ドクターヘリの無線機、、

ヘリのパイロットが管制上のトラブルに巻き込まれやすいのは、無線機の使い方や性能などが影響して、聞き取りにくい、送信がうまく伝わらないということが相当に影響します。
私はいろいろな航空機に乗った経験がありますが、ヘリの無線機が一番、職場環境が劣悪で、頭の上から騒音が発生するエンジンとロータを回すギアボックスからの轟音は半端なく大きくて、ヘリパイロットを長くやると難聴になるものも多いようです。
ヘリの操縦はほぼ手を離せない局面が多く、周波数を変えたり、送信する無線機を選んで切り替えてマイクを通して送信する場合に、固定翼機のようにいつでも片手が開いているということがないので、切り替えるタイミングに苦労します。
特にホバリングで地上滑走している場合にはほとんど両手ともを離せないので、離着陸前後の地上管制と飛行場管制の周波数の切り替えはある意味命がけで、強い追い風や乱気流で墜落しかけたパイロットは多いと思います。
ドクターヘリの場合は航空管制用と社内無線用の2台の無線機のほか、パイロットが扱うのは現地ヘリポートの消防と通話する消防無線、そしてドクターが患者情報のやり取りに使う、医療無線があり、通常パイロットは送信はしない場合でも、受信音の情報はヘルメットのヘッドセットから流れてきます。
2つ以上の無線機から同時に受信音が流れると、ほぼ両方とも理解できないことは多いようです。
もう一つ問題なのは、ダブルトランスミッションと言って、通信する相手と自分が同時に送信してしまうと相手が何と言っているのがわからないだけでなく、相手が受信していなので相手もわからないことになり、両方が再確認しないと言いっぱなしで、相手が了解していると思っていると昨日の記事のようなことになります。
管制等の見学に行ったことが何回もあるのですが、管制塔の無線機はダブルトランスミッションでも相手の送信がダブってもなんとか聞こえるようになっていたと思います。
さらに管制塔の中は鉛筆を置いただけでもコトンと聞こえるほど静かで、ヘリの中で通信する困難さに比較にならないほどよく聞こえます。
車輪タイプのヘリの地上の場合や、オートパイロットが装備されているヘリなら、手を放すことは自由にできますので、無線に専念できますが、操縦かんやピッチレバーを持っている両手は、ただ掴んでいるだけではなく絶えず修正操作をしますので、無線に専念できないという場面が多々あり、固定翼機に比較するとむつかしいようです。
航空局の操縦試験官や陸自で2名パイロットで飛んでいたパイロットが会社で訓練を請け負って、最初に離陸してすぐに、無線機の周波数を社ない波に切り替えるときに、片手を離して操作したところ、ヘリは背面飛行になりかけたと同僚の教官が大笑いしていましたが、ジェット機でもトリムオフしていれば、離陸直後に両手をはなしてもしばらくまっすぐ飛んでくれます。
シングルパイロットで無線機を3台も4台も駆使して、何回も周波数を変え、マイク切り替えをしながら、管制塔とやり取りし、会社と交信し、消防と交信することはある意味相当な技術です。
そのような場面で管制塔の新米がわけのわからないことを言い出したら、ブチ切れそうになります。
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携帯電話とヘリコプター

日本ではヘリコプターの運行にとっては携帯電話は絶対になくてはならないもので、もしなければ安全な運航にかなりの影響が出そうです。
日本の航空行政には航空機が鵜うこうする場合に、飛行計画の通報と終了の報告という義務があるらしく、もちろんそれは飛行前と着陸後に航空局の運行管理部門へ通知するのですが、飛行場間を運航する場合には、小型機やヘリの場合で自社の運行事務所を持たない場合は徒歩で航空局の運行事務所へ出向いて行います。
事務所がある場合には現在はインターネット経由でおこないますが25年ほど前には電話で行うことしか手段はなかったのですが、携帯電話がなかった時代には、ヘリのパイロットは公衆電話で直接航空局の運行事務所へ連絡していました。
写真のようなところへ着陸した場合には、公衆電話のある場所まで車で30分、歩くと2時間などざらでしたので、着陸前、会社と無線の通じるうちに何分後に着陸などと、通報し、時間が来たら会社が着陸したものとして航空局へ電話を入れていました。
たまに計画の時間を過ぎても、電話を忘れることもあって、その場合は航空局からフライトプランの通報を忘れていませんかと強いお叱りの電話があるのが普通でした。
電話を忘れているか、墜落しているかわからないはずですが、いつも忘れていないかとのお叱りでしたが、墜落して死んでいてもわからないと危機意識は全くないようでした。
このような形式上の通報にこだわるのはほかに手段がないからで、そのことは現在も全く変わっていませんが、それは地上から無線が届かないということに尽きます。
今現在はヘリの運航会社は運航係が常時いて、これはドクターヘリの場合はCSと言って無線係なのですが、この職種の社員がパイロットの行っていた、航空局への運行情報の通知や気象情報の収集などの支援を常時行うようになったのですが、肝心のちじょうからの離着陸情報の連絡は電話でしかできず、写真のような山間部では携帯電話の不感地域が広くあって通じないことがあり、衛星携帯電話を搭載している場合もあります。
東北震災や、神戸震災の場合などは電話回線がパンクして通じないことが多くあって、運航に支障が出かねないような状況もあったようです。
携帯電話の通じない山間部での離着陸の場合、離着陸で事故があった場合には肝心の運行情報の通知ができないので、群馬県防災ヘリの墜落時のように、墜落していてもわからないというような不具合があったようです。
このようなことを改善しようとする意識はだれもないようですから、山間部でヘリが墜落しても当分だれも助けに来ないということは覚悟したほうがよさそうです。
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意外とむつかしいGPS、、、、

北朝鮮がミサイル実験を繰り返している状況やロシアが核兵器を使うのではないかというような危険性がある中、敵国に向けて発射されたICBMを何らかの方法でUターンをさせて自爆させられなかという研究を進めたらという突飛な意見を聞いたことがあります。
航空機や船ができたころは、自分の位置を正確に割り出すことが大変むつかしく、専門の航海士や航空士を載せて運航したものですが、1センチ以下の精度で世界中のどこでも正確に位置がわかるGPSが普及した今でも、ヘリコプターにとっては現在位置の判定は結構むつかしいものがあります。
なぜかというと、座標の正確な値をGPSが表示してくれても、パイロットがその付近を知らないとその数字はただの数字でしかないということになります。
GPSを積んだヘリが目的の空港を目前にしてガス欠で墜落した例があり、その原因は出発直後にGPSは目的地までの距離と方向そして自分の速度、到着予定時間を表示してくれますから、到着時には30分の燃料が残ると安心して飛んだようです。
ところが途中から向かい風が予想に反して強くなり、対地速度がだんだんと遅くなってきて、到着予測時間がすこしずつ伸びてきて、最終的に着陸が30分遅れて空港目前にエンジンが停止したようです。
もしGPSがなければ、パイロットは風の予想を調べるなり、余裕をとるなり、燃料がぎりぎりになるまで飛ぶことはなかったでしょうけれども、離陸時に30分の余裕で着くとGPSが教えてくれたら信じて油断した結果墜落となったのでしょう。
ドクターヘリは出動要請がかかって離陸するときには目的地ランデブーポイントを選択表示して、離陸後どの方向へヘリを向けるか決めるのですが、出動に要請の電話で要請消防の情報で、パイロットが慣熟した地理情報でおおむねの方向へ向け、GPSの情報とあっていたらOKですが、大きく違っていたらGPSの打ち込みデータが間違っている可能性があります。
つまりGPSがあるからパイロットの地域慣熟の必要性が少なくなったかというと、全く変わらないということになります。
大昔 千歳を離陸した内地向けの定期便がいつまでも北のほうへ飛ぶのでレーダー管制官がどこへ行くのですかと聞いたら、方向ジャイロの指針が180度間違ってちょうど反対に付いていたという笑い話がありますが、同じ間違いがT1であり、離陸前の地上滑走中に気が付いたことがありました。
ヘリコプターの場合、天候が最悪になって飛ぶ場合は、GPSではなく、自分の頭の中にあるGPSデータで、地上目標で位置と障害物を避けながら、低空で低速度で飛ぶ必要があり、ドクターヘリパイロットは担当エリアの地形に十分に習熟し、GPSや地図を見ないでも飛べるようになるべきでしょう。
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ヘリコプターの航空無線、、、

訓練生として飛び始めたとき、あまりに多くのことを覚えるというかマスターするというか、一挙に重くのしかかってくることに航空無線のことがあります。
航空学生の場合は2年近くも準備教育があって、それなりに準備できていると思ったのですが、航空無線のことがなかなかむつかしかったように思います。
航空英語の問題と航空無線機のノイズや聞き取りにくさの問題、そして相手が何を言ってくるかわからない場合のむつかしさなどがあります。
固定翼機の場合は管制官とやり取りする言い回しは離着陸時の地点地点でほとんど決まったことばかりなので、ノイズが多かったり、管制官の個癖の問題などがあってもある程度はわかりやすと言えるでしょう。
これは外国へ行くと必ずしも日本と同じような言い回しとは限らず、基本通りの言い方でない場合もあり、あるいは私が飛んだインドネシアでは特有の訛りの強い英語など聞き取りにくいことも多々あったようです。
さらに日本でも海外でも、ヘリコプターは固定翼機のようにいつも同じパターン経路で離着陸するとは限rず、航空管制用語以上に一般的な英会話能力が必要なようでした。
このようなやり取りがノイズの多い航空無線にの波に乗って、飛び交いますので自分が呼ばれているのか違うのか、あるいは管制指示が出たのか他機へのものなのかなど難しい面がありました。
日本国内でも無線機が2台同時運用になってからは、2波が同時にかぶることや、相手が自機の状況にお構いなく呼び込んでくるなど難しいものがあります。
2波同時に受信したら聖徳太子の10人どころか2波ですら聞き取れないのが普通です。
空港の管制塔へ見学研修に何回か出かけて実際の運用を見せてもらったことや旅客機のコクピットの無線の状況を見せてもらったこともありますが、ヘリコプターの騒音の大きさに比較して大変静かで、無線の聞き取りがしやすい環境であることに驚いたものです。
ヘリはジェット戦闘機並みの騒音で大変聞き取りにくく、初めて飛んで無線を聞いた時には何を言って言うのかほとんどわからないと思ったものですが慣れれば聞き取れるようになってくるものでした。
自機からの送信内容に対して、帰ってくる内容はほとんどが予想できますので聞き取れますがいきなり想像していないことをしゃべられるとうまく聞き取れないもので、ベテランになるにつれて、あるいは管制官の癖や声まで覚えるようになるということを聞かなくても内容が理解できるようになるものです。
定期便や固定翼機が管制塔とかわす通信内容はほとんどが定型通りで聞き取りやすいのですが、ヘリの通信はイレギュラーばかりでなかなかむつかしく誤解も多く発生するようです。
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北朝鮮ICBMとドクターヘリのGPS、、
日本のGPS衛星「みちびき」4号が打ち上げに成功し、アメリカのGPS衛星の精度を補完し、その誤差を数センチ程度まで向上させることが出来るそうです。
きわめて正確なGPSは様々な使い方を出来るのですが、超貧乏国、北朝鮮はICBMの位置制御にGPSを使っている可能性があるのでしょうか。
ドクターヘリはランデブーポイントを1県当たり数百箇所も設定していますので、一昔前の新米パイロットには手も足も出ないほど、飛行することが難しかったのですが、GPSがあるおかげで、ほとんど目をつぶっていても、目的地のランデブーポイントへ着いてしまいます。
ただしGPSだけで飛べるかというと、地形は山あり谷ありで、山を越えるか迂回するかなど、必ずしも直線で飛べないところに、GPSだけではだめだと言うことが出てきます。
つまりGPSがあっても地形に慣熟している必要がありますし、天候が悪い時には特に外を良く見て障害物を確認して、安全に飛行するワザが必要なので、GPSばかり見ないと飛べないということは、大変危険だと言うことになります。
さて北朝鮮のICBMの飛行ルートの制御はウクライナ製の慣性航法装置などを使っていて、まさかアメリカのGPSで飛んでいるとは思えないのですが、貧乏な国なので日本のカーナビなどを使っていないとも限りません。
GPSが民間使用に開放されたのは確か1980年代初めではないかと思いますが、日本の民間ヘリに最初に装備されたのが私が乗っていた204Bでした。
車にはすでに高額のものが多く装備されていいました。
ヘリで使い始めてまもなくのころ、木材搬出のフライトで一日中GPSがまったく正確に指さず、基地へ帰って同僚にその話をすると、新聞を持ってきて私に見せてくれました。
それはカーナビメーカのパイオニアの広告記事で、その日は米軍がGPS衛星の整備のため電波を止めるので、ナビが指さなくても故障ではありませんと言う内容でした。
GPSを使い始めて、その高性能、便利性に大変驚いたのですが、そのほかにも何か変な誤差が出るので少し調べてみたことがありました。
それの結果はやはり米軍の軍用無線装置なので、どのようにも制御できて当然であると言う自分なりの結論になりました。
北朝鮮のICBMがGPSで制御しているかどうかは、打ち上げ直後に微妙に位置情報のデータを変更し、飛行軌跡がそれに応じて変わるかどうかを調べればすぐにわかります。
そして、戦争状態になって、北朝鮮がICBMに核弾頭を積んでアメリカへ向けて発射されたことを確認すれば、GPSの送信データを変更して旋回させ、ピョンヤンに落とすことすら可能でしょう。
日本はいつものごとくまったくノー天気な平和主義一本やり、数センチ誤差の「みちびき」の位置情報データを変更するなり止めるなりすることなど、まったく考えもしていないことでしょう。
そして「みちびき」の超正確な位置情報によって北朝鮮のミサイルは日本国内のどんな目標にも、数センチの誤差で落ちてくるのでしょうか。