儲からない夜間飛行、、、



 防災ヘリ、ドクターヘリ、消防ヘリなどの夜間飛行の潜在的なニーズは高く、一部の消防ヘリなどがすでに行っているのですが、民間の運航会社が運航を行う防災ヘリやドクターヘリなどがほとんど行わないのはそれなりに理由があるからです。

 もちろん安全性の確保が一番のハードルなのですが、安全性にまったく問題がないなら民間運航会社は夜間飛行の実現を受け入れるかというと、そう簡単な話ではないようです。

 ヘリ運航はいわゆる一種の設備産業なので、投下資本に対する収益が確保されないとできないということになり、夜間飛行によって得られる収益増がおいしいものでないとできないしないということになります。

 昼間運航の場合、ヘリ1機10億円程度の投資に対して、充てる要員はパイロット、整備士、運行管理者各一名ずつが勤務しますが、各担当者の休暇や交代を見て、概算の人件費は1名あたり1000万円と概算すると大目に見ても6000万円で、1機当たりの年間売り上げ2億円程度のほぼ30%以下となります。

 夜間運航をすると担当者を1日3クルー必要なので、人件費はほぼ3倍になって、1億8000万円ですが、売り上げの内のヘリの償却や整備費用などはほぼ変わらず、燃料費などの増加を見ても1億3000万円程度で3億3000万円程度しか売り上げは上がらないでしょう。

 夜間飛行しないでその分のパイロット整備士を昼間だけの運航でヘリを2機買い入れて、別のところで飛ばせば、6億円の売り上げがあり、会社の利益は比較にならないほどとなります。

 パイロットが足りなくて増やせないなら、現在3機飛ばしている分のパイロットを夜間に充てれば、1機しか飛ばせないことになります。

 防災ヘリの運航受託の場合、ヘリや機材は発注先の県がすべてを準備し、整備点検は外注するとなると、受注する運航会社の売り上げは人件費プラス管理費と少しの利益分だけでいいところ6000万円程度がいいところで、1億円も取っていたらさぎといえる金額で、同じクルーで、412や332を飛ばせば下手をすると3億円5億円の売り上げが見込めるほどの差が出ます。

 一つの会社でドクターヘリを10機、20人のパイロットで回している場合、すべてが夜間飛行をすることになると、パイロットは60人必要で、そもそも物理的に不可能ですが、売り上げは1,5倍程度にしかならず、経営者にとって全く面白くない事業となってしまいます。

 パイロット数が3倍なら3倍のヘリを飛ばし、3倍の売り上げを上げたいと思うのは普通でしかも、パイロットの頭数が足りない現在、そのような不利な契約をしようとは思わないでしょう。

 多額の費用をかけて、完全に安全に飛べるような対策準備をしたとしても、運航業者は今の好条件を捨てることはなく、支払い側は人件費の増加分しか支払う理由はなく、余分な利益を意味もなく支給することなどありえないでしょう。

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ドクターヘリ、夜間はなぜ飛ばない??



 
 季節も11月に入ると日没時間がどんどん早くなってきて、ドクターヘリの運行時間のうち夕方の仕事終わりがどんどん早くなってきます。

 特に北海道の根室地方が日本で一番日没が早いと思いますが、11月1日で16時10分が日没で、15時半くらいになったらドクターヘリはほぼ出動できない時間となります。

 大阪あたりでも冬至のころは16時45分くらいなので、少し遠いところだと16時には出動できなくなります。

 ドクターヘリが夜間飛ばないのは、運送事業としての許認可事項の中に昼間有視界飛行と決められているからで、基地病院などのヘリポートに夜間照明施設があるかどうかだけではなく、許認可事項の制限に決められているからです。

 日本国内のほぼほとんどのまともな病院ヘリポートにはすでに夜間照明施設が設備されていて、さらに屋上ヘリポートには相当数、夜間照明施設が設置されていますので、運航の許認可制限事項の、昼間有視界のみとある昼間を取って申請すれば、他の条件によっては許可される可能性があります。

 なぜならすでに現実に埼玉県、東京都、京都府の消防ヘリ防災ヘリなどが夜間の運行を行っているからなのですが、彼らが行っている運航の形態は自家用運航なので、そもそも許認可制度はなく、自由に運航できる形態であって、着陸地に夜間照明設備があれば禁止する法律規則がないからです。

 ドクターヘリの場合は運送事業という許認可事業として不特定多数の乗客を運ぶ事業なので、身内の人間しか乗らない自家用機より一段階上の安全性が要求されているからです。

 しかし、夜間に患者を運ぶ消防防災ヘリと言えども無償ではあっても、不特定の患者を搬送するので、この点ではかなりの法的な不整合があると言えばあるでしょう。

 夜間での事故の多いアメリカの民間医療用ヘリは着陸地に夜間照明があるかどうかの制限はないようで、いわゆる患者の救命を優先してパイロットや運航会社の技術的に自由な判断を認めているため、不安全があるということになります。、

 日本の場合、どんどんヘリポートの夜間照明が普及している現在、将来的にドクターヘリの夜間飛行はどのようにするかの基本的な将来像を、運航会社、基地病院、そして航空局の3者がよく協議して合意する時期に来ているでしょう。

 まず手始めには日没後30分の薄暮の時間の運行を認めることから始め、次はランデブーポイントから基地病院への夜間飛行を認めるなど順を追って夜間運航に実績を積み重ねる必要があるでしょう。

 このような話し合いの中で、規制官庁の航空局が素人判断で許認可を渋るようなら、ドクターヘリをすべて自家用登録として、運航会社が運航を請け負い、自家用運航にすればすべて運航サイドの判断、で消防ヘリと同じ運航はすぐにでもできるということになり、ドクターヘリの夜間運航は一挙に進展することでしょう。

 ただし安全対策はどうするかという点がむつかしい判断となるでしょう。

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何時まで飛べるか、、、、、ドクターヘリ

和歌山ドクターヘリ1 (129)

 6月の中旬になりましたが、この時期大阪あたりでも日の出が4時45分、日没が7時15分頃と一年中でも一番日が長い時期になり、昼間有視界飛行のドクターヘリも飛べる時間が長くなります。

 ドクターヘリが導入された当初は朝は8時から夕方は日没時間の30分前などとけっこう一日のうちでも比較的長時間、出動待機していた県が多かったように思います。

 8時から待機するとしても、飛行前の点検、準備がありますから、運航規程などによってパイロットは7時20分くらいが出勤時間で、夕方日没ぎりぎりで飛べば、着陸後の点検などで夜8時になることもありました。

 日本の民間パイロットの一日に許される勤務時間はどの飛行機でも12時間が限度で、このため12時間を超える恐れのある海外便には交代のパイロットが乗っているようです。

 夕方以降の夜間は基地病院に夜間照明が設備されているところが多いので、患者を載せて、出先のランデブーポイントを日没時間ギリギリに離陸すれば、法的には合法的に飛ぶことができます。

 また、ドクターヘリの任務はもともとメインは搬送ではなく、いち早く重症の救急患者のもとへ医療従事者と資材機材を届けることで任務の半分は達成なので、ドクターナースと医療資材機材を下ろしたら、トンボ帰りするようなこともありました。

 このように、何度かは勤務時間が12時間を超えることがあり、また超過勤務手当の問題もあって各地のドクターヘリは、朝は8時半から17時というような時間に短縮されてしまったようです。

 このような動きは将来の夜間運航を目指すという姿勢とは真逆の動きですが、実はパイロット不足で1日の長時間運航で2交代制にできないという事情があります。

 夕方の事情はこのような感じですが、実は早朝のフライトは日の出時間と同時に飛ぶという仕事を20代に農薬散布で嫌というほどやることがありました。

 日の出から3時間くらいまでが、1日のうちでも気流が一番安定していて、ヘリから大量に吐出される農薬が正確に水田に落ちるという事情のためでした。

 毎日起床は3時から3時半くらいで、30分ほどかかって、ヘリポートへ送ってもらい、30分ほどで飛行準備をして日の出と同時に現地へ向かって飛び立ち、着いたらすぐに現地の責任者を載せて確認飛行をし、それから3時間ほどかけて200ヘクタール程度の担当区域を飛び回りました。

 早朝のフライトの強敵は、まぶしい朝日と、悪い頭が覚醒しないことでした。

 ドクターヘリの夜間を通した出動待機に耐ええるパイロットはどの程度いるでしょうか。

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全県配置完了、次は夜間飛行??

和歌山ドクターヘリ1 (123)

 https://search.yahoo.co.jp/realtime/search?p=%E3%83%89%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%98%E3%83%AA&fr=top_ga1_ext1_browser_action_sa&ei=UTF-8

 ヘリコプターは本当に夜間飛行の仕事がなく、民間のヘリパイロットの夜間飛行時間は惨憺たるもので、パイロット自身が夜間飛行の何が怖いかすらわからないので、操縦しない人にとっては机上の空論でしか検討出来ないのではと思うほどです。

 夜間飛行すら経験がほとんどゼロなら、夜間にランデブーポイントのように、飛行場以外の場所に着陸する例などほとんど皆無ということになるでしょう。

 このような状況の中、全国配備を成し遂げた公明党はドクターヘリの次の課題は夜間飛行だと大ぶろしきを広げたのかと思えば、調査を求めるというかなり慎重な態度です。

 私は夜間飛行の前に、やはりパイロットの技術レベルの向上と、要員の確保ということが一番の課題と思うのですが、単純計算でも夜間飛行をするならパイロットの数は2,5倍必要なので、今は調査をしても無駄ということになると思います。

 定期便はバンバン夜間飛行をしていますので、ドクターヘリもと素人が思うことは当然ですが、定期便は雲の中を飛ぶので巡航中は昼も夜も全く同じように飛び、離着陸のみ夜間の暗さが影響すると思いそうですが、日本の飛行場はほとんど昼間と同じような明るさに照明されてされて、暗い中にガンガン照明されているところが空港という感じです。

 ということでドクターヘリの夜間飛行の課題について調査するということになると、パイロットなどが中心で運航関係者が主導して調査することが重要で、費用対効果や需要の規模などは調査項目としては、ほとんど重要性は低いでしょうし、安全に飛べるかどうかが決め手になるでしょう。

 夜間の場合、雲が低かったり、視程が悪いなど天候に関する基準の数字を決めても、飛行しているパイロットが非常にわかりにくいということがあり、いつでも雲中飛行を計器飛行方式で行って空港へ代替着陸できるような体制が必要でしょう。

 調査研究はやはり、需要や費用対効果、パイロットの育成養成訓練の必要性とその程度などが机上の調査となりそうで、実際に夜間飛んでみてどうなるかというような実験運航まで行うようになるには相当先になりそうです。

 というのはいかに需要が多くて費用対効果が許容範囲であって、夜間照明設備を充実し、かなり安全に飛べそうな体制つくりを行っても、パイロットが足りなければ絵にかいた餅でしかないので、短期間で実現することは難しいでしょう。

 また 夜間はどうしてもパイロットは2名乗務とせざるをえないので、さらにパイロット不足は深刻でしょう。

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お彼岸とドクターヘリ、、、、

有田川防災ヘリポート 002

 https://www.osohshiki.jp/column/article/687/

 昨日3月21日は春分の日でお彼岸の中日に当たり、墓参りなどをする仏教上の特別な日となっています。

 天文学的には太陽が真東から出て、真西に沈む、ちょうど昼間と夜の時間が12時間ずつとなる日です。

 ドクターヘリが飛ぶのは昼間VMCと決まっていて、日出から日の入りの時間までで、天候は有視界飛行状態でないと飛べないことになっています。

 ヘリは普通どのヘリでも天候が有視界飛行状態なら夜間飛行はできることになっています。

 ただし、離着陸場所に法的条件を満たした、夜間照明設備が必要で、ドクターヘリが飛び立つ病院基地などには夜間照明は設置にされてはいますが、患者さんとランデブーする着陸地はどの県でも数百か所あり、ほとんど夜間照明はないので着陸できないことになっています。

 また夜間照明の法的な設置条件は数十万円程度でクリアーできる簡単なものなのですが、そのような照明で多くの山岳地帯や障害物が多い都市地域で安全に着陸できるかどうか実績がないので何とも言えませんは、相当な危険性があると予想されます。

 兵器として開発された暗視ゴーグルをつければ障害物がすべて昼間のように見えいるので安全に離着陸できそうなのですが、民間のヘリコプターが暗視ゴーグルを使っての離着陸は法制化されていないので、合法的にはできないことになっています。

 ドクターヘリは昼間のみ飛行可能なので、お彼岸の時期は1日のうち12時間、夏至の時は15時間程度、冬至の時には9時間程度は飛行可能なのですが、全国のすべてのドクターヘリは8時間から17時、 一部終わりが日没時間というところもあるようです。

 救急事例が起きる時間では日出日没前後の薄暗いときが多いと言われていますし、急病も結構その時間帯が多いようなのですが、ドクターヘリがその時間をかば出来ないのはパイロットなどの勤務時間を運航会社が優先しているためのようです。

 ヘリが10億円程度はしますが、その高価な機材の稼働時間を決めているのは、長時間勤務が労働法や運航規程で縛られるためで、人員が確保できれば2交代制にすればよいのですが、パイロットが全く足りない状態なので、ほぼ将来的にも24時間運航は実現できないでしょう。

 24時間運航への道筋はまずパイロットの数を確保し、そのうえで、夜間の不整地への離着陸の安全性を確保することなのですが、ほぼ未来永劫、不可能ということになっています。

 日没時間まで待機するドクターヘリの基地では春分から夏至までが日に日に長くなるつらい勤務となって大変なのですが、交代者はいないということになっています。

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プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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