する運航会社の売り上げは人件費プラス管理費と少しの利益分だけでいいところ6000万円程度がいいところで、1億円も取っていたらさぎといえる金額で、同じクルーで、412や332を飛ばせば下手をすると3億円5億円の売り上げが見込めるほどの差が出ます。

 一つの会社でドクターヘリを10機、20人のパイロットで回している場合、すべてが夜間飛行をすることになると、パイロットは60人必要で、そもそも物理的に不可能ですが、売り上げは1,5倍程度にしかならず、経営者にとって全く面白くない事業となってしまいます。

 パイロット数が3倍なら3倍のヘリを飛ばし、3倍の売り上げを上げたいと思うのは普通でしかも、パイロットの頭数が足りない現在、そのような不利な契約をしようとは思わないでしょう。

 多額の費用をかけて、完全に安全に飛べるような対策準備をしたとしても、運航業者は今の好条件を捨てることはなく、支払い側は人件費の増加分しか支払う理由はなく、余分な利益を意味もなく支給することなどありえないでしょう。

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ドクターヘリ、夜間はなぜ飛ばない??



 
 季節も11月に入ると日没時間がどんどん早くなってきて、ドクターヘリの運行時間のうち夕方の仕事終わりがどんどん早くなってきます。

 特に北海道の根室地方が日本で一番日没が早いと思いますが、11月1日で16時10分が日没で、15時半くらいになったらドクターヘリはほぼ出動できない時間となります。

 大阪あたりでも冬至のころは16時45分くらいなので、少し遠いところだと16時には出動できなくなります。

 ドクターヘリが夜間飛ばないのは、運送事業としての許認可事項の中に昼間有視界飛行と決められているからで、基地病院などのヘリポートに夜間照明施設があるかどうかだけではなく、許認可事項の制限に決められているからです。

 日本国内のほぼほとんどのまともな病院ヘリポートにはすでに夜間照明施設が設備されていて、さらに屋上ヘリポートには相当数、夜間照明施設が設置されていますので、運航の許認可制限事項の、昼間有視界のみとある昼間を取って申請すれば、他の条件によっては許可される可能性があります。

 なぜならすでに現実に埼玉県、東京都、京都府の消防ヘリ防災ヘリなどが夜間の運行を行っているからなのですが、彼らが行っている運航の形態は自家用運航なので、そもそも許認可制度はなく、自由に運航できる形態であって、着陸地に夜間照明設備があれば禁止する法律規則がないからです。

 ドクターヘリの場合は運送事業という許認可事業として不特定多数の乗客を運ぶ事業なので、身内の人間しか乗らない自家用機より一段階上の安全性が要求されているからです。

 しかし、夜間に患者を運ぶ消防防災ヘリと言えども無償ではあっても、不特定の患者を搬送するので、この点ではかなりの法的な不整合があると言えばあるでしょう。

 夜間での事故の多いアメリカの民間医療用ヘリは着陸地に夜間照明があるかどうかの制限はないようで、いわゆる患者の救命を優先してパイロットや運航会社の技術的に自由な判断を認めているため、不安全があるということになります。、

 日本の場合、どんどんヘリポートの夜間照明が普及している現在、将来的にドクターヘリの夜間飛行はどのようにするかの基本的な将来像を、運航会社、基地病院、そして航空局の3者がよく協議して合意する時期に来ているでしょう。

 まず手始めには日没後30分の薄暮の時間の運行を認めることから始め、次はランデブーポイントから基地病院への夜間飛行を認めるなど順を追って夜間運航に実績を積み重ねる必要があるでしょう。

 このような話し合いの中で、規制官庁の航空局が素人判断で許認可を渋るようなら、ドクターヘリをすべて自家用登録として、運航会社が運航を請け負い、自家用運航にすればすべて運航サイドの判断、で消防ヘリと同じ運航はすぐにでもできるということになり、ドクターヘリの夜間運航は一挙に進展することでしょう。

 ただし安全対策はどうするかという点がむつかしい判断となるでしょう。

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何時まで飛べるか、、、、、ドクターヘリ

和歌山ドクターヘリ1 (129)

 6月の中旬になりましたが、この時期大阪あたりでも日の出が4時45分、日没が7時15分頃と一年中でも一番日が長い時期になり、昼間有視界飛行のドクターヘリも飛べる時間が長くなります。

 ドクターヘリが導入された当初は朝は8時から夕方は日没時間の30分前などとけっこう一日のうちでも比較的長時間、出動待機していた県が多かったように思います。

 8時から待機するとしても、飛行前の点検、準備がありますから、運航規程などによってパイロットは7時20分くらいが出勤時間で、夕方日没ぎりぎりで飛べば、着陸後の点検などで夜8時になることもありました。

 日本の民間パイロットの一日に許される勤務時間はどの飛行機でも12時間が限度で、このため12時間を超える恐れのある海外便には交代のパイロットが乗っているようです。

 夕方以降の夜間は基地病院に夜間照明が設備されているところが多いので、患者を載せて、出先のランデブーポイントを日没時間ギリギリに離陸すれば、法的には合法的に飛ぶことができます。

 また、ドクターヘリの任務はもともとメインは搬送ではなく、いち早く重症の救急患者のもとへ医療従事者と資材機材を届けることで任務の半分は達成なので、ドクターナースと医療資材機材を下ろしたら、トンボ帰りするようなこともありました。

 このように、何度かは勤務時間が12時間を超えることがあり、また超過勤務手当の問題もあって各地のドクターヘリは、朝は8時半から17時というような時間に短縮されてしまったようです。

 このような動きは将来の夜間運航を目指すという姿勢とは真逆の動きですが、実はパイロット不足で1日の長時間運航で2交代制にできないという事情があります。

 夕方の事情はこのような感じですが、実は早朝のフライトは日の出時間と同時に飛ぶという仕事を20代に農薬散布で嫌というほどやることがありました。

 日の出から3時間くらいまでが、1日のうちでも気流が一番安定していて、ヘリから大量に吐出される農薬が正確に水田に落ちるという事情のためでした。

 毎日起床は3時から3時半くらいで、30分ほどかかって、ヘリポートへ送ってもらい、30分ほどで飛行準備をして日の出と同時に現地へ向かって飛び立ち、着いたらすぐに現地の責任者を載せて確認飛行をし、それから3時間ほどかけて200ヘクタール程度の担当区域を飛び回りました。

 早朝のフライトの強敵は、まぶしい朝日と、悪い頭が覚醒しないことでした。

 ドクターヘリの夜間を通した出動待機に耐ええるパイロットはどの程度いるでしょうか。

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プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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